弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
弁護士の活動、日々感じたことを弁護士目線でレポートします
弁護士をもっと身近に・・・

「特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ」

2012-08-14 18:54:43 | 本と雑誌

偉大なる言語学者で、魂のロックンローラーで、友人でもある明治大学の堀田秀吾教授の著書「特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ」略して 「ここさめ」(クロスメディア・パブリッシング発行)をようやく読みました。

 

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おもしろい! 元気が出る!   この夏、一番の収穫でした。

心が冷めるとは、
① 人の話に興味がない
② 人と積極的に関わろうとしない
③ そのため、世界がどんどん狭まっていく

状態のことだそうです。

こうした状態を打破して、人生を楽しむためにはどうすればいいのか?
数多くの具体的な方法を教えてくれています。
それを知るには、ぜひ、書店で買って読んでみてください 

殺伐とした空気が漂う日本を、そして、ゆくゆくは世界全体を温かくしようという著者たちの熱い志と優しさを感じさせる一冊です。

私も読んで、心が温かくなりました。人と関わってみたくなりました。

人間関係で悩んでいるみなさん、毎日を楽しく生きていきたいみなさん
ぜひ読んでみてください。前向きになれること間違いなし!

特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ
価格:¥ 1,344(税込)
発売日:2012-06-13

   


ガードを上げすぎる心理 ~ リーガル・ハイ第1話 ~

2012-08-13 16:44:54 | テレビ番組

  

弁護士にも夏休み。

見逃していたフジTV 「リーガル・ハイ」第1話を、ようやく見ました。

やっぱりよく出来ている! 

  

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殺人事件が題材。

被告人は捜査段階で自白している。

しかし、被告人は、刑事から脅されたり、暴力を振るわれて虚偽自白をしてしまったと主張し、自白の任意性が争点となる。

本当は、どのような取調べが行われていたのか?

当時、刑事課にいたという3人の刑事が証人として出廷して、
「取調室のドアは開いていた、しかし、取調室からは物音一つしなかった。」
と証言する。

   

これに対する、古美門の反対尋問はこんな感じ。

「警察署の横に新しいビルがありますね。」

「取調べの行われた頃はまだ工事中でしたね。」

「取調べの日は解体工事が行われていましたね。」

「夏でしたね。」

「役所では節電していましたね。」

「警察でも窓を開けていましたね。」

   

解体工事の音が聞こえていたはずなのに、物音一つしなかったと証言した刑事たちの偽証を暴く。

  

刑事たちの敗因は、ガードを上げすぎたこと。

「怒鳴り声は聞こえなかった」「騒ぎはなかった」と答えておけばよかったにもかかわらず、自分の証言を正当化しよう、強調しよう、よくわからせようとするあまり、ガードを上げすぎて、「物音一つしなかった」と証言してしまった。 

  

これは実際の裁判でもよくあります。特に刑事さん。

「認めたら保釈になる」と利益誘導して自白を引き出した刑事が、「保釈なんて言葉は取調べでは一度も出ませんでした。」と証言したり、

「弁護人なんていらない」と弁護権を侵害した刑事が、「弁護人のことは話題にならなかった」と証言したり。

必要以上のことを言って失敗してしまう。Boxing

弱みのある人間は、ついつい、必要以上にガードを上げすぎてウソを大きくしてしまい、結局、ボディはがら空き、馬脚を現してしまいます。

そこをすかさず、突き崩すのが反対尋問の技術です。

   

リーガル・ハイ第1話はこちら。

http://www.fujitv.co.jp/legal-high/story/story01.html

早く、続編始まらないかな。


TED ダニエル・ピンクのプレゼン極意

2012-08-12 10:31:53 | インポート

Ted

  

理事をしているNPO法人国際プレゼンテーション協会主催のフォーラム
「TEDカンファレンスに学ぶプレゼンの極意」に参加してきました。

講師は、協会理事長の八幡紕芦史氏

TEDカンファレンスは、学術、エンタメ、デザインなど様々な分野の人たちが、世界の人々に広める価値のあるアイデアをプレゼンをします。
リチャード・ブランソン、ビル・クリントン、アル・ゴアなどの著名人も講演を行っています。

 

そのTEDの講演からプレゼンを学ぼうというフォーラムでした。

フォーラムで取り上げられたのは、アル・ゴア副大統領のスピーチライターであった
ダニエル・ピンク「やる気に関する驚きの科学」というテーマのプレゼン。

まずは、クリックして見てみてください。


YouTube: ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」

  

ペーパーレスで中央に立って話す、パワーポイントは最小限のスライドに図やコンセプトしか書かないといったスタイルも日本とは全く違いますが、

TEDカンファレンスで高評価を得るプレゼンに共通するのは、

ストーリーを語っているところ
ストーリーを使って、記憶に残し、注意を喚起しながら、コンセプトやメッセージを伝えていく。

 

なるほど。

抽象的な概念、言葉を並べて説明するのではなく、具体的な話をするのは大切ですね。

  

心を動かすストーリーの必須要素というのがあって、

① ハンディキャップ、不幸、マイナスの状況

② 夢、目標、ビジョン

③ 苦難の道、闘い、努力

確かに、桃太郎も、シンデレラも、マッチ売りの少女も同じパターン。

必ず不幸からスタートすること。

自分の話は自慢話になりがちなので、他人の成功話を使うのも効果的だそうです。

  

よし、法廷でもストーリーを使ってみよう!


