ピアノ選びは、予算の中で自分にとって最もふさわしいものを選ぶ作業でありとても奥深いです。
お金に余裕があるならそんなに難航せずあっさりと決められる方が多いですが。(参照:ピアノ屋で出会った芸術家)
Steinwayは、業界で圧倒的な地位を占め頂点に君臨する製造会社で、みんなの憧れの的です。
音は澄んでいて響きます。キラキラ、サラサラしてる… タッチも軽快。中古でも非常に高額です。
腐っても鯛で、実際ポンコツのひどい個体であっても、Steinway & Sons と書いてあれば非常に高く値がつきます。
これを所有していること自体がステイタスとなり、多くの人がそのブランド価値に群がります。
通常、ものの価値は使えば下がりますがSteinwayだと資産価値が上がったりします。
500万で買った中古がその後800万と値がついたと聞きました。富はさらなる富を呼ぶんですね…
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(※以下は、私個人の感覚を書いたものであり、性能などを評するものではありません。)
ある人の興味深いブログ記事を読んで、非常に共感し触発され、私もそのことで書こうと思いました。
Steinwayを生活の相棒として持ちたいとは思わない
この漠然とした感覚はずっとありましたが、Steinwayがあまりにも絶大な賞賛を浴びているため
「なにかの間違いだろう」と思っていました。私の未熟な耳、感覚、貧乏性故だと…
「お前はばかか Steinwayがどんなに傑出した神のピアノかがわからないのか」「すみません、よさがわかるようにがんばります」
でもそのブログ記事を読み、「そう!」と思ったのでした。貼りたいですが自粛しておきます。
「あの華はほかのピアノにはない」「それがコントロール自在」だけど
「スタインウェイはやっぱりちょっと違う気がする」と言われました。彼の言うとおり
「ハレ」のピアノなんです。
私は、そういうピアノを生活の相棒とするイメージがピンと来ない…
よく聴くショパンのCDの1つもSteinway使用です。
水面に光がキラキラと乱反射するように、透き通った繊細で神々しく美しい音で、大好きな盤です。
でも自分が持ちたいとは思わない
赤い口紅の先生のように、2nd 3rd...と邸宅に外国製を何個も所有するのなら違ってきますが、私の場合は1個です。
嬉しい時も、哀しい時も、憂鬱な時も、謳歌する時も、練習する時も、生活に寄り添い対話できるピアノがいいです。
もしお金に糸目をつけないならBechsteinやBlüthnerはとてもありえる。大好きです。
ドイツ製が好きなのかも。フッペルも好き。
Steinwayはきらびやかで、どんな時もは寄り添ってくれない気がする…
Sigeru Kawaiも。確かに音の響きもタッチも軽やかですごくいいですが。
Bösendorferは奥深く官能的な音がしますが、他の人も言われるように曲や作曲家を選ぶように感じました。
ペトロフやプレイエルは、それ自体の独特な個性が全面に出ていてたった1台の相棒とするには偏っている。
両方とも、弾いた時に感動して強く印象に残ったのですが。
YAMAHAはハーモニカっぽい ですが昔のオールドなら話が違ってきます。
生活を伴に歩むのにふさわしいものを選びたいです。1台ですから。
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Steinway:タマネギビネガーサラダ
Bösendorfer:煙の中の焼き芋
Sigeru Kawai:転がる玉の粒つぶ
PETROF:頬を刺すチェコの哀愁
PLEYEL:もう1回弾かないとわからない。すぐに仰向けになってお腹を見せる犬
一般的なYAMAHA:工業製品 オールド:濃い美味しい麦茶
Boston:人見知り。出そうとすると出てくる
SAUTER:生活の中の香しい幸福
Bechstein:硬水
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昔販売員のおじさんに、予算(当時)に合うし新品だしとEssexをすごく勧められました。弾いてみたけどこれはなしでした。
お金がないのに生意気だと言いたげに「なにがいやですか、名前ですか?」と言われました。名前も音もタッチも全部いやでした。
:木でできた箱