マリの朗読と作詞作曲

古典や小説などの朗読と自作曲を紹介するブログです。
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徒然草・堀池の僧正

2021年12月08日 | 古典の朗読

 

 

徒然草・堀池の僧正

(大意)

良覚という名の偉いお坊さん(僧正)は、

とても怒りっぽい人だった。

住んでいる僧房の傍に

榎の大木があったので、

人は彼を「榎木の僧正」と呼ぶようになった。

けしからんと思って

その木を伐り倒させると切り株が残り、

今度は「切杭の僧正」と言われることに。

ますます腹を立てて

切り株を掘って捨てさせると、

その跡が大きな穴になったので

とうとう「堀池の僧正」と

呼ばれるようになった。

 

 

 

最初の「榎木の僧正」って、

そんなにひどいあだ名なのかなぁ・・・.

僧正はいい年した大人なんだから、

からかい半分のネーミングに

いちいちオーバーリアクションせずとも

よいものを。

無論、

読むにはその方が面白いけれど。

 

 

徒然草・堀池の僧正

 

 

著者の吉田兼好(兼好法師)は 

鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての

官人、歌人、随筆家。

「徒然草」は、

清少納言の「枕草子」

鴨長明の「方丈記」と並んで

日本の三大随筆の一つ。

 

・枕草子(春はあけぼの~)は →こちら

・枕草子(九月ばかり~)は →こちら

・枕草子(五月ばかりに~)は →こちら

・方丈記(行く河の流れは~)は →こちら

 

 

   

「堀池の僧正」は、

中学の古文の教科書で初めて読んだ。

実話らしいが、一読して

フィクションなら未完だと思った。

で、ひそかに教科書の隅に書き加えた。

以下、

原文と私の落書きを追加したもの。

(緑字は原文、赤字は私の加筆

 

  腹あしき人 = 怒りっぽい人

  きりくひ (切杭) = 切り株

 

堀池の僧正

公世の二位の兄に、良覺僧正と聞えしは

極めて腹あしき人なりけり。

坊の傍に大きなる榎の木のありければ、

人、榎木の僧正とぞ言ひける。

この名 然るべからずとて、

かの木を切られにけり。

その根のありければ、

きりくひの僧正と言ひけり。

いよいよ腹立ちて、

きりくひを掘りすてたりければ、

その跡 大きなる堀にてありければ、

堀池の僧正とぞいひける

その堀を埋めたりければ、

埋め立ての僧正と言ひけり。

 

 

 

半世紀以上前を振りかえり、

書き加えたわたし、案外さえてた?

などと思ったのも束の間、

TVアニメ日本昔話で 

同じことをやっていたと知る。

しかもアニメでは、

埋め立てた後に立札を立て、

「立札の僧正」にまでなっていた。

わたし、完敗。

お呼びでない。

これくらいのこと、みんな考えるんだよね・・・

というお話でした。