大阪地裁判決に会長声明!

2012-08-11 19:57:18 | 社会・経済

   

このブログでも取り上げた、発達障害のある被告人が姉を刺殺した事件での裁判員裁判の判決(大阪地裁H24.7.30)について、京都弁護士会会長声明を出しました。

今回の判決が発達障害者への偏見を助長し、支援を阻害しかねないものであることに懸念を示すとともに、社会に対して正しい理解と支援の必要性を訴える内容です。

http://www.kyotoben.or.jp/siritai/menu/pages_kobetu.cfm?id=644

Kyotobengoshikai

  

同様の声明を、

日弁連 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120810_3.html 

大阪弁護士会 http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/kanri/db/info/2012/2012_5021d6f2e13e7_0.pdf 

も出しました。

  

具体的な裁判に弁護士会が意見を述べることは極めて異例です。

裁判には相対立する二つの立場があり、そのどちらにもそれぞれに主張があります。そして、その判断は判決によって決せられるべきものです。
弁護士会がどちらか一方に肩入れするような意見を公にして裁判に干渉するようなことはすべきではないと考えられているからです。

特に、今回の事件のように殺人事件では被害者は現実に殺害されており、その遺族の心情を考えると、判決が重いからといって弁護士会が判決を非難することは通常はありません。

それにもかかわらず、今回、京都弁護士会、日弁連、大阪弁護士会が異例の会長声明を発表したのは、この判決の酷さが際立っており、看過できないものだからです。

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京都弁護士会の常議員会で、この会長声明は全員一致で支持されました。


死刑執行に抗議する京都弁護士会会長声明

2012-08-10 12:07:46 | インポート

    

8/9に開催された京都弁護士会の常議員会(弁護士会の議会のようなものです。)で、

8/3に東京拘置所と大阪拘置所で2名に対する死刑執行が行われたことに対して抗議する弁護士会会長声明が賛成多数で可決されました。(私も、常議員の一人です。)

会長声明の内容はこちらです。

  http://www.kyotoben.or.jp/siritai/menu/pages_kobetu.cfm?id=643

  

死刑制度に明確に反対するという内容にまではなっていませんが、

全社会的議論がなされないままで死刑が執行されたことについて強く抗議を求める声明であり、弁護士会として死刑制度に問題を投げかける重要な意義があると思います。

   

死刑については様々な考え方があるのだから、弁護士会がこのような声明を出すべきではないという弁護士もいます。

しかし、
刑事裁判に直接関わり、死刑判決にも間違いがあることや死刑になるような犯罪を犯した人がどうしてそういうことをしたのかということについて、誰よりもよく知る立場にある弁護士こそが、勇気を出して社会に対して発言していかなければならないことだと思います。

反発を恐れず、声明を出された今年度の会長・副会長に敬意を表したいと思います。

来年度以降の会長も同じ勇気を持ち続けていただけることを願っています。 

   

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日本で死刑は隠されています。

刑場こそようやく公開されましたが、具体的な執行がどのように行われているのかまったく明らかになっていません。

アメリカで、執行にジャーナリストが立ち会うことができるのとは大きな違いがあります。

 

市民に情報も与えず、凄惨な事件の結果だけが報道されれば、感情的に死刑を支持したくなるのは自然な感情なのかもしれません。
しかし、死刑のことを本当にちゃんと考えるなら、正しい情報を明らかにした上で、刑罰としての死刑制度がどうなのか? 刑罰のあり方、犯罪に対する社会の向き合い方を根本から考える社会的議論がなされなければなりません。

 

正しい情報のないまま、感情的に判決がなされてしまう。
発達障害の被告人に対して求刑を超える判決を下した大阪地裁の裁判員裁判も同じです。
危険な人だから隔離するという大阪地裁判決の発想の延長線上に死刑がでてきます。

私たちの社会が犯罪とどう向き合うのか、死刑が本当に必要なのか、
真剣に、冷静に考えなければなりません。

     

京都の弁護士有志で、「京都から死刑制度の廃止をめざす弁護士の会」を結成しています。そちらでも、死刑廃止に向けて活動していきます。

詳しくは、http://www7.ocn.ne.jp/~kyo_shmk/