アメリカ帰国者が日々の出来事・人生・世の中などを語るブログ

日本に帰国して矛盾だと感じたこと、人生における発見や日常のことなど色々語ります

消費増税法案が通過したが...

2012年06月27日 | 政治・国際情勢について

昨日、与党の中で造反者が出るという大きな混乱の中で消費増税法案が衆院で可決された。

この日本の財政危機と景気悪化の中で、果たして増税が本当に正しい選択なのだろうか、と私自身も色々と考えさせられた。しかし、どちらを選択しても結局、完璧な解決策にはならないので、分からない人も多いのではないかと思う。どちらも言い分はあるだろうが、現在、緊急の課題となっている財政破綻のリスクを少しでも減らす為に今、出来ることを早急にやらねばいけない。その為に、どちらの選択肢がより良いのか、完璧な方策ではなく、相対的にbetterな選択をするしかない。

会社での仕事をしていてよく感じることだが、日本人は概して完璧を始めから求めようとする為、意思決定に時間をかけすぎている。しかし、「完璧」と思えるものができても、結局、実行段階になって大幅な修正や変更が求められ、そこでまた余計に時間をかけるだけなのだ。会議でも無駄な会議が多く、意思決定においても無駄なプロセスが多い。何事も事実に裏付けされた確信がないと実行に移せない。意思決定が遅いから、タイムリーな新商品やサービスの導入もできない。消費者動向を先読みして、思いきった決断をすることもできない。だから、今や日本の産業は世界から取り残され、衰退の一方をたどっているのではないか。

話が少しそれてしまったが、日本の財政危機は様々な要因が複雑にからんでいる為、判断がしかねるところだが、もうちょっと単純に考えてもらいたい。

例えば会社が赤字になったら経営者はどうすべきなのか、その視点から考えれば、増税をすべきなのかどうかが見えてくるのではないだろうか?赤字になれば、少しでも削減する為に、まず経費削減するのは当然のことだろう。また、持っている資産や株などを売り払い、赤字に補填する努力をすると思う。また、それに平行して、売上を上げる努力もしないといけない。新たな投資の為の借金は、赤字を埋める以上の売上の見込みがなければ絶対にすべきではない。

しかし、どれだけ経費を削減しても、資産などを売り払っても、どうにもならない時もある。会社ならば破産申告をすれば良いだろうが、国家となるとそうはいかない。今の日本は、たとえ議員数の大幅削減や、公務員給与を大幅削減など、本当にギリギリのところまで経費を削ったとしても、もはやそれだけではやっていけない状況にまで追いやられているのである。更に、高齢化社会が追い打ちをかけている為、社会福祉費・医療費などがますますかさみ、このまま放っておけば、費用だけが膨れ上がり、日本の財政は壊滅的に破たんする。

それを避けるには、どうしても他から収入を得ないといけないのであるが、それが今回の消費増税であろう。多くの国民としては、生活がただでさえ苦しいのだから、増税は反対と思うだろうが、目先だけの、自分だけの利益を考えると、国家破たんという最悪の事態に追い込まれるのだ。国家破たんになれば、当然、国家存亡の危機に立たされる。そうなってしまっては、単に生活が苦しいから、というレベルではもう済まされない。

民主党の小沢氏は増税反対!と豪語しているが、増税反対なら反対で、ならば増税しないで、どうやって財政破綻の危機から抜け出せるのか、具体的な道筋を示していない。具体策もない状態で、ただ反対、反対、と叫ぶだけで解決策も示せない人には要注意である。

また、国民多数の意見がいつも正しいとは限らない。国家という視点から考えると、国民多数の意見が間違っていることもある。小沢氏は国民の多くが増税反対だから、私は真に国民の立場にたっているんです、と言っているが、その多数意見が本当に正しいのか、もし正しいのであれば、具体的な方策をきちんと示すべきである。

国民は時として、国家危機の際には苦しい選択をしないといけない。日本がそもそもこのような状態になったのは、長年、自民党政権を許してきた我々国民にも責任があるのだ。そのツケが結局、私達にもまわってきたのである。勿論、政治家にも責任はあるが、半分は我々国民にも責任がある。苦しくてもこれは日本国民が通らなくてはいけない試練なのではないかと思う。