今年の初雪が記録された日。寒い。スーパーで、すき焼きの材料を買う。魚はほっけ。
代わり映えしない。いつものようにそば食って、夕方3時が来るのを待つ。期待はしないが
信号機が次々に変わる。信号待ちが少ない。しかし踏切はつかまった。何なんだろ。
誰もいなかった。朝から客が来てないらしい。覚悟してたので、持ち歌の練習。のってきたら
屈伸ばばあと美声のおばばが、扉を開ける。俄然張り切る翁。雪は降る。クリスマスキャロルの
頃。クリスマスイブまで歌ってあげたが、あまり受けなかった。知らないらしい。帰っていく
ばばあたちを見送り、翁も帰る。お嬢に会いたかったが、こなかった。マスターがみかん一個
くれた。最近は、ミカンを食べない。むかしはこんなにおいしかったのに。花御所柿とリンゴ。
贅沢になったものだ。りんごーの花びらが風に散って寂しい。美空ひばり。私の人生は
美空ひばりばかり。歌じゃなくて、その独特の顔立ち。縁ある女は、ひばりばかり。
話半分で聞いてくれ。屈伸ばばあもひばり。乱れ髪を歌う。髪がぼさぼさ。おおみそかに
今年の汚れは洗うと洗濯機で、ぼさぼさの髪で、がんばる。紅白の取りを歌うひばりが、
年の終わりだった。私は、こたつで、箱入りのミカンを食っていた。もともと美味しい
有田みかんだったかもしれぬ。すっぱい。クリスマスイブ。合いの手を入れ忘れる。
すっぱい。クリスマスキャロルの頃。出だしに間に合わず。すっぱい。おまえこれは
ゆずじゃないか。年取ってからは、柚子のほうがありがたい。料理に絞って美味しい。
お風呂に入って、2度おいしい。ゆずの香りが、体にしみこんで、こころをあたためて
くれる。近所になってる柚子を狙うが、融通してくれない。一緒に入ってみたいゆず風呂。
美空ひばりはお嬢と呼ばれていたらしい。私とはいったらいい。家内が言う。りんご追分
歌ったげる。ごじょうだんを。お嬢違い。ちょっと我慢すれば見えなくなる。湯気で。
湯あたりする竹取の翁。お嬢は柚子になっていた。皺くちゃ。前にあれほど言ったでしょ。
長風呂しすぎ。そういうおまえはどうなんだ。私まだお風呂に入っていない。ミカンの肌は
過去のこと。ゆずのほうが安心できる。りんご追分よりゆずの栄光の架橋が似合ってる
竹取の翁。プログをかくために、知恵を絞る翁であった。すっぱい。それもおいしい。