アメリカ帰国者が日々の出来事・人生・世の中などを語るブログ

日本に帰国して矛盾だと感じたこと、人生における発見や日常のことなど色々語ります

大人になれない日本人

2010年09月20日 | 社会・人生について
日曜日の朝、テレビを見ていた時のこと。40代のタレントが3人集まって対談する様子を何気なく見ていた。結婚や家庭のこと、人生のことなどを話していたが、その話す内容は、とてもいい歳をした大人の会話とは思えないのはものもあり、また何よりも彼女達の話し方や仕草に違和感を覚え、毛嫌いさえ感じてしまった。

その会話の様子を書くのさえも馬鹿馬鹿しいので、ここでは割愛するが、いわゆるぶりっこ言葉や赤ちゃん言葉をなどを使い、挙句の果てにはお互い誉め合う場面で、キャーキャー、と騒ぎ、なんとも薄っぺらな軽薄な対談内容だった。 そうえば以前、ハロウィーンの仮装をしてディズニーランドを歩いている人達の紹介があったが、私が見て非常に違和感を感じたのは、いい歳をした大人までもがキャラクターの身をまとってはしゃいでいる様子であった。「ルンルン♪嬉しいですぅ~!」と大の大人が、女子高生さながらに騒いでいるのだ。それをテレビ側は、微笑ましい光景として報道していたようだが、私の様に、呆れた思いで見ていた人も多かったのではなかろうかと思う。(そういう風に思って見てくれている人がまだ多いことを祈るが…)

この日本人の幼少化は一体、何なのか…? アメリカから帰国して数年たったが、私が帰国して真っ先に違和感を感じたのは、日本人男性はロリコンが多いのではないかということだった。テレビを見ると、「女子アナ」と言われる20代の人達が圧倒的に多く、ちやほやもてはやされ、また会社の受付をみると、全てが若い受付嬢ばかりだった。また、会社に入ると、仕事が出来てきびきびしている女性よりも、可愛い子ぶりっ子する女子社員が重宝されるという現象が、特に日本の会社では今だ横行している。

「ぶりっ子」という現象は、共依存症の症状で、いわゆる自分自身をさらけ出せない為に、仮面をかぶった状況らしい。日本人は「個」として確立していない人が多く、周りの評価によって自分の評価が決まるので、ぶりっ子をすることによって可愛がってもらおうという、一種の甘え現象だ。

また、甘え現象のもう一つの例としては、親は自分の面倒を子供に見てもらうのが当たり前だと思っていること。これは日本における特異な現象だ。日本では、介護をしない子供は親不幸だと周りに思われる為、通常の限度を超えた介護が行われ、親子共に共倒れになるケースが増えている。

ずっと前に、ある年配のタレントによる自分の母親の壮絶な介護の様子がテレビで放送されていたが、それをまるで美しいことの様に報道されていたのだ。しかし、これこそ共依存症による悲劇だと私は思う。このタレントさんのように、体力もあり、気力もある人はそう沢山いるわけでもなく、またそれを介護する側に求めるのは間違っているからだ。

人間には全て、自分の出来る範囲というものがある。それを越えて無理すると、自分が不幸になるばかりでなく、周りの人も不幸になる。最近、介護疲れで子供や親を殺すケースが増えているのが良い例だ。そうなる前に、周りに助けを求めるとか、親には施設に入ってもらうようにする、とか健全な対応策を打てない未熟な大人が多い。

最近問題になっている不在高齢者も、根本の原因はよく分からないが、共依存症がもたらしたものだと思えるものもある。高齢者がわがままになり、子供に面倒を見てもらって当たり前だと思っていると、一緒に住んでいる子供も人間なので、たとえ親でも嫌になるだろう。また、それを我慢してちゃんと話し合おうとしない子供にも責任はある。

また、会社においては仕事の責任範囲を明確にしないまま、上司の仕事なのに部下がやったり、正社員が怠けて派遣社員に正社員並みの仕事をやらせるケースが増えている。やらせる側にも問題はあるが、やらされる側も、これは自分の責任範囲を超えている、と主張できない人達が多い。

日本人の多くは、自分と他人の境界線がひきにくい。それは生まれた時から「個」として育てられていないからだ。しかし、時代は変化し、日本では今や外国人やハーフの日本人が沢山住むようになった。今までの価値観では、これからの日本は到底やっていけない。

自分と他人の境界線がひきづらい、人間関係が煩わしいと感じている人には、うってつけの本がある。「境界線(バウンダリーズ)」だ。アメリカの精神医学者が書いた本だが、この著者のうちの一人、ジョン・タウンゼント氏には、私自身、東京でお会いしたことがある。彼はクリスチャンであるが、とても尊敬できる、立派な精神医学者だ。共依存症が比較的少ないアメリカで、このような本が書かれたのは意外であったが、逆にアメリカだからこそ出来たことなのかもしれない。 日本語でも既に出版されているので、全ての日本人に読んで頂きたい一冊だ。