私は飛ばない理由を「クラブを振るのが遅いだけだ」と、最終的に結論づけた。勿論手首の力が弱いとか、身体に柔軟性がないとか、ミート率が低いとか、色々理由はある。だが理由が何であれ、速く振れないことには「飛ばない」のだ。その他の理由は言い訳に過ぎない。周りから「もっと速く振らなきゃぁ飛ばないよ?」と声が聞こえるような気持ちになるのである。ゴルフが何だかんだ言ってもスポーツの一種である以上、これは受け入れなければならない事実なのだ。私はとうとう観念した。しかしそれは最初からわかっていたのではないだろうか・・・。
一方、ゴルフは正確性を競うゲームでもある。パターの上手な人はたとえドライバーが飛ばなくても、上がってスコアを見れば「絶対有利」なことは間違いない。これから私がすべきことは、まず練習場に行っても「飛ぶ人を見てスゲェーなぁ」と思うことをやめること。飛ぶ飛ばないは、練習場に行く「最大の目的」ではないのだ。そのことを自分自身受け入れるまでには、随分と時間がかかってしまった(ちょっと遅すぎないかな?)。だがここに来て、ようやく私はゴルフの真実が分かったと思う。それは
●「ゴルフとは、飛ばないこと」と見つけたり!、である
勘違いしてはいけない、飛ばさないのではなく「飛ばない」のである。飛ばないのは体力がないからだ。端的に言えば、「階段を降りるのに、手すりにつかまりながらソロソロ」降りている老人に、ヘッドスピード45mでクラブを振れ、と言う方が無理なんである。腕立て伏せや懸垂や腹筋や垂直跳びは勿論、体力測定と言われるあらゆる動作が全然ダメである。平均値にも行っていない。ちょっと前、リハビリ施設に通っていた頃の話だが、握力を測りましょうと言われて「思いっきり握力計を握ったら」、出てきた数字は「8」だった!。20とか30ではなくて「8」なのである」。そういう基礎体力はおろかジョギングすら出来ない非力なリハビリ老人が、「250ヤード飛ばす」なんてことはもはや、空想を跳び超えた「認知症レベルの戯言」でしかない。ああ、衰えた己を呪う日々よ!
とまあ、自分の実力に観念し切った私は、ようやく練習場で「正確にヒットする」技術の習得に時間を費やすことにした。勿論同時に最大限に力を出す練習もするのだが、それは飛距離のためではなく、「正確にヒットする」ために最大限に力を出す必要があるからだ。その力の余裕が、正確さをもたらすからである。身体の力を抜いて、手先でソロっと振ったら「あらゆるミス」が待っている。クラブは体幹を使って大きく動かしてこそ、安定したスイングが可能なのだ。アプローチのような短い距離を正確に打つためには、尚更手先を使う当て方は厳禁である。そこで新しく、練習プログラムを変えてみることにした。
ところで私事のご報告だが、ほぼ一年ぶりに取手桜ヶ丘で友人たちと楽しくラウンドしてきた。取手桜ヶ丘はフラットな林間コースで、距離も短くフェアウエイも広い。OBは殆ど無くて、林に打ち込んでも「下草が無く」ボールが見つかるから、プレイヤーはストレス無くラウンドできて「爽快この上ない」最高の気分である。たとえミスショットしても「ミスは1打で終わる」から、2打目でナイスショットすれば「ダメージは殆ど無い」のだ。ミスは「全てプレイヤーの性(さが)」である。ラフが深くて打つのに苦労したり、フェアウエイであっても前下がり前上がりまたは左下がりや複合と難度が上がり、はたまたアップダウンが激しくてピンがブラインドになるとか、勿論フェアウエイが狭く左右がOBで池が迫り出しているなど、ティーグランドで立ち往生しかねない作りのコースが、世間には多い。そんな難コースに挑戦するから面白い、というような上級者は「どうぞ難しいコース」に行って下さい、と言いたい。
この取手桜ヶ丘は100から90前後のプレイヤーが、「今一段、技術をアップ」するためにプレーするコースなのだ。コンセプトは何よりも「ゴルフの楽しさを味わい尽くす」ということである。この、ゴルフの原点に戻ってプレイヤーを暖かく迎える取手桜ヶ丘は、都内からすぐ行けて「藤代」の駅から無料バスで10分とアクセスも良く、私のような初心者に取っては「最高に素晴らしい、楽しいゴルフ場」だと断言できる。
