フジコ・ヘミングの弾くピアノの、力強く綺羅綺羅していて、零(こぼ)れ落ちるように美しい音が、
その生き方、豊かな感受性から湧き出てくるのはもちろんですが
やっぱり彼女の指、手、腕、体格の賜物でもあるようです。
彼女の手は、普通の女の人の3倍ぐらい分厚いそうです。また指もすごく太いそうです。
それは、自他ともに言っていることで、幼少の時から、彼女の弾くピアノの音は美しかったそうです。(本人談)
フジコ自身、「私の音はこの分厚い手でしか出せない」と、誇らしく語っていました。
弟、大月ウルフさんと。
ピアノに向いてそうな手や腕ってあると思います。たまにおばちゃんの手や腕をみて、
美しい音を鳴らしそうな手だと思ったりします。
力強く綺羅綺羅した音を鳴らし、動物を慈しみ可愛がるぶ厚い手は、とても価値あるものです。
複数個所に置いたランプに薄暗めの電球を灯す、フジコの自宅の室内環境にも共感します。
私もそうしています。窓からの自然光を殺すことなく、暮らしたいと思っています。
子どもの頃、親が買ってくれたピアノの上に、晩に楽譜を読むとき目が悪くならないようにと、白い蛍光管の
デスクライトが置かれていました。子ども心に、そのピカーと平面的で強制的な光は、つらいものでした。
その蛍光灯下でのピアノの練習は本当にしるしかったです。私だったらそんな野暮なことしない><
ピアノと白い蛍光灯は、座標軸で言ったら正反対ぐらいに位置しています。
今は、蚤の市で買ったアンティークランプに20Wのシリカ電球を、晩には灯して弾いています。
40Wでは光が強すぎて白飛びし、20だと赤みがかった自然な雰囲気でいいです。
光を他でも補うときは、天井の中央照明の5Wのなつめ球を灯すか、お仏壇の両脇の灯籠を灯しています。
お線香を焚いたりもします。
そして、そんな訳ないやんと電気の専門家に言われるかも知れませんが、
このやわらかくて温かい光を灯して弾くピアノの音は、蛍光灯下で弾く音と、異質のように感じます。
昼間弾くのと夜弾くのとで、音の質が実際変わるように、照明によっても、音の質が変わる… ?? ような気がする…