庭木は気持ちよさそうに水をかけられとる。
いちんち枯れてしまいそうなくらいの
猛暑にさらされとるんじゃけぇ、
夕方くらい、たっぷり冷たい水を与えてやりたい。
大きなしっかりした庭木には、
勢いよく掛けてやり、
プランターの花や野菜には
優しくシャワーをかけてやる。
水撒きが始まったら、
女房殿が広縁の掃き出し窓を
開けて風を入れる。
庭に水を撒くと温度が冷えるのと、
風が発生するけぇじゃ。
庭のどこかに潜んどる蚊たちも、
撒きはじめは、
まだ温度が高いもんじゃけぇ出て来んが、
一通り水を撒いた頃に
『ヤッホー!』
と出て来て、ワシの腕や足にとまる。
毎日のことじゃけぇワシも待ち構え、
とまった途端に『パシッ!』
毎日何匹やっつけとるじゃろ?
桝の蓋の隙間にはネットを張っとるのに・・・
水の溜まり場は無いハズじゃのに、
どこで発生しとるんじゃろ?
蚊も出撃したのはエエが、
無事に帰って来るのは殆どおらんと思う。
待ち伏せしたワシに撃墜されるけぇじゃ。
それでも命を懸けてやってくる。
毎日、その繰り返しじゃ。
倉庫のシャッターにも水を掛け,
境界ブロックにも水をかけ、
道路も表面の熱が下がるまで水をかける。
ヒンヤリしたところに
隣の居酒屋に通うおっちゃんが、
自転車でやって来て
『お疲れっす!涼しい!ここ』
そう言うて欲しいけぇやっとる訳じゃないが、
毎日の猛暑にささやかな抵抗しとるつもりじゃ。