寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

蜘蛛の糸

2006年05月14日 21時48分05秒 | ちいさな生き物たち
幼い頃、寝待ちに読んでもらった短編に芥川龍之介の 『蜘蛛の糸』 があった。
国語の教科書で読んだこともあったが、それよりは布団の中で聞いた話が心に残った。
そのときの印象がずうっと尾を引いて、未だにクモを拾い上げては逃がしている。



夕飯時に急須のふちを黄みどり色の小さなクモが這っていた。
箸をかざすと案の定、箸伝いに登ってきたのでそのまま庭へ逃がした。
【フィールド図鑑・クモ/東海大学出版会1984年】を見るとツユグモらしい。

風呂場でこどもの頭を洗い流そうとシャワーの柄を掴んだ瞬間、
小さな粒が跳ねたように湯船に落ちた。何だろうと思えば
真っ黒なハエトリグモ、足を思い切り小さくたたんで熱から身を守っているかに見える。
「五右衛門」になる前にそっとすくって、脱衣所へ逃がした。

暖かくなってクモもあらゆる隙間から家の中へ侵入してくる。
手のひらほどもある徘徊性のアシダカグモだけはさすがにウチワで追い払うが、
大抵のチビグモたちは蚊やハエを退治してくれるのでそのまま見逃してやる。



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