唯一のマイナス点は食事だけなのだが、老人にとってボリュームがあるというのは「決してメリットでは無い」のである。それより「味が良い」事のほうが満足度は高いと思う。今回私はカツカレーを注文したが、カツも大きくご飯も大量で、食べるのに相当根気がいった。それでいて「味はただのカレー」だから、食べ終わっても「量を食べただけ」という、記憶に残らない食事である。ゴルフをやるような人は老人とは言えない元気一杯な人だ、という考えもあろうが、皆んな言うのには「最近、食が細ったね」である。欲を言えば量は半分にして豚肉の脂の旨さが心地よく、そして何より「ご飯が美味い」と楽しめたんじゃ無いだろうか。要するに「ボリューム満点定食」を3品と「味わい定食」を3品用意すれば、いろんな年齢のお客様にも十分対応できると思うのだ。勿論カレーは「どちらの定食」にも入っていて、お客が好みで選べるというのがベストである。老人だってカレーはちょっとお腹に重たいが、「カレーのスパイスは味わいたい」のだ。こういう年代別のアプローチが、ゴルフ場の食事には有効だと私は思う。ちなみにトンカツだが、山梨県大月市にある「花咲カントリーのカツ御膳が最高!」だと申し上げたい。カツサンドも絶品である。いかんせん、大月は柏から遠いので中々行くのを躊躇するが、5年たった今でも「あのカツの味」が忘れられない。まだカツ御膳やってるかな?。こういう、「食事で惹きつけるゴルフコース」というのがあっても、私はいいと思う。
さて雑談は程々にして、今回のラウンドで得た「私の気付き」を少し書いてみたい。
1、これからは100ヤード以内の距離感を身につける
一緒に回ったSN氏やH氏・S氏のスイングは色々と問題点はあるとしても、そこそこ前に進む点では大して問題点とは言えないレベルである。その中でもSN氏は、特にドライバーが以前のスイングとまるで違った安定感で打ち出しも高く、殆どフェアウエイは外さずに距離もしっかり出ていて、見事の一言だ(ヨイショでは無い!)。「あれ?、こんなに飛んだっけ?」と驚くくらいに飛んでいる。それを話したら「お前が飛ばなくなったんじゃないの?」と返された。確かに。
昔は私が2打目地点に行くと、大分後ろの方から「打つよー!」と言われたものである。時には50ヤードも距離が違っていた。だからウッドはパー5でしか使わなくて、そのほかは全部アイアンで打っていたから、当然のように「ウッドが苦手」になっていたのである。それで練習場でも当たらなくて打つ回数もガタ減り、またまた下手になるという「負のスパイラル」に陥っていた。その考え方の原点は、ドライバーがちゃんと当たればそれで十分という「飛ばしの優越感」である。とにかく仲間より前に飛んでいれば、その日の気分は「上々」になる。それが現在は、仲間で一番飛ばない人間になってしまったのだ。悲しいことである(その現実を私は受け入れた)。
だが今回「飛ばないことを受け入れる」ことで、逆に新しいゴルフの地平が見えてきたのである。パー4であれば、まず間違いなく「ボギーオン」はする。ちょっと短いホールなら、間違ってパーオンすることもあるだろう。そこで重要なのが「パター」である。寄せて2パットで行ければ、90では回れるのだ。それにはアプローチ技術が大事になる。勿論ドライバーが真っすぐ飛んでバンカー等のトラップに引っかからないことが前提になるが、そもそも200ヤードしか飛ばないのだから、曲がったって大したことない。言うなれば「そんなもの屁でもない」ことじゃないですか。無理してマン振りするからトラブルになるのである。今回SN氏のドライバーを見ていてそれを実感した。気負いなく、実にスムーズに振っている。まるで達観した聖人のようである。彼が唯一ミスを犯したのは、池を目の前にしたパー4ホールで、いよいよ「ライバルのS氏」を引き離そうとした「メンタルの一瞬の隙」が、彼のスイングをおかしくした。たった一瞬である。だが、それがゴルフの怖いところであり、面白いところでもある。池の脇のブッシュに打ち込んだその1ホール以外は、綺麗な弾道で見事にフェアウエイを捉えていたのだ。ボールはロストしていた。気を取り直し新しいボールを出して打ったあと、池を振り返った彼の横顔が相当悔しそうだったことを思い出す。
●クラブは8割で振ると、最高のパフォーマンスが生まれる
これは何もオトナシク打つという事ではない。バランス良く全体の力を上手く均等に使うには、一番弱い部分を基本にして振らなければスムーズには振れないのだ。それが8割ということである。全体で8割だが、一番弱い部分は「目一杯力を出す」のが秘訣と考える。それで全体としてのパワーが上がって「距離が出る」のでは無いだろうか。
2、ボールの行方は追わずに、インパクトをしっかり見る
