抄本を改訂しました。
マルティン・ブーバー原著『対話の倫理』抄本http://www7b.biglobe.ne.jp/~ipr_phenomenology/Buber_conversasion_1.3.pdf
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今回三冊目となる『対話の倫理』の抄本を作成しました。この本は、ブーバーが1951年にアメリカに渡り、各地の大学で行った講演を基に“Eclipse of God”(神の蝕)としてまとめられたものです。
以前紹介した『ユートピアへの途』はブーバーの社会学的側面、『人間とは何か』は哲学的側面の表出とすれば、この本はブーバーの宗教的立場が強く表現されているものと思われます。神は信じる対象ではなく実在し、出会い、実感する、永遠の汝であり、逆にわれわれが神がいないと思うことは、そう「信じている」ことにすぎず、実在する神は、われわれ人間のあり方によって隠されてしまっている——あたかも日食のように——というブーバーの神にたいする考えがこの本で明確に示されています。
「あとがき」ブーバーの手紙(1963年、読売新聞掲載)の全文を載せました。これは60年近く前に書かれた文章ですが、現代のウクライナ紛争などを報道で見ると、わたしたち人間は、ブーバーが指摘した「純粋な対話」をまだ全然できていないと愕然とします。わたしたちひとり一人が、もう、いままでのように政治家任せにせず、自分にとっての神——他人にとっての神ではなく——と自分がどう向き合っているのかについて深く考え、周りの自分とはまったく異なる人たちと「純粋な対話」をしていくことが、今まさに求められています。ぜひご一読ください。
掲載場所: IPR現象学研究会のホームページ
http://www7b.biglobe.ne.jp/~ipr_phenomenology/index.htm
IPRとは( IPR現象学研究会のホームページから引用)
IPRというのはInter-Perponal Relationship の略で、直訳すれば「人格間関係」を意味します。従来使われてきた Human Relations(人間関係)の語が、ともすれば表面的な対人関係のイメージを生みやすいことをおそれ、より率直な「ほんとうの人間関係」を意味するIPRの語を使用しています。
1970年、心理学者・早坂泰次郎(立教大学名誉教授、故人)を中心に「日本IPR研究会」が創設されました。その研究会では、①対人関係理論の研究と、その実践である②グループ・トレイニングの開催を行ってきましたが、創設50年を迎える2020年に活動を終えることになりました。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~ipr_phenomenology/iprintro.htm
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