人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

侯孝賢

2016年05月23日 | 映画

侯孝賢の映画を二本見ました、

「冬冬の夏休み」ーー

夏休みの子供たちの世界に

「気の変な女」がすばらしい位置に

存在していました。

あれこそがメルヒェンというものでしょうか。

あの「女の存在」こそが

あの映画を際立ったものに

したのだと思いました。

もうひとつは「恋恋風塵」。

気の弱そうな若者が

兵役中に恋人に捨てられて

失意のまま故郷に戻ったとき

母親は気持ちよさそうに

昼寝しているし

お祖父さんは畑。

そしてお祖父さんは孫に向かって

懸命に「サツマイモの育て方」を

しゃべる。

それがラストシーン。

ここがやっぱり侯孝賢の真骨頂。

安価な「解決」など求めず

「あるがまま」を切り取った・・・

そして緑したたる台湾の村

「赤とんぼ」や「仰げば尊し」が

流れる画面・・・

効果的に使われる「汽車」

小津を尊敬しているのが

ありありとわかる。

この詩情豊かな映画を見たのが

なんだか台湾の新しい

民進党による出発と重なって

見えてしまったのでした。


殿、利息でござる

2016年05月22日 | 映画

歴史学者、磯野道史氏が好き

なので

見に行きました「殿、利息でござる」

元のタイトルは「無私の日本人」

まあそのキャストの豪華なこと

阿部サダヲほか、 瑛太、妻夫木聡、竹内結子、松田龍平

きたろう、その他その他。

で、ハンサムな 瑛太、妻夫木聡はやっぱり

見ていて楽しいものでしたが

そんなハンサムボーイを

向こうにまわして阿部サダヲは演技力で

光ってましたね。

そしてやっぱりだれも真似できないのが

松田龍平のあの持ち味・・・

これはもう、天性。父親優作からの

魔法。

ただ、登場人物が次々に

「いい人」なので

あれ、と思っていたけど

「悪人」のはずの山崎努が

最後に最高の「いい人」だったと

いうオチでめでたしめでたし。

久しぶりにすがすがしい映画を

見ましたが

とてもタイムリーなのは

「無私」であるぺき公人の

「無公」都知事舛添要一氏の

事件と重ねて見ることが

できたからでした。

 

 


 


戦場のピアニスト

2016年01月04日 | 映画

ふるーい映画ですが

正月のテレビには見るものがないと

決めてかかって

DVDで時間を潰すことに。

前にも見た映画ですが

ポランスキーは処女作?の

「箪笥と二人の男」以来のファンなので

またまた見てしまいましたが

ナチの暴虐シーンは早送り。

やっぱりショパンを弾くシーンは

圧巻でした

が・・・

情報不足のせいか

ユダヤの人たちがナチを

執拗に追っかけているのは

知っていますが

ドイツがどうけりをつけたのか

よく知りません。

日本の隣国みたいな

「自国の統制のために利用する」

というのではないし

金目当て、でもないし

それに「捏造」でもないし

(慰安婦募集の戦時のポスター)

それにはちゃんと収入のことも

書いてあるし

「募集」と「強制」は違います。

「韓国の古い写真」というキーワードで

パソコンにずらりと当時の写真が

出てきます。

映画を見ながら

「日韓合意」とか「不可逆的」とか

の虚しい言葉が

ちらちらしてしかたありませんでした。

 

 

 

 


秋日和

2015年12月13日 | 映画

秋日和とか彼岸花

小津の映画です

しーんとなって

小津の世界に浸ることも

ありとは思う

のですが

今はこのテーマ自体に

たくさんの?がくっついて

しまうのです

「嫁きおくれ」(いきおくれに)

なりそうな娘を結婚させるために

母(原節子・秋日和)、または父(笠智衆・彼岸花)

再婚をほのめかせて

娘が結婚する決心を

固めるように持っていく

そして嫁いだあと寂しい

秋の日差しのような

たたずまいを見せる・・・

なんとも情緒的ではありますが

適齢期をすぎようとする娘

という設定自体が

なにかしら「縛り」になってしまうのです

63歳で結婚した人もいれば

一生結婚しないで

豊かに人生を送る人もいて

それぞれなのに

世間という法律は

人の生き方を縛っているようで・・・

他の小津の作品は

見てますねぇ

初期のものからずっと見てます

なのに

このテーマにだけは

ついていけない

老婆でございました。


三人吉左

2015年10月17日 | 映画
コクーン劇場

歌舞伎三人吉左の

映画は近頃

老婆が経験した稀に見る

愉快なものでしたね

何がって

三人の若手の初々しさですよ

これがなんとも

すがすがしいのと

監督の叡智を

はしばしに感じたこともうれしかったなあ

映画といえば台湾の

KANOが

とてもとても印象強く

残ってて

じゃあほかのもあるよと

友人がDVDを

見せてくれたのですが

霧社事件といって

日本統治時代

日本軍の現地人殺戮

があって

反乱を起こした事件ーー

これがなんと四時間の映画!!

えんえん殺し合いの連続シーン

最初の30分で投げました

まあ、同じ監督とは

とても思えない

しろものでしたね

しかしいずれにせよ

「映画は私の学校でした」と

だれかの口真似

したいほど

「映画っていいものですねえ」

三人吉左にかんぱーい!

映画にかんぱーい!

とはいっても

やっぱり老婆は

ただのどんちゃん騒ぎだの

宇宙人が出てくるのは

苦手でございまする