明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日本政治の失敗と再生(3)防衛費倍増は戦争準備のサインと受けとられる!

2023-01-24 19:35:00 | ニュース

国会が始まって早速、予定通り「防衛費問題」が噴出した。論点は税金か国債かの「財源論」に集中しているようだがこの問題の本質は、先ず防衛力強化が「東アジアの緊張」を高めることにつながるが、それで国民は納得するのかどうか?、である。色々なメディアによるアンケートでは、賛成反対相半ばしているようだがこれは、問題が曖昧にぼかされている所に問題があって、もう一度スタート地点に戻って一から議論が必要だと私は思う。

1、台湾有事
この議論のスタートは「台湾有事」の際、日本が攻撃される「恐れ」があるから先制してミサイル等の発射施設を攻撃できるようにするべきだ、との意見が一部の議員から出されたように思う。だがこれは正しい意見なのか?

① 先ず台湾有事とは何なのかというと、中国が武力で台湾に侵攻する、という事らしい。その場合、アメリカは台湾を守るために「中国と戦う決意」だと言っているように見えるが実は、アメリカが本気で中国と戦えば(ロシアのウクライナ侵攻を見れば判るが)核戦争になりかねないので、実際にはアメリカは直接台湾に部隊を送ることは「躊躇する」筈である。
② ではアメリカは何もしないかというとそんなことは無くて、色々な理屈をつけて中国を困らせる作戦を取ると予想される。その場合に「日米安保協定のパートナー」日本は、否応なしに中国と対決する側に組み込まれることになるのだ。
③ 中国もアメリカと直接対峙するには相当覚悟がいるのでやりたくない。そこで表向きは「その手下である日本」を攻撃目標にするだろうというのが私の読みである。これ、やくざ映画でよくある「代理戦争」のパターンだ。しかし中国から仕掛けてくることは「絶対ない」と考えられるのだ。なぜなら台湾侵攻は中国にしてみれば内戦なので、取り合えず表向きは「外国」の日本を攻撃する理由は、今のところは無いと言える。
④ しかしどんな理由があるにしても。日本が参戦すれば話は別である。もし日本が先制攻撃でもしようものなら「待ってました」とばかりに日本を攻撃するのは火を見るよりも明らかだ。・・・これが今回問題になっている「台湾有事」の実態なのである。中国にしてみれば「願っても無い暴挙」なのだ。
⑤ 暴挙とはつまり「日本国民に対する暴挙」の意味である。というわけで、日本が台湾を中国の攻撃から守る、という意識は逆に「日本を戦争に引きずり込む」最悪の選択なのだ。果たして日本人は「台湾一国」のために亡国の道を歩むのか? 。歴史的に見ても今まで日本は、「ただの一度たりとも」中国に勝ったことはないのに、である。しかも核ミサイルを持たない日本なら、なおさら中国は攻撃しやすいだろう。正に第二次世界大戦の「二の舞」である。

2、台湾の歴史
台湾は歴史的には、中国本土の漢民族とは別の民族である。イギリスやオランダやフランスやスペインといった帝国主義国家が台湾に注目して領有を始めた頃から、中国も台湾の重要性を認識するようになった。その後色々あって日中戦争で日本が占領したが、戦争に負けた日本がサンフランシスコ条約で中国に返還し、当時の中国を代表する「国民党」のものになった。その後、国民党と共産党との内戦が勃発して敗れた国民党が台湾に逃れ、本土は「中華人民共和国」として今に至っている。なお、一応国際的には「中華民国(台湾)と国交を結ぶ国は14ヵ国」だけなのが現状だ。

よくよく考えれば台湾民族はずーっと他所の民族から「征服抑圧され」続けていて、中華民国政権自体も本土から流れて来た他人である。極論を言えば生粋の台湾人は言わば「アイヌ」のような存在になってしまっている。つまり中国と台湾の対立の根源は「国民党と共産党の内輪もめ」という中国の主張は、ある意味「正しい」と言えるのだ。そこに日本が応援する理由は「ただ政治形態が民主主義国家だ」というのに過ぎない。そもそも共産主義国家の中国は、日本にとって貿易額第一位の「最重要貿易相手国」なのだ(この事実をよーく考える事)。その日本が、政治形態の違うからという理由で中国を相手に戦争して「一体何の得がある?」というのか。まさに「意味が判らない」と言える。

3、防衛力強化は戦争準備
この防衛力強化という選択肢は、「日本滅亡の道」の始まりではないか?。いままで日本は専守防衛に徹して「どこの国とも戦争はしない」と内外に宣言していた。近年は中国と色々揉めているようだが、これも石原元都知事が尖閣諸島を「都で買う」と宣言してから、一気に外交問題に発展した経緯がある。それでも表向き中国とは戦争する気はありませんと言い続けていて、防衛力は「北朝鮮との問題」に限定し、中国とは何とか平衡を保っていたわけである(尖閣は日本が仕掛けた問題)。