これもゴルファーには有りがちなことだが、ボールを打つ瞬間にボールから目が離れて、ボールの行方を追ってしまう。今回SN氏が気をつけていることとして、「インパクトの瞬間をしっかり見ることだ」と言っていた。インパクトの時にボールを見ろ、と言うのは良く言われるアドバイスなのだが、本人は「脳の中でインパクトしたつもり」になり、見ていると主張するが実際は見ていないのである。だが実際に「インパクトの瞬間」を目でしっかりと見ていたら、どうしたって頭を上げるのに時間がかかるから「傍目には頭の残った綺麗なスイング」に見えるのである。だからSN氏の「インパクトを見る」というのは、スイングする上で「とても重要」だと思う。勿論実際に「自分の目で見て確認する」ことが必要だ。これを大事にすれば、どこに飛んでいったかという観客目線ではなく、「どこに当たっているか」という選手目線に自分の意識を持っていける。
●まず正しいスイングをするに専念すること。
打つ前には誰でも正しいスイングをした場合、「どこに飛んでいくか」は計算しているはずなのだ。計算は「打つ前に済ませておけ!」である。一旦アドレスしたら、普段どおりに練習場のスイングをもう一度繰り返すのみ。勿論ライだとか色々考えなければいけない状況は本コースには当然出てくる。しかしよく考えてみれば分かると思うが、正しいスイングが出来ない人間に「様々なライに対処する技術」を求めるほうが無理では無いだろうか、という考えもまた真である。まずはキチンと振り切ること。それが出来る前に「あれこれ細かい技術」をやろうとしても上手くはいかない。もし正しいスイングを覚えずに失敗したら、「何故失敗したのか」の理由にスイングの間違いが入ってきて答えが出なくなってしまう。コースでは色々考えることもあるだろうが、まず正しいスイングを心掛けること。それだけで90は切れる。
3、ラフからのアプローチはインパクトを強くする
寄せワンを目指すにはアプローチの精度が不可欠である。ところが練習場のマットでいくら練習しても、実際のコースでは全く役に立たないのがアプローチ技術なのだ。特に芝が密生しているところでは、クラブを「そ~っと」振っていると芝に負けて、思った距離が全然出ないことが多々ある。これは、ゆっくり振って「パチン」と当てるのが正解なようだ。当然ヘッドを返す動作は「飛びすぎる」ので不要である。ヘッドを返さず「パチンと打って20ヤードを正確に打てる」ようになってくれば、実際のラウンドでは10ヤードが楽に打てるようになる計算だ。
●アプローチ練習は、力を入れて「インパクトで緩まない」振り方がベスト
これから私は、この方法を練習場で実践することにした。2時間の打ちっ放しであれば最低30分はこの練習に時間をかけたいと思う。後はドライバーに20分、スプーンに30分、ユーティリティとロングアイアンに30分、最後にピッチングを10分ほど打ち分けて終わりである。
4、正しいスイングの秘訣
今回新たにプレーして気がついたことを書くと、ドライバーで引っ掛けるミスは「ちゃんと前傾姿勢を保つ」ことで殆どなくなった。それ以外にダウンスイングに入る時「左腰を後ろに引く」動作を意識的に行うことで、左へのスエーや右肩の下がりや起き上がり・左に向いてしまうなど、あらゆるミスを軽減できることが分かったのである。
a. スイングの間中、前傾姿勢を保って振る
これはマン振り防止にもなる。正確に最大効率で力を100%入れるのと、ただもう力一杯に振ってスイングがメチャメチャになるのとの違いが、この前傾姿勢に現れる。分かっちゃいるけど・・・は卒業しよう。あと何年プレー出来るかを考えれば、お互いもう若くはないのだから。つまり「綺麗に振る」ことが、結局は「飛距離を伸ばす」最大の効果を生むということ。
b. ダウンスイングを始める導入動作として、左のお尻を後ろに引く
同時に、左肩が上がってしまわないように左肩を入れ直す動作が重要である。これは正しいスイングを行うにあたり、インパクトでの身体のバランスを保つのに有効だ。お尻を引けば伸び上がりを抑えられ、伸び上がらなければ「トップやダフリ」といった一番腹が立つミスも激減する。
c. 左腕を伸ばし、右手はインパクトちょい前まで脱力
