地域福祉と地域防災は切っても切れない関係にあります。地域の自治町内会は福祉よりも防災に力を入れる傾向がありますが、防災だけを進めると結局、自分のことは自分で守る「自助」に重きがおかれ、ご近所で支え合う近助、地域で支え合う互助、共助にはなかなか発展して行かないのが実情だと思います。また、大きな災害があった直後はテレビや新聞で被災地の悲惨な状況に身がつまされ、住民の防災への関心は高まりますが、時間がたつと徐々に「自分は大丈夫」という正常化の偏見が頭をもたげ、防災への関心は薄れ、避難訓練への参加率も低下してしまいます。「自分や家族の命や安全が大事」だけでは限界があるのは明白です。自分だけに関心を向けていているのでは、何も発展して行きません。
それではどうすればよいのか。まず、近所でお互いに助け合うことを話し合うことだと思います。私たちはいつまでも自分のことを自分で守っていくことは出来ません。必ず年を取り体は弱くなっていきます。認知能力も確実に衰えていきます。また、頼りになる家族も仕事で遠いところに行ってしまうかもしれません。万が一の時に頼りになるのはご近所さんです。ご近所で暮らすもの同士が仲良くなるには色々な方法があると思います。なかでも、地域防災についてお互いに話し合い、もしもの時の役割分担を話し合うことは、お互いの安心につながります。そしてそういう支え合いの輪を少しづつ広げ、ご近所にお暮らしの要支援者の方やそのご家族にも関心を向けて巻き込んでいく、そうすれば自ずと地域共生社会(豊かなまち)づくりが進むこととなります。
地域防災・減災はそれ自身が目的ではありません。国や行政にとってはそうかもしれませんが、地域住民は、地域防災・減災を豊かなまちづくりのひとつの大変重要な課題として捉えるべきです。そして、ご近所同士が支え合い、協力し合って、豊かなまちづくりに主体的に参加していくことが大切です。自治会や町内会は、地域住民と豊かなまちづくりを目標として防災・減災を進めていくことが重要で、防災・減災のために地域で顔の見える関係づくりしていくわけではありません。全く逆です。豊かなまちづくり、つまり地域福祉のために地域の防災・減災があると考えていくことが必要です。なぜなら、私たち人間の生きる目標は、ただ生きながらえることではなく、周りの人、他者と我ー汝の関係をもき、豊かなまちー地域共生社会ーを実現し、地域に暮らす誰もがそこで暮らしている他の人々と共に本当にくつろげる生活だからです。豊かな福祉社会を実現していくことが、私たち人類の本当の目標だと思うのです。
※ 地域の防災と福祉の取り組みの例
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