明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

冬に最適なイヤホンを試す(2)AVIOTを購入する

2019-12-21 22:35:19 | ニュース
イヤホンを買おうと思って5日ほど迷ったが結局私の買ったのは、AVIOT のワイヤレス「WE-BD21d」という、左右を線でつないだモデルである。アマゾンで13000円位したが、価格的には入門者より少し上の、ミドルレンジのイヤホンである。今回も散々迷った挙げ句、やっと「ベストバイかも」と考えて注文した。今日はその商品が届いたので、使用感をレヴューし、ついでにイヤホンの「音楽」との関わりを書いてゆこう。箱は商品が少々取り出しにくい「今流行りのきっちりした形状」で、私は気に入らなかった。だって、開けて取り出すまでに大分苦労したんだもん、ぐすん(全然、可愛く無い!)。この辺が障害者の辛いところである。もうちょっと簡単に「梱包出来ないもんだろうか」と、いつもながら腹が立つ。が、それは製品とは余り関係ないので、本題に入ろう。

1、使用感
まず落とす心配は皆無である。それくらい耳にバシッと密着して「全然動く気配がしない」。それでいて耳が痛くなるかと言うと、4時間くらい連続使用してみたが大丈夫だった。ちょっと右側の耳が小さいせいか浅くしか入らないので、これはイヤーパッドを色々試してみようと思う。まずは合格点である。左右をつなぐコードは首の後に「ひっついて」しまって、左右どちらかに何となく嫌な感じで偏ってくるのは仕方ないとは思うが、やはりコード式の欠点であろう。これは電池時間とのバーターだから、私としては我慢するしかない。まあ、それほど気にはならない程度である。但し、メガネチェーンとの併用は少し考えなければならないと感じた。一つ気になるのは歩くときに、ちょっと階段とか大きな段差を超えたときなど、振動が耳にダイレクトに伝わることであろうか。これは密着度が高いためにそうなるのだと思うので、密閉型カナルタイプの欠点かも。喫茶店でコーヒーを飲んでいる分には全く心配ないので、マイナス点にはしなかった。総じて使用感は合格の9点である。

2、耳への圧迫感は大
耳につけていると、外の音は「全く聞こえない」完全シャットアウトである。ノイズキャンセルでも効いているのかと思うほど聞こえないので、安全のために、少し外部音の取り込み機能を考えたほうがいいかも知れない。圧迫感は最初、耳の穴にグッと押し込む感じで装着していたが、少し余裕をもたせて「ちょっと浮かせる」感じにして途中で止めたら、かなりいい感じになったので、これも色々と試してみる必要があるようだ。少し圧迫感が強くて、使っていると痛くなるかも、というような感じが「かすかに」するのがマイナスポイントだが、落とさない安心感を考慮して、一応合格の7点とした。私は何と言っても「落っこちない」事を最優先しているのである。

3、電池の持ちは10時間以上
今まで使っていた完全ワイヤレスが3時間持たなかったので、これはもう「満点」である。充電はいつも半分になったら、夜寝ている間に100%までするので、全然問題ない。私は「充電」を面倒と思ったことはないので、2日分持つと考えればこれで充分である。このあたりがコード連結タイプの「最大の利点」であろう。欠点は唯一首に絡みつくことだけだが、コードを上に持っていって「頭に載せた」スタイルを試したが、これはダメだった(当たり前だ!)。首に巻かないで「前の喉の方に垂らして」おく方法は意外と使えるかも知れない。これは落っこちる危険があるが、AVIOT は密着感が半端ないので、充分行けると感じた。一度落っことしてみるまでは、前に垂らすスタイルで装着してみることにする。電池の持ちという点では満点の10点だ。

4、肝心の音質はというと『?』がつくかも

a. 低音域は確かに締まった音で、ややスピード感ある音を聞かせるようにも感じた。が如何せん「鳴ってます」というレベルに留まっている。ベースなどの音はきちんと聞こえるのだが、何か物足りない。音の大きさではなく、存在感が今ひとつで、深みがない痩せた音に聞こえるのである。これは、ちょっとマイナス点をつけた。もうちょっと広がりというか空気感というか、ある意味では音に「臨場感や生気」といったものが追加されたらいい感じになるのだが。そのせいか、ドラムやベースの音などが、少々煩く感じる気がした。私の持っている「SHURE のヘッドフォン」と聴き比べると、聞いた感じで言うなら、ベースの存在感が大きく迫ってきて、音楽全体をしっかり支えて包み込んでくれるのである。その迫力は AVIOT にはなかった。どちらかというと、音楽全体が「まとまり」のない感じである。これは、単に音符を綺麗に鳴らすだけでは音楽にならなくて、全体の躍動感とかパフォーマーの息遣いなどが「ひしひしと感じられてこそ」伝わるものである。といっても13000円のイヤホンにそれを求めるのは、酷というもの。結局は「値段の差」であろう。