それがここに来てロシアのウクライナ侵攻を例に出し、中国も「領土的野心」をむき出しにするに決まっていると決めつけて、対決姿勢を鮮明にし出した。アメリカと中国の貿易戦争が激しくなる中、その流れに乗っかって中国と対決しようなどと考えている岸田政権は、アメリカの後押しもあって「調子こいて」中国に喧嘩を売ろうとしているのが現状である。しかも国民を煽って「挙国一致体制の復活」のような危険な状況に国民を導こうとしているとしか思えないのだ。それなのに岸田首相は、結論を出す時に「どうしてその結論に至ったのか?」という思考の過程を、国民に「全く言わない」のである。納得いく説明というのは、その思考過程の共感なくしては決して成り立たない。彼の決定は、いつも理由の説明が皆無である。一つの証拠を上げれば、防衛力の増強という問題を「増税か国債か」という財源論にすり替えてしまっているのがいい例だ。そして一切の質問に「真摯に答えようとはしない」のである。これでは日本の最高意思決定権者にしておくのは、余りにも「精神的」に無理がある。

ここは国民が今一度よーく考えて、中国と戦争して「勝つ自信」があるのかどうか?、に結論を出すべきである。勿論最初の内は(前回もそうだったが)勝ち続ける場合もあるだろうと思う。だが広大な中国本土を占領するなんてことが「どのくらい兵力があれば」可能なのか?と考えれば、すぐ分かることである。そのうちにロシアが参戦して来て北海道が戦場になり、さらに「北朝鮮」が核ミサイルを撃ち込んできたらどう対処するのか?。その時「ごめんなさい」では済まないのである。アメリカは絶対に直接「戦闘はしない」だろうと断言する。だって、中華民国を「国家承認してない」アメリカなのに、全面戦争の犠牲を払ってまで参戦するなんて「どう考えたって有り得ない」でしょうが?。アメリカはこういう場合、「損得勘定」をきっちり計算して行動する国である。そう言う事を無視して「気持ちだけ」で先走って戦争を始めるのが日本民族の特徴なのだが。それこそ、アメリカは日本と一心同体というような「甘っちょろい精神論」に冒されて、軍部の暴走で先制攻撃を仕掛けたりすれば日本滅亡が待っているだけである。

4、岸田首相の性格
そこで問題になるのが岸田首相の人間性とか性格である。幕末に江戸幕府を倒した連中は「目指してることは幕府と同じ開国」だった、というのは誰でも知っている事実である。時代は封建制度が限界に達して、国の制度を根本的に変えなければならないところまで来ていた。それに加えて旧来の身分制度や財産制度を一旦チャラにするなどの抜本的な改革を実施して、ようやく世界への窓を開けたのが明治政府である。惜しむらくは士農工商の身分を撤廃するのに、元はと言えば「身分制度の根源である天皇」を持ち出してしまったのがそもそもの間違いだった。明治維新と同時に「フランス式民主主義」を取り入れればよかったのに、その代わりに「英国式国王統治方式」を取り入れたために、国は豊かになったが政治意識は低いまま、という日本の現状が出来上がってしまった。まあ、その話はまた別の時に考えるとして、問題は幕府を倒した連中が「粘り強く議論して」国民の意見を纏める、という努力をせずに、武力転覆を至上命題として突き進んだことである。第二次世界大戦の時も同じであった。国の形を変えるという肝心な時に「その主張を正々堂々と議論で戦わせる」という手順を踏まないのが日本人なのだ。

そして、典型的な「武断型の固まった頭の持ち主」が、岸田首相その人なのである!

岸田政権が支持率30%を切って危険水域に達しているというのに、自民党は不自然にも静かで安定しているように見える。岸田政権は基本的に「国民そっちのけ政権」だ。国民の声を背中に政治活動を行い、国民と考えを共有しながら政治を進めていくのが民主主義なのだが、彼は一切の決定を「国民に知らせることなく」推し進める人間だ。そもそも閣議決定って何?って思うのだが、私の認識では重要な問題についての「細かい補助的なこと」を決定するためのサブ的な方式だと考えていた。

ところが防衛力倍増とか原子力復活とか、国の方針の根幹に関わることを「国会に図ることもせずに」閣議決定していると言う。これは根本の姿勢からして「民主主義の無視」である。

最初「聞く力」とか吹聴して、見た目にはソフトな感じで総理大臣っていうキャラはまだまだ後なのかなぁ、と思ってたのも束の間、あれよあれよと言う間に「軍事費を増額する」という大技を「内輪だけ」で決め、色々な疑問点を全然議題に乗せることすらせずに、国民からしたら何をやるつもりなんだ?と「つんぼ桟敷」に置き去りにして、国会を閉じてしまった(差別用語の使用は他に思いつなかなかったので申し訳ない)。今回の国会で改めて議論するという態度であるが大筋ではもう、すべて決った事として「やるべき事をやる」という気、満々である。言わば「問答無用」って感じである。

これから日本は「異常な物価高」に賃金の上昇が追い付かず、当然消費が落ち込んで税収も減り、挙句に日銀の方針転換で金利が上がり、国民は「塗炭の苦しみ」に喘ぐことがはっきりしている。しかも増税と原発再稼働という、現状をさらに悪化させるだけの「リスク無視」の挙国一致体制への移行も明確になり、日本は「亡国の一本道」を突き進むのだ。岸田首相はもはや「操り人形」と化してしまった。これを止める方法は一つしかない。

今すぐ岸田首相を首にしないと、日本はこれから大変なことになる。



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