ダウンスイングの軌道を決めているのは左肩と左腕である。トップからインパクトまで殆どの力は「左手を正しい軌道で振り下ろす」ことに使われていると言っても過言ではない。右手の出番は「その後」である。ハーフウェイダウンまで左手がリードして、それからは右手首で思いっきりインパクトするのである。コースに出ると、ボールに当てたい一心で腕が縮こまり、ヘンテコなスイングになるプレイヤーが多い。ここは原点に帰って練習場でのスイングを思い出し、正しいスイングに徹することだろう。信ずれば救われる、だ。
d. フィニッシュは決めること
打った後はフォームを崩してひたすらボールの行方を追いかけるのもダメだとは言えないが、スイングはフィニッシュまで「しっかりと振り切りたい」。大体、ボールというのは「目線の方向」に飛んでゆくものである(勿論構えたときの目線ではなく、打った後の目線である。勘違いしないように)。しっかりフィニッシュを取ることで「いつもの正しいスイング」を思い出せば、自ずと「力み」も取れていいショットが出ると思う。普段通りに振れば、「普段通りに飛んでゆく」筈なのだ。コースで普段できないことを望む方が間違っているのである。普段150ヤードしか飛ばないのに、今日に限って「160ヤードも飛ぶ」なんて筈が無いのだ。皆んなの飛距離ではなく、「自分の飛距離」を受け入れること。よく「あれ?、短い!」と言う人がいるが、傍で見ていると「大体そんなもの」なのだ。もっと番手を上げろよ、という話である。
5、シャローイングについて
私の友人のSN氏が急に「シャローイング」について語り出した。テレビ番組でたまたま取り上げていたらしく、興味を持ったようだが、その目的が「飛距離を後、20ヤード伸ばしたい」と聞いて私は嬉しくなった。彼は仲間内では元々が飛距離より小技に優れていると思われていて、年間2、30回のゴルフをこなし安定して90前半、たまに80台も出るというゴルフ上級者である。私は、彼はもう飛距離は求めていないのかと思っていたが、実は飛距離への欲求を「内心に隠し持っていた」と知って、ゴルフの楽しさの原点を再確認したのだ。
●やっぱりゴルフは「気持ち良く飛ばさ」なけりゃダメだよね〜
勿論気持ち良く飛ばしても、人によって飛ぶ距離は違う。だが距離に関わらず「ずしっと来るインパクト感」は共通なのでは無いだろうか。気持ち良いインパクトの後、ボールが「青空に中を真っ直ぐ飛んでゆく」というのは、ゴルフの醍醐味である。その割合が多ければ多いほど、帰りの反省会で「饒舌になる」のは誰しも経験があろう。安くはない金を払ってゴルフ場に行くのには、この「爽快感・満足感を味わいたい」がためでもある。そこでSN氏のシャローイングが出てきたわけだ。
私の理解ではシャローイングっぽい動きは、多かれ少なかれ、大多数のゴルファーが無意識にやっていることである。ダウンスイングで「右手で打ちに行くアマチュア」は別として、身体の回転からダウンスイングを始動しているゴルファーは当然「打とうとすると体が沈み込む」から、クラブも倒れてスイング軌道がやや低くなるのが「当たり前」なのだ。これに比べて「フジモンティのGG理論」などの本格的シャロースイングは、積極的にクラブを倒し「更にクラブヘッドをシャット」にすることによって「インパクトでのヘッドの返し」を減らすというものである。これにより安定した方向性を生み出し、尚且つ身体の回転力を最大限に使った飛距離の増加をも手に入れようという、いわば別理論というべきものだと思っている。SN氏は「ちょっとやってみようかな」とか言って軽い気持ちで言っていたが、シャローイングを取り入れるということは「スイングの根本的改造」になるので、今日は「やめた方がいいよ」と申し上げた。結局この日はシャローイングを試すことなく、スコアも89で回れたので「正解」だと私は思っている。
勿論、SN氏の飛距離への想いはシャローイングなどという「高度な技術」を習得しないくても、十分達成できると私は思っていて、そのためにはバックスイングで少しスイング軌道を「今よりもアップライト」に上げ、逆にダウンスイングで「正しい軌道に戻すこと」で、力の方向をインサイドから下ろすように変え、よりボールにロスなく力を伝えることで「初速が伸び」、結果飛距離を伸ばすことが可能だと思う。後は練習場でどれだけ新スイングを自分のものにできるかだが、彼は練習場でのスイング改造については「最初どうしても当たらないので、次第に嫌になってやめてしまう」と言っていた。この辺が難しいところであるが、私はSN氏の努力が「実を結ぶこと」を願って今回のブログを終わりにしたい。多分一回でも気持ちの良い当たりが出て、「飛距離220ヤード」を目の当たりにすれば、どんなに練習嫌いの彼でも「ウキウキして通う」ことは間違い無いのだが、果たしてそんな日がSN氏に来るのかどうか・・・。
