永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
業者贔屓の発言も大目に見てください。

世界とケンカできない文系エリートたち(その2)!

2012-10-21 | 組織論

社会全体の利益を考えれば、白黒決着の判決より、和解の方が望ましいのは間違いない。 裁判官だけでなく、原・被告両方の弁護士たちも時間と労力を省ける。 さらに、原告が勝っても、被告の富が原告に移動するだけで、社会全体としての富の合計は全く変わらないからだ。 

アメリカの裁判が非常に面白いのは、1億、10億ドルのガチンコ勝負をやりながら、一方で日本よりも和解率が高いことである。 下級審における和解率は日本が約40%なのに対し、アメリカの高い州では70%にも及んでいる。 これはディスカバリー(審判前証拠開示)と呼ばれる制度があるからである。

ディスカバリーでは、両者が手持ちの証拠をすべて、裁判開始前に開示する。 相手のカードを見てゴングが鳴るから、双方落とし所の見当がつく。 これが和解率の高さである。 非常に日本人らしく感じるが、間違いなくアメリカ人同士だから、やはり制度の影響力は非常に大きい。 識者によると、日本の和解型をアメリカが逆輸入したという話もあるがただし、人口比での訴訟件数は欧米の方が圧倒的に多く、アメリカが日本の約15倍、ドイツやフランスでも7~8倍である。

日本にはこのような公的手続きはない。 代替しているのが、先述した裁判官による和解の督促だが、結果的には社会全体の利益につながるとしても、非公式つまり密室で、国家権力の執行を個人の裁量に任されているのは非常に問題が大きい。 遠隔操作ウイルスの誤認逮捕も、密室での取り調べが、ありもしない自白と調書作成を可能にさせているのだ。 談合は、必要悪-悪=必要だ (その1)』、『談合は、必要悪-悪=必要だ (その9)』などで書いているように、不正防止にもっとも効果的な手法は、情報公開である。

さらに、密室での権力行使は、官の責任回避も可能にする。 国家権力をバックにした官と、被告、容疑者の民が対等な立場にあるはずがない。 官の要求に首を横に触ることはむずかしい。 証拠は残らないから、あとで騒いでも、まさに後の祭りである。 『日本の現行政府当局こそ、いじめっ子の典型だ(その17)!』で書いたように、日本では官庁発表は匿名報道が基本だから、役人個人の責任追及はほぼ不可能である。 これでは官のやりたい放題になっても不思議ではない。 

今日も読了ありがとうございました。 おやすみなさい。

 


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