人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

多賀城

2015年06月25日 | 旅行
老婆がまだ

青春期にあった

ころ

東北の旅を

続けていた

ことがありました。

もう真っ暗に

なった

列車の外

とまった駅の

名が

多賀城

でした。

「あ、多賀城!」

わたしはつい

大きな声を

あげました。

わたしの前の

座席には

東北大学の

学生らしい

若者たちが

並んで座り

ベートーベンの

フィデリオの

話を

情熱的に

話し合って

いました。

でも

わたしが思わず

「あ、多賀城!」と

叫んだので

彼らはなぜか

黙ってしまいました。

リュックを背負った

妙な女の子が

一人

旅をしていて

突然

彼らにとっては

日常の地名を

感動のあまり

叫んだのを

奇としたに

違いありません。

あの学生たちも

いまは

超高齢者で

どこかの

施設にでも

入っているのでしょうか、

それとも

元気で

奥さんと

フィデリオを

聴いて

いるのでしょうか。

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