フジコ・ヘミングのピアノは音の1つ1つに色がついてキラキラと輝いています。
浅いキラキラじゃなくて、力強い綺羅綺羅です。彼女のピアノは、すごく綺麗で美味しいです。
今も聴いています。「魂のピアニスト」とは、まさに彼女にピッタリです。
技巧的に上手いピアニストはたくさんいるけど、彼女のような、心に響くピアノを弾く人はあまりいない。
トロイメライも亡き王女のパヴァ―ヌも、そんなに好きではなかったけれど、フジコが弾くのを聴くと
好きになりました。彼女が、曲に色と響きと叙情をつけるんです。
アルバム”トロイメライ”に収録されている「ショパンのピアノ協奏曲No.1」の2楽章を聴いてみてください。3楽章のことは、フジコ・ヘミングのピアノに書きました。
フジコとお友達になりたいです。きっと、お友達になれそうな気がする。
彼女の本や14歳の頃の絵日記を借りて読みました。とても面白かったです。
「とても気に入ったセーターが半額で買えた幸運。神様からのプレゼントだ」「路ばたに落ちていたオレンジ。神様からのプレゼント。びっくりする位おいしかった」などと極貧時代のことが書いてありました。
「フジコさんの家に遊びに行きたい」とよくファンに言われるとも書いてありました。まさに私が言ったことです。(参照:フジコ・ヘミングのピアノ)下北沢に行くたびに、フジコの家はどこだろうって思っていました。彼女は人を魅了する魔法使いです。
一緒に、ベルリンやパリ、英国の蚤の市に行って、私が見ている布地や綺麗な石のついたネックレスを
「あら それいいじゃない」「あーた似合うわよ」とフジコが言って「私はこれ買うわよ。いいと思わない?」と言っているのが、目に浮かびます。
夜は、少しスポットを照らした部屋で、どんな男性に恋したかとかを話すんです。本当に楽しそうな夜です。
そんな空想が、ありありと目に浮かびます。彼女もずっと、空想遊びに耽っていたそうです。
雨だれにまつわる話がありましたが、私も物干し竿や木の枝に雨の粒つぶが垂れているのが大好きです。
静養先でもベッドからみえる雨だれを楽しんでいました。その下に空き缶を何個も置いて、音を楽しむのもいいですね。
東京のアパートで、隣の人がベランダに缶を置いて、壊れているらしい配管の水受けにしていたんです。
私はその金属缶に水が落ちる音を聴くのが好きだったのに、配管が直されたらしく、音がしなくなってとても残念でした。
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