●やっぱりゴルフは、教える人の上手下手による・・・だね。
一方、ゴルフは正確性を競うゲームでもある。パターの上手な人はたとえドライバーが飛ばなくても、上がってスコアを見れば「絶対有利」なことは間違いない。これから私がすべきことは、まず練習場に行っても「飛ぶ人を見てスゲェーなぁ」と思うことをやめること。飛ぶ飛ばないは、練習場に行く「最大の目的」ではないのだ。そのことを自分自身受け入れるまでには、随分と時間がかかってしまった(ちょっと遅すぎないかな?)。だがここに来て、ようやく私はゴルフの真実が分かったと思う。それは
●「ゴルフとは、飛ばないこと」と見つけたり!、である
勘違いしてはいけない、飛ばさないのではなく「飛ばない」のである。飛ばないのは体力がないからだ。端的に言えば、「階段を降りるのに、手すりにつかまりながらソロソロ」降りている老人に、ヘッドスピード45mでクラブを振れ、と言う方が無理なんである。腕立て伏せや懸垂や腹筋や垂直跳びは勿論、体力測定と言われるあらゆる動作が全然ダメである。平均値にも行っていない。ちょっと前、リハビリ施設に通っていた頃の話だが、握力を測りましょうと言われて「思いっきり握力計を握ったら」、出てきた数字は「8」だった!。20とか30ではなくて「8」なのである」。そういう基礎体力はおろかジョギングすら出来ない非力なリハビリ老人が、「250ヤード飛ばす」なんてことはもはや、空想を跳び超えた「認知症レベルの戯言」でしかない。ああ、衰えた己を呪う日々よ!
とまあ、自分の実力に観念し切った私は、ようやく練習場で「正確にヒットする」技術の習得に時間を費やすことにした。勿論同時に最大限に力を出す練習もするのだが、それは飛距離のためではなく、「正確にヒットする」ために最大限に力を出す必要があるからだ。その力の余裕が、正確さをもたらすからである。身体の力を抜いて、手先でソロっと振ったら「あらゆるミス」が待っている。クラブは体幹を使って大きく動かしてこそ、安定したスイングが可能なのだ。アプローチのような短い距離を正確に打つためには、尚更手先を使う当て方は厳禁である。そこで新しく、練習プログラムを変えてみることにした。
ところで私事のご報告だが、ほぼ一年ぶりに取手桜ヶ丘で友人たちと楽しくラウンドしてきた。取手桜ヶ丘はフラットな林間コースで、距離も短くフェアウエイも広い。OBは殆ど無くて、林に打ち込んでも「下草が無く」ボールが見つかるから、プレイヤーはストレス無くラウンドできて「爽快この上ない」最高の気分である。たとえミスショットしても「ミスは1打で終わる」から、2打目でナイスショットすれば「ダメージは殆ど無い」のだ。ミスは「全てプレイヤーの性(さが)」である。ラフが深くて打つのに苦労したり、フェアウエイであっても前下がり前上がりまたは左下がりや複合と難度が上がり、はたまたアップダウンが激しくてピンがブラインドになるとか、勿論フェアウエイが狭く左右がOBで池が迫り出しているなど、ティーグランドで立ち往生しかねない作りのコースが、世間には多い。そんな難コースに挑戦するから面白い、というような上級者は「どうぞ難しいコース」に行って下さい、と言いたい。
この取手桜ヶ丘は100から90前後のプレイヤーが、「今一段、技術をアップ」するためにプレーするコースなのだ。コンセプトは何よりも「ゴルフの楽しさを味わい尽くす」ということである。この、ゴルフの原点に戻ってプレイヤーを暖かく迎える取手桜ヶ丘は、都内からすぐ行けて「藤代」の駅から無料バスで10分とアクセスも良く、私のような初心者に取っては「最高に素晴らしい、楽しいゴルフ場」だと断言できる。
