Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

今年の柿剥きから

2013-11-04 23:53:21 | 自然から学ぶ

 「今年のコメから」で触れたように、今年は柿剥き作業はないものと考えていたが、それでもいくつか木に生っている柿が「もったいない」と思い、あるだけ柿剥きをするということになった。妻にとっては準備が大変なだけに、少しばかりの柿ではやりがいがないのだろうが、わたしが「柿を採る」と言ったことからこんなことになってしまった。確かに準備は大変で、作り付けの棚がない我が家では、柿剥きの時期だけハウスに棚を作る。これもまだ数年の経験なのだが、年に一度のそんな作業も、思い出しながらの作業だから手間がかかる。

 さて、収穫した柿はわずか。熟してしまっているものを除いて何でもかんでも採ったから少ない中に小さいものも混じる。妻は「あんたが食べる分」と言うが、採れなかったのだからいつものとし通りに食べる気はない。むしろ贈答用に使って欲しいところなのだが、妻に言わせると品質の落ちる柿になる。したがって例年贈答用にしている柿は友人に頼んであるという。毎年下伊那でも真っ先に出荷するというほどの柿生産農家なのだが、やはり今年は収量が少ないらしい。ところが新聞紙上では「霜のせい」で例年の2割減程度だという。我が家では「本当なの?」と疑問が出るほどの数字。ところが我が家の近所の柿畑を見ると、例年並みに柿が生っている。やはりこの違いは消毒のせいだ。我が家の近所は果樹地帯であって、消毒などJAの推奨する防除歴なみに消毒をしても何にも意識しない地域である。言ってみれば消毒など当たり前という地域。したがって柿も霜の被害があればともかく、例年並みに生育していると言うわけである。下伊那園芸農業協同組合の「柿病害虫防除歴」というものがあった。カイガラムシに対する消毒は、我が家でも例年やっていたようだが、今年はしてくれていた農家に見放されて無消毒だった。とはいってもカイガラムシによって収量が落ちたわけではなく、天候のせいによる「軟化」である。防除歴の最後(8と9)に登場する「10月上旬」と「10月中旬」の防除である。「条紋が発生するこの時期から天候に応じて2~3回軟化防止として防除を行う。」というもの。我が家では例年も行っていない消毒である。この防除歴通りに消毒をすれば、1年間に10回以上消毒をすることになる。果樹は消毒が多いといわれるが、干し柿でもこんなにするのである。そういう意味では何もしなかった我が家の柿は、まさに無農薬なのだが、この収量では生業として成り立たない。軟化についてはかつてはほとんどしなくてもモノになったのだろうが、今の天候不順ではこの腐敗防止剤散布が必需のようである。


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