アメリカ帰国者が日々の出来事・人生・世の中などを語るブログ

日本に帰国して矛盾だと感じたこと、人生における発見や日常のことなど色々語ります

日本で残業がなくならないのは何故か

2015年04月05日 | 仕事・働くことについて

3日前、40代の名ばかり管理職の男性が、月140時間を越える残業を続けた結果、急死したとのニュースを見た。原因は、過労による心不全だった。亡くなる前から体調の異変など、色々な兆候があっただろうに、何故このような働き方をずっと続けていたのか非常に疑問に思うのだが、何故、このような不幸な事態に遭うまえに、会社に対して声をあげることができなかったのか。亡くなったご本人様には大変申し訳ないと思うが、このような事態を招いたのは、勿論、会社が一番悪いのではあるが、それに対して何もしなかったご本人にも責任がある。

死ぬような事態に遭うのなら、何故、声をあげて会社に訴えるなり、労働基準監督署へ相談するなりできなかったのか。それでも会社や労基が何もしないようなら、会社を辞めるという選択肢もあり、やれることはあったはずなのに、何故受け身になり、自分から主体的に何かをしようとしなかったのか?体を壊す前に、できたことは沢山あったはずだ。

こういう、声をあげる人がいないから、日本では残業がなかなか減らないのだ。自分の体を壊してまで、ましてや死ぬまで働く価値のあるような会社は、世界中、どこにもない。

アメリカで働いていた時、こんな話を聞いたことがあった。

ある女性が秘書として採用されたが、あまりの業務量の多さに通常の業務時間では処理しきれないと判断した。日本人なら、黙って残業するところだろうが、この女性が取った行動は、自分の上司に対して、

「この業務量は、到底一人でさばききれない量で、尋常ではありません!あなたが、それでもやれ、とおっしゃるのでしたら、やりますけど、締め切りに間に合わなかったり、処理できない仕事が残ってしまっても、それは私の責任ではなく、あなたの責任です!」

と、はっきり申したそうだ。事の事態に気づいたその上司は、彼女の言い分を聞き入れたそうだが、日本人は何故、このようにはっきり言えないのか?

勿論、会社の体質の問題もあるが、そもそもそういう状態を野放しにして黙って残業をし続ける日本人一人一人にも問題がある。言うべきことを言わないで、会社が、上司が全て悪い、などと言う資格はない。自分達がやるべきことをやって、それでも会社側が何もうごかないようであれば、それこそ全ての責任は会社にあるのである。

たとえ、声をあげた為に会社に居づらくなったり、首になったとしても、そういうことをしてはいけないと法律で決められているので、会社は自ら法を犯すことになる。また、そのような会社は決して発展もしないし、大きくもならないだろう。そのような会社で、自分を犠牲にしてまで働く理由は全くない。

それに、万一、首になってその会社に戻れなくなったとしても心配することはない。他でも仕事はいくらでもあるし、起業するなり、全く違う道へ方向転換するなど、生きていく方法はいくらでもある。なぜ、そのような考えが持てないのか、はなはだ疑問であったが、一つ分かったことがある。

長時間労働が続くと、体にまず異変がくる。体に異変が来ると、思考もおかしくなる。通常のまともま思考で物事が考えられなくなってくるのだ。そうなってしまうと、もう会社の奴隷になり、ただ死を待つだけになってしまう。

そうなる前に、まだ体が大丈夫なうちに、健全な考えができるうちに対策をとっておく必要がある。

人間には限界があるが、特に日本人の多くはそのような線引きがちゃんと出来ない人が多い。何か問題があれば、相手から察してもらうことを期待するのではなく、自ら声をあげなくてはいけない。それが出来ないから、上司は部下に甘え、また部下も会社に依存しようとするが為に何もしようとしない。日本の共依存社会がもたらす悲劇である。