唯一のマイナス点は食事だけなのだが、老人にとってボリュームがあるというのは「決してメリットでは無い」のである。それより「味が良い」事のほうが満足度は高いと思う。今回私はカツカレーを注文したが、カツも大きくご飯も大量で、食べるのに相当根気がいった。それでいて「味はただのカレー」だから、食べ終わっても「量を食べただけ」という、記憶に残らない食事である。ゴルフをやるような人は老人とは言えない元気一杯な人だ、という考えもあろうが、皆んな言うのには「最近、食が細ったね」である。欲を言えば量は半分にして豚肉の脂の旨さが心地よく、そして何より「ご飯が美味い」と楽しめたんじゃ無いだろうか。要するに「ボリューム満点定食」を3品と「味わい定食」を3品用意すれば、いろんな年齢のお客様にも十分対応できると思うのだ。勿論カレーは「どちらの定食」にも入っていて、お客が好みで選べるというのがベストである。老人だってカレーはちょっとお腹に重たいが、「カレーのスパイスは味わいたい」のだ。こういう年代別のアプローチが、ゴルフ場の食事には有効だと私は思う。ちなみにトンカツだが、山梨県大月市にある「花咲カントリーのカツ御膳が最高!」だと申し上げたい。カツサンドも絶品である。いかんせん、大月は柏から遠いので中々行くのを躊躇するが、5年たった今でも「あのカツの味」が忘れられない。まだカツ御膳やってるかな?。こういう、「食事で惹きつけるゴルフコース」というのがあっても、私はいいと思う。
さて雑談は程々にして、今回のラウンドで得た「私の気付き」を少し書いてみたい。
1、これからは100ヤード以内の距離感を身につける
一緒に回ったSN氏やH氏・S氏のスイングは色々と問題点はあるとしても、そこそこ前に進む点では大して問題点とは言えないレベルである。その中でもSN氏は、特にドライバーが以前のスイングとまるで違った安定感で打ち出しも高く、殆どフェアウエイは外さずに距離もしっかり出ていて、見事の一言だ(ヨイショでは無い!)。「あれ?、こんなに飛んだっけ?」と驚くくらいに飛んでいる。それを話したら「お前が飛ばなくなったんじゃないの?」と返された。確かに。
昔は私が2打目地点に行くと、大分後ろの方から「打つよー!」と言われたものである。時には50ヤードも距離が違っていた。だからウッドはパー5でしか使わなくて、そのほかは全部アイアンで打っていたから、当然のように「ウッドが苦手」になっていたのである。それで練習場でも当たらなくて打つ回数もガタ減り、またまた下手になるという「負のスパイラル」に陥っていた。その考え方の原点は、ドライバーがちゃんと当たればそれで十分という「飛ばしの優越感」である。とにかく仲間より前に飛んでいれば、その日の気分は「上々」になる。それが現在は、仲間で一番飛ばない人間になってしまったのだ。悲しいことである(その現実を私は受け入れた)。
だが今回「飛ばないことを受け入れる」ことで、逆に新しいゴルフの地平が見えてきたのである。パー4であれば、まず間違いなく「ボギーオン」はする。ちょっと短いホールなら、間違ってパーオンすることもあるだろう。そこで重要なのが「パター」である。寄せて2パットで行ければ、90では回れるのだ。それにはアプローチ技術が大事になる。勿論ドライバーが真っすぐ飛んでバンカー等のトラップに引っかからないことが前提になるが、そもそも200ヤードしか飛ばないのだから、曲がったって大したことない。言うなれば「そんなもの屁でもない」ことじゃないですか。無理してマン振りするからトラブルになるのである。今回SN氏のドライバーを見ていてそれを実感した。気負いなく、実にスムーズに振っている。まるで達観した聖人のようである。彼が唯一ミスを犯したのは、池を目の前にしたパー4ホールで、いよいよ「ライバルのS氏」を引き離そうとした「メンタルの一瞬の隙」が、彼のスイングをおかしくした。たった一瞬である。だが、それがゴルフの怖いところであり、面白いところでもある。池の脇のブッシュに打ち込んだその1ホール以外は、綺麗な弾道で見事にフェアウエイを捉えていたのだ。ボールはロストしていた。気を取り直し新しいボールを出して打ったあと、池を振り返った彼の横顔が相当悔しそうだったことを思い出す。
●クラブは8割で振ると、最高のパフォーマンスが生まれる
これは何もオトナシク打つという事ではない。バランス良く全体の力を上手く均等に使うには、一番弱い部分を基本にして振らなければスムーズには振れないのだ。それが8割ということである。全体で8割だが、一番弱い部分は「目一杯力を出す」のが秘訣と考える。それで全体としてのパワーが上がって「距離が出る」のでは無いだろうか。
2、ボールの行方は追わずに、インパクトをしっかり見る