b. 高音域はキンキンした感じはなくて、BAドライバらしく柔らかく鳴ってくれて、ギターや金管の音も一応はそれなりに聞こえてくる。よくハイレゾ対応のイヤホンなどでコスパ重視のものなどは、音がキンキンして鼓膜に刺さって困るが、そういうことはないようだ。ピアノの高音での速いパッセージなどを聞くと「伸びのあるきらびやかな高音」とまでは言えないが、まあまあの音感である。今風の若いピアニストの華麗なテクニックを満喫したい向きには、充分「お勧め」できるのではないだろうか。どちらかと言えばショパンのコンチェルトなどが楽しめそうである。冬の晴れ渡ったひんやりした外の空気を味わいながらのショパンは、特に格別である。あ、勿論「軽く流す」程度であるが。

c. 中音域とくにボーカルは難しい。やっぱり安いのはダメだ、と思う瞬間が出てくるのは仕方がない。人間の声というのは一番イヤホンなどで聞くと、「肉声」らしさが出ているかどうか分かってしまうみたいである。私は女性歌手の絶叫型が好みだが、大黒摩季なんかを「爆音」で聞いていると「声がカーテン越し」に聞こえてくるような感じで、今ひとつ「迫ってくるもの」が足りない。声はそれなりに出ているのだが、「何か反響音みたいな雑味」が混じって、肝心の「大黒摩季の姿」が遠いのだ。もっとダイレクトに「すぐそばで歌っている」ようなライブ感というか、その気にさせてくれるイヤホンが欲しい!、と思ってしまう。まあこれは、値段が5万とか出さないとダメなんだろうな、と反省した。この AVIOT は、値段を考えたら実は良い音である。色々聞いているうちに、ワーグナーのオペラが意外と聞けると分かった。ピアノ曲とオペラ、私の好きなジャンルである。どちらも「人間らしさやライブ感」を直接的には求めていない「理知的」な芸術であるから向いていたのかも知れない。ワーグナーが合うなんて、全く予想もしていなかったので大満足であった。AVIOT、意外と行けるかも。というわけで点数は7点である。

以上。

全体としては、エイジング中なので何とも言えないが、ジャパンチューニングというほどには「日本」を感じられなかった。大体がジャパンと銘打った製品にロクなものがないのはわかり切ったことではあるが、イヤホンでも実証されたわけである。私が気に入った点は、ドライバ構成が「BA2基+DD1基のハイブリッド」というのに惹かれて買ったわけだが、多少は効果があったのかも知れない。BAは Klipsch の X12 を持っているのでついつい比較してしまうが、これは比較してはいけないだろう。BAの特徴として、中高音域が繊細かつ澄み渡るような広がりを持つ音が出せる、というのがある。その代わり、低音ではダイナミックドライバに迫力やキレという点で一歩譲ると言われている。音の出方としてはその通りである。しかし音楽は、音がちゃんと出てればいいというものではない。そこに音楽特有の「生命感」が必須である。躍動し、爆発し、詠嘆し、愛を歌い上げる感情が出てこなければ「音楽」とは言えない。それを出すには理屈ではなく「企業の長年の音作りの伝統」がものを言うのではなかろうか。私はそういう意味で、SHURE や AKG を高く評価したい。SHURE は完全ワイヤレスには慎重だが、現在売られている SE425 のワイヤレスモデル BT2 は、次回購入予定リストに入っている。

実は夜中に SHURE SRH1540 ヘッドフォンで「相当大きい音」にして洋楽を聞いていたら、音楽が別物に聞こえて来た。頭の中が音楽で充満して、自分の存在が全て音楽と一体になる瞬間を体験し、音楽以外のことを考える事をやめてしまう時に実は、本当の音楽の美しさを感じる事ができるのだ。そして、その爆音の中で歌手と一体になり、自分も一緒になって歌に没入していく時に「本当のイヤホンの実力」が見えてくる。いいイヤホンは「そこに音がある」のだ。まるで「見えるように」音が存在している。それほど良くないイヤホンでは、「別室でモニターを見ているような、頭で理解して鑑賞する感じ」になるとでも言おうか、いずれにしても「直接的では」無い。このライブ感は、高級機の特権である(分かったような事を言っているが、実はこの感覚を文字で伝えるのは難しいと思う)。

結論としては、音楽は「出来るだけ音量を大きくして聴く」事である。大きな音量であれば、音楽の微細なディテールから爆発的な迫力までを十分に堪能する事ができる。音楽は「大音量」でこそ、その力を十分い発揮できるのだ。私は今回 SHURE のヘッドフォンで十分に実感した。そこへ行くとチープな作りのイヤホンでは、「音が割れ」てしまって音楽にならないのである。大きな音にした時「いいイヤホンでは音が生き生きとして聞こえる」が、ダメなイヤホンでは「耳が痛くなる」。音は正直だ。それで私はヘッドフォンを買い替える時が来るとしたら、SHURE が満を辞して「完全ワイヤレス」を出した時である、と心に決めたのである。それは何時のことか・・・。まだ2019年には BT2 シリーズが出ただけである。実はその前に SHURE の「最高の音と噂されている、オープンタイプ」のヘッドフォンも試してみたい。ああ、お金がいくらあっても足りないなぁ。

というわけで私の音楽環境は「しばらく迷走」を続けそうである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