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真剣に無骨に

2020-04-11 | フジコ・ヘミング

私が最初に通った先生の弾くピアノはとても芳醇なもので、強烈な体験となっています。 

(関連:筑後川   ”Youth” Samuel  Ullman   挫折した楽器

そのことはよかったけれど、いい思い出はほとんどないです。泣きながらレッスンに通っていました。

彼女は見栄を非常に気にする人で、腰を振って舞台に登場する恰好つけでした。高齢になっても

変わっていませんでした。私はそういった場で、彼女の見栄に沿うようなふるまいができず、

ピアノの世界を恐ろしく感じていました。そこにあったのは自由で楽しい雰囲気ではなく、

権威主義、貴族意識、階級制度…etc そんな類のものでした。

 

私は舞台上で洗練ぶったしぐさができなくて、他の生徒たちに意地悪をされていました。

今思うと、あの先生にいかにもぴったりのあの生徒達でした。大人になってフジコ・ヘミングの

著書を読むと、彼女も子どもの頃、他の子達にステージでの居ずまいをばかにされていたと

書いてありました。意地悪な世界では、意地悪な人達が幅を利かせるんです。

フジコ・ヘミングのただ真剣に無骨に弾くだけのあの姿が大好きです。私にも

「それでいいのよ」「余計なこと一切要らない」と、あの低い声で言われているようです。

 

  


(関連:フジコ・へミングのピアノ②   静の中から生まれる動   安定した演奏が聴きたい時は

 

 

 



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