これもゴルファーには有りがちなことだが、ボールを打つ瞬間にボールから目が離れて、ボールの行方を追ってしまう。今回SN氏が気をつけていることとして、「インパクトの瞬間をしっかり見ることだ」と言っていた。インパクトの時にボールを見ろ、と言うのは良く言われるアドバイスなのだが、本人は「脳の中でインパクトしたつもり」になり、見ていると主張するが実際は見ていないのである。だが実際に「インパクトの瞬間」を目でしっかりと見ていたら、どうしたって頭を上げるのに時間がかかるから「傍目には頭の残った綺麗なスイング」に見えるのである。だからSN氏の「インパクトを見る」というのは、スイングする上で「とても重要」だと思う。勿論実際に「自分の目で見て確認する」ことが必要だ。これを大事にすれば、どこに飛んでいったかという観客目線ではなく、「どこに当たっているか」という選手目線に自分の意識を持っていける。
●まず正しいスイングをするに専念すること。
打つ前には誰でも正しいスイングをした場合、「どこに飛んでいくか」は計算しているはずなのだ。計算は「打つ前に済ませておけ!」である。一旦アドレスしたら、普段どおりに練習場のスイングをもう一度繰り返すのみ。勿論ライだとか色々考えなければいけない状況は本コースには当然出てくる。しかしよく考えてみれば分かると思うが、正しいスイングが出来ない人間に「様々なライに対処する技術」を求めるほうが無理では無いだろうか、という考えもまた真である。まずはキチンと振り切ること。それが出来る前に「あれこれ細かい技術」をやろうとしても上手くはいかない。もし正しいスイングを覚えずに失敗したら、「何故失敗したのか」の理由にスイングの間違いが入ってきて答えが出なくなってしまう。コースでは色々考えることもあるだろうが、まず正しいスイングを心掛けること。それだけで90は切れる。
3、ラフからのアプローチはインパクトを強くする
寄せワンを目指すにはアプローチの精度が不可欠である。ところが練習場のマットでいくら練習しても、実際のコースでは全く役に立たないのがアプローチ技術なのだ。特に芝が密生しているところでは、クラブを「そ~っと」振っていると芝に負けて、思った距離が全然出ないことが多々ある。これは、ゆっくり振って「パチン」と当てるのが正解なようだ。当然ヘッドを返す動作は「飛びすぎる」ので不要である。ヘッドを返さず「パチンと打って20ヤードを正確に打てる」ようになってくれば、実際のラウンドでは10ヤードが楽に打てるようになる計算だ。
●アプローチ練習は、力を入れて「インパクトで緩まない」振り方がベスト
これから私は、この方法を練習場で実践することにした。2時間の打ちっ放しであれば最低30分はこの練習に時間をかけたいと思う。後はドライバーに20分、スプーンに30分、ユーティリティとロングアイアンに30分、最後にピッチングを10分ほど打ち分けて終わりである。
4、正しいスイングの秘訣
今回新たにプレーして気がついたことを書くと、ドライバーで引っ掛けるミスは「ちゃんと前傾姿勢を保つ」ことで殆どなくなった。それ以外にダウンスイングに入る時「左腰を後ろに引く」動作を意識的に行うことで、左へのスエーや右肩の下がりや起き上がり・左に向いてしまうなど、あらゆるミスを軽減できることが分かったのである。
a. スイングの間中、前傾姿勢を保って振る
これはマン振り防止にもなる。正確に最大効率で力を100%入れるのと、ただもう力一杯に振ってスイングがメチャメチャになるのとの違いが、この前傾姿勢に現れる。分かっちゃいるけど・・・は卒業しよう。あと何年プレー出来るかを考えれば、お互いもう若くはないのだから。つまり「綺麗に振る」ことが、結局は「飛距離を伸ばす」最大の効果を生むということ。
b. ダウンスイングを始める導入動作として、左のお尻を後ろに引く
同時に、左肩が上がってしまわないように左肩を入れ直す動作が重要である。これは正しいスイングを行うにあたり、インパクトでの身体のバランスを保つのに有効だ。お尻を引けば伸び上がりを抑えられ、伸び上がらなければ「トップやダフリ」といった一番腹が立つミスも激減する。
c. 左腕を伸ばし、右手はインパクトちょい前まで脱力
ダウンスイングの軌道を決めているのは左肩と左腕である。トップからインパクトまで殆どの力は「左手を正しい軌道で振り下ろす」ことに使われていると言っても過言ではない。右手の出番は「その後」である。ハーフウェイダウンまで左手がリードして、それからは右手首で思いっきりインパクトするのである。コースに出ると、ボールに当てたい一心で腕が縮こまり、ヘンテコなスイングになるプレイヤーが多い。ここは原点に帰って練習場でのスイングを思い出し、正しいスイングに徹することだろう。信ずれば救われる、だ。
d. フィニッシュは決めること
