本当の人間関係を学び続ける学徒のつぶやき

人間関係学を学び続ける学徒の試行錯誤

生活支援コーディネーターに求められる社会福祉士としての専門性

2023-03-12 11:46:17 | 日記

 私は現在、鎌倉市社会福祉協議会に所属し、鎌倉市から委託を受けた生活支援コーディネーターとしてて鎌倉市北西部にある玉縄地域の福祉活動に携わっています。生活支援コーディネーターとは、地域包括ケアシステム構築のための一事業である生活支援体制整備事業に位置づけられており、地域の高齢者の在宅生活を支えるための地域づくりを促進するため、地域のさまざまな主体による多様な取り組みのコーディネート機能を担い、一体的な活動を推進することを職務としています。

 厚生労働省の研修資料には生活支援コーディネーターの資格要件として社会福祉士は挙げられていませんが、鎌倉市の生活支援体制整備事業委託契約では生活支援コーディネーターの資格要件は、原則として社会福祉士であると定められています。それでは、鎌倉市の生活支援コーディネーターに求められている社会福祉士にとって共通する専門性とは何かについて自分の日々の業務から考えてみます。

 まず第一に挙げられるのは、社会福祉士の倫理綱領やソーシャルワーク専門職のグローバル定義といった理念、考え方の共有です。同僚の生活支援コーディネーターや玉縄地域でともに仕事をする地域包括支援センターの社会福祉士とは地域住民が抱えるミクロの課題を共通した理念、考え方に基づいて議論し、目指すべきメゾ、マクロのあり方を考え、行政や地域のさまざまな主体に働きかけていくことができます。

 次に挙げられるのは、ソーシャルワークの視点です。人と環境、さらに両者の関係(相互作用)に視点を向け、そこから支援を展開、実践するソーシャルワークの視点が、社会福祉士に共通する専門性となります。たとえば、地域住民とともに地域アセスメントを行う際に、地域にあるさまざまな環境について、高齢者の移動の視点、児童の通学路の視点、障害(児)者の視点、防災・防犯の視点、景観の視点などさまざまな視点から地域住民と見ていくことで、住み慣れた地域の環境についての新しい気づきを促し、より深堀した地域踏査を地域住民が主体となって進めていけるよう、社会福祉士として支援することができます。

 そして、最も重要な社会福祉士に共通する専門性は、生きづらさや生活のしづらさを抱える人々に寄り添う態度、姿勢です。令和4年の早春以降、新型コロナウイルスのパンデミックによってそれまで当たり前だった日常が脅かされ、壊されました。外出自粛などさまざまな行動制限が感染症予防対策として強いられ、それまで地域の福祉活動を支えていた高齢のボランティアは、ひとと関わり合えない苦痛に苛まれました。この未曽有の状況において、社会福祉士には地域の高齢のボランティアに寄り添い、苦痛を共有し、ともに悩みともに考え、この状況のなかでできることをできる限りやっていこうとする態度、姿勢が求められます。この態度、姿勢こそが、すべての社会福祉士に求められる最も重要なの専門性ではないでしょうか。

                        社会福祉士 和智 章宏



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