永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
業者贔屓の発言も大目に見てください。

談合(カルテル)ブレーンストーミング(その4)

2012-06-03 | 談合
前回からの続きです。

現実の政策としては、『市場の内部+市場の外部』の総和をあげることだと思う。

総和を最もあげるパターンは二つ考えられる。
ひとつは、当該市場の外に成長性著しい別の市場があって、そこで新たな雇用が発生している。高度成長期の日本はまさにこの典型だった。
軽工業から重工業、さらにハイテク市場と次々に新しい市場が生まれて日本は世界第二位の経済大国になった。
自由経済信奉者が支持するもっとも華々しい成功例だろう。
しかし、少子高齢化そして既に世界経済のフロントランナーになってしまった日本で、次から次に新市場が生まれることを期待できるだろうか。

第二のパターンは非常に残酷だ。
市場外部に落伍した者たちが、日本(あるいはこの世)からいなくなっている。
戦前の満州開拓団などは失業者の口減らしの一環だったが、今の日本ではありえない。
代わりに、14年連続で年3万人を超える自殺者が出ているとも言えるだろう。
落伍者がどんどんいなくなってくれれば、総和も高くできる。しかし、現代の民主国家で許されることではない。

だから先進各国には、セーフティーネットとしての社会保障制度がある。ところが、このためにどこの先進国も財政赤字で国庫がひっ迫している。セーフティーネットを無くせば、財政は黒字化できるだろうが、年間5万とか10万を超える自殺者が発生するだろう。現に今のギリシャはそのような状態になっている。

第一のパターンは期待薄、第二のパターンは許されない。

そうなると以下の相対比較で議論するしかないと思う。
『競争効率の悪いものを外部に退出させ、社会保障で面倒を見る』方法と『競争効率が悪いものでも市場内部に留まって働ける職業を確保する』方法のどちらが効率的か。

私は後者を選択する手段の一つとして、談合の合法化が必要だと考えている。
しかし、市場の外部性も含めて談合(カルテル)を論じている識者はほとんど見たことがない。
談合を全否定し自由経済を礼賛する者たちは、第二のパターンに関する説明責任があると思う。自由競争の後はバラ色の未来が広がっているかのような無責任な説明は慎むべきではないか。

今日はここでいったん終わります。

おやすみなさい。




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