打った後はフォームを崩してひたすらボールの行方を追いかけるのもダメだとは言えないが、スイングはフィニッシュまで「しっかりと振り切りたい」。大体、ボールというのは「目線の方向」に飛んでゆくものである(勿論構えたときの目線ではなく、打った後の目線である。勘違いしないように)。しっかりフィニッシュを取ることで「いつもの正しいスイング」を思い出せば、自ずと「力み」も取れていいショットが出ると思う。普段通りに振れば、「普段通りに飛んでゆく」筈なのだ。コースで普段できないことを望む方が間違っているのである。普段150ヤードしか飛ばないのに、今日に限って「160ヤードも飛ぶ」なんて筈が無いのだ。皆んなの飛距離ではなく、「自分の飛距離」を受け入れること。よく「あれ?、短い!」と言う人がいるが、傍で見ていると「大体そんなもの」なのだ。もっと番手を上げろよ、という話である。
5、シャローイングについて
私の友人のSN氏が急に「シャローイング」について語り出した。テレビ番組でたまたま取り上げていたらしく、興味を持ったようだが、その目的が「飛距離を後、20ヤード伸ばしたい」と聞いて私は嬉しくなった。彼は仲間内では元々が飛距離より小技に優れていると思われていて、年間2、30回のゴルフをこなし安定して90前半、たまに80台も出るというゴルフ上級者である。私は、彼はもう飛距離は求めていないのかと思っていたが、実は飛距離への欲求を「内心に隠し持っていた」と知って、ゴルフの楽しさの原点を再確認したのだ。
●やっぱりゴルフは「気持ち良く飛ばさ」なけりゃダメだよね〜
勿論気持ち良く飛ばしても、人によって飛ぶ距離は違う。だが距離に関わらず「ずしっと来るインパクト感」は共通なのでは無いだろうか。気持ち良いインパクトの後、ボールが「青空に中を真っ直ぐ飛んでゆく」というのは、ゴルフの醍醐味である。その割合が多ければ多いほど、帰りの反省会で「饒舌になる」のは誰しも経験があろう。安くはない金を払ってゴルフ場に行くのには、この「爽快感・満足感を味わいたい」がためでもある。そこでSN氏のシャローイングが出てきたわけだ。
私の理解ではシャローイングっぽい動きは、多かれ少なかれ、大多数のゴルファーが無意識にやっていることである。ダウンスイングで「右手で打ちに行くアマチュア」は別として、身体の回転からダウンスイングを始動しているゴルファーは当然「打とうとすると体が沈み込む」から、クラブも倒れてスイング軌道がやや低くなるのが「当たり前」なのだ。これに比べて「フジモンティのGG理論」などの本格的シャロースイングは、積極的にクラブを倒し「更にクラブヘッドをシャット」にすることによって「インパクトでのヘッドの返し」を減らすというものである。これにより安定した方向性を生み出し、尚且つ身体の回転力を最大限に使った飛距離の増加をも手に入れようという、いわば別理論というべきものだと思っている。SN氏は「ちょっとやってみようかな」とか言って軽い気持ちで言っていたが、シャローイングを取り入れるということは「スイングの根本的改造」になるので、今日は「やめた方がいいよ」と申し上げた。結局この日はシャローイングを試すことなく、スコアも89で回れたので「正解」だと私は思っている。
勿論、SN氏の飛距離への想いはシャローイングなどという「高度な技術」を習得しないくても、十分達成できると私は思っていて、そのためにはバックスイングで少しスイング軌道を「今よりもアップライト」に上げ、逆にダウンスイングで「正しい軌道に戻すこと」で、力の方向をインサイドから下ろすように変え、よりボールにロスなく力を伝えることで「初速が伸び」、結果飛距離を伸ばすことが可能だと思う。後は練習場でどれだけ新スイングを自分のものにできるかだが、彼は練習場でのスイング改造については「最初どうしても当たらないので、次第に嫌になってやめてしまう」と言っていた。この辺が難しいところであるが、私はSN氏の努力が「実を結ぶこと」を願って今回のブログを終わりにしたい。多分一回でも気持ちの良い当たりが出て、「飛距離220ヤード」を目の当たりにすれば、どんなに練習嫌いの彼でも「ウキウキして通う」ことは間違い無いのだが、果たしてそんな日がSN氏に来るのかどうか・・・。
●やっぱりゴルフは、教える人の上手下手による・・・だね。
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