子宮筋腫の治療に関して、担当医から紹介状を書いてもらったものの、どこの病院へ行こうかまだ決めていなかったので、早速リサーチを始めた。
UAE(子宮動脈閉塞術)による治療も考えていたので、それを行っている病院を探し、めぼしい病院を都内で幾つか見つけた。その中には、脳脊髄液減少症の治療の為、5年前に訪れた東京青山にあるS病院も考えていた。私の場合、重症でなかったせいなのか、ここの脳神経外科の担当医にけんもほろろに否定され、非常に不愉快な思いをした経験があったため、この病院へ行くのをかなり躊躇した。けれども、産婦人科の医師は違うことを願って、まずここを受診してみることにした。(ちなみに、脳脊髄液減少症については、その4か月後にK病院の医師に診断確定して頂いたお蔭で、発症からギリギリ1年以内にブラッドパッチをして頂き、命拾いをさせていただいた。発症から1年経つと治りにくくなるそうなので、危うく治療が遅れるところであった。)
予約は7月下旬頃に入れたが、なんと、私が読んだ本やネットの情報が書かれて以来、S病院の体制が変わってしまい、当時UAEをやっていらしたH医師が、どうやら小田原にあるY病院へ行ってしまったそうで、UAEをする場合は、この病院ですることになってしまったそうだ。H医師に会うことを期待していたのだが、そのためにわざわざ遠い小田原までは行けなかったので、とりあえずS病院で予約を入れた。
その間に、治療方法に関する様々な情報をできるだけ多く入れようと、ネットを使って、日本と海外からできるだけ多くの治療実績に関する情報を集めた。その際に私が気を付けたことは、
自分の気持ちが、子宮を取りたくがないためにUAEの方に傾いてしまっていることに気づいたため、まずはそれをリセットした。
客観的に情報を集めようとする際、自分の思い込みや思い入れが強いと、情報がどうしても偏る。これは、マーケットリサーチなどで情報を分析する時には特に気を付けなくてはいけないのだが、人間は、知らないうちに先入観を持っていることが多く、知らないうちに自分にとって都合の良いデータ、情報しか見ておらず、結果、事実を歪めてしまうことは多々にしてある。残念ながら、多くの企業はそんなことにも気づかぬまま、間違った意思決定をすることが非常に多い。
なので、私は一旦頭を真っ白の状態にして、とにかく治療実績やリスクの数値情報をできるだけ集めることにした。
それ以外には、アメリカに住んでいる友人が、たまたま過去に子宮筋腫の手術をしたことがある人が何人かいたので、その友人を通して色々情報を得られたことは大きかった。
先日のブログにも書いたが、多くの情報はアメリカやイギリスの病院、もしくはメディカル関係サイトだった。日本では、個人のブログや、子宮筋腫に関する専門サイトが存在するものの、治療に関する一般的な情報ばかりで、治療実績の具体的な数値結果、手術後の患者の再発率、再手術率、卵巣機能不全や子宮内膜壊死といったリスク、手術後の妊娠・出産・流産率などの情報が全くなく、ほとんど役に立たなかった。
こういう情報を、私は医師に求めているのに、日本の医師はこういう情報を持ち合わせていない。おそらく病院内でそのような実績を取っておらず、手術をやったら、やりっぱなし、という状態になっているのではないかと推測する。
これは何も病院だけではない。企業も、何かキャンペーンや施策をやったらやりっぱなしで、その後の分析やフォローができていない企業が結構ある。
幸い、私はアメリカの大学院で沢山の専門書を読んできたので、海外の学会などの資料や医療ジャーナルなどの資料を読むのにそれほど困難を感じなかった。こういう時に英語ができて本当に良かったと思うのだが、色々調べてみたら、多くの驚く事実を発見することができた。
長くなるので、詳細は割愛するが、結論として、UAEは万能な治療方法ではない、ということが分かった。また、FUS(集束超音波治療)という治療もあることが分かったが、これは私の場合はあまり効果がなさそうだった。他に、子宮全摘出、子宮筋腫核出術の治療実績、リスク、その後の予後なども全部調べ上げ、私の中でかなり頭が整理された。私のノートには、一覧表という形で情報がびっしり埋まった。
これで医師となんとか対等に話せる知識の状態になったのではないか、と思うが、一つ分かったのは、
どれも万能な治療というものはない
ということだ。それぞれの治療方法にメリット、デメリットがあり、100%安全で完治するものではない、ということだ。私の担当医は子宮全摘出で完治すると断言しているが、こちらも実は多くのデメリットが存在する。いや、私の調べた中ではデメリット、という点では一番多かった。また、特に子宮全摘出に関しては、医師がその後の予後を追わないので、手術後の患者のデータが全くない。一番不可解なのが、この点なのである。
これらの情報が分かっただけでも、私の心は随分軽くなった。後はどうすればよいか、他の病院の医師の意見も聞いて、できるだけ自分なりに合理的な判断を下したいと思う。