明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

政治ニュースに一言(2)国交省データ改竄の意味、私はこう考えた。

2021-12-19 17:59:19 | ニュース

というわけで、ニュースの方では盛り上がっているみたいだ。そこで、この件についての国交省の言い訳は聞かないことにして、私はこの問題の「意味する所」を考えてみる事にした。

解決1、担当者の意識

基幹統計データは、各省庁の集計分析データの元になる最も基礎的な数値である。その集計が出鱈目だった。これは何よりも、該当省庁の事務処理担当者の意識が「プロではなかった」という一言である。利益を追究する民間企業の社員とは違って、公務員の作業結果に対する評価基準は「曖昧」になりやすい。黙って仕事をさせれば権力や金を求める「上昇志向」にしかモチベーションを得られなくなる、というのが常識だ。そこで担当者の意識を高めるために、通常は2つの方法を取っている。つまり

① 競争意識で誘導する・・・これは時間や効率で競わせる方法。今回はこれがデタラメ統計の直接的原因になった。そもそも集計の目的が「言われたからやる」のでは、中身がどうこういうよりも「出しさえすれば良い」となるのは目に見えている。それを管理するのが上司の役目だが、今回は上司自らが改竄を指示したというから何をか言わんや、根が深い。

② プロ意識を徹底する・・・これが本来のあるべき姿。誰に頼まれたというのではなく、集計の目的を明確に理解し、それに最適の集計方法で作業を進めていく。勿論、作業時間や効率などの制約はあるものの、進捗状況を逐次上司に報告しつつ、適宜応援を求めながらも「実直に事実を積み重ねて、あるがままの数値を反映させること」に邁進するというのが正しい公務員の在り方である。まあ、当然と言えば当然の職務態度なのだが、これが国交省の担当者には「なかった」。

担当者及び上司が基幹統計データの重要性を十分に認識していれば、このような改竄はあり得なかっただろう。それが起きたということは政府・省庁の職員の意識の中に、統計によって「事実を明らかにする=数字を冷徹に忖度無く集計する」という基本姿勢が「完全に欠けていた」という事になる。由々しき事態である。もう一度初心に立ち返って、データ集計の基本理念を頭と体に叩き込んでおくべきだ。

○ 数字を正確に集計することで、上層部に正しい分析と原因の解明、そして最も有効な対策を出させよ・・・これは「事実に基づいた」政治、いわゆる「レアリスム」を根底にした政治の実行につながる(一番直近の例では、コロナ禍における幽霊病床問題があった)。

解決2、オープンな環境

データを作成する担当職員が正しい集計方法を行い、結果(=事実)を報告したとして、政府上層部が「それでは気に入らない」場合にも今回の改竄に似たような問題が出てくる。それは政府に取って具合の悪いデータ、つまり、国民にとっても「不都合な真実」であるような統計結果が出てきた場合、それを政府が隠すというような「意図的な隠蔽体質」が上層部に根深く浸透している時には、政府に都合の良いデータしか我々の目には触れない事になる。こういった歪曲を時の政府に許さないために、特別な権限を持った「会計監査院」という機関があるのである。

実はこのデータ改竄の問題は、令和元年の会計監査院の調査で「既に指摘されていた」そうだ。そんなに早い段階で「データ書き換え」が明らかになっていたのに、何故か問題が国民に明らかになったのは、今年の「朝日のスクープ」が出てからなのである。何でサッサと発表しないのか?と思うのは私だけでは無いだろう。もし「朝日」が書かなかったら果たして我々は国交省のデータ改竄という、「あってはならない誤魔化し」をもしかしたらこの先何年も「知らずに過ごしていた」かも知れなかったのだ。これは政府という公の機関が、自分達が国民から信託を受けて国民を代表して政治を行っているという「公僕の原則」を忘れ、まさに上級国民という、明治以来の悪しき伝統が「今なお政府内に蔓延っている」証拠では無いだろうか。

以前に労働統計データを何年も間違って出していたことがあった。経産省だか厚労省だかどこかの省が国民に陳謝して、確か私も年金が少々還付されたという記憶がある。しかし今回、国交省の提出したデータは間違っていたというレベルではなく、明らかに「上司が改竄を指示していた」のだ。何ていう事か!。民間企業なら会社の経営に関わる大問題として、それに関係した職員は「停職か解雇にあたる重大規律違反」に問われるであろう。過去にも自動車メーカーによる「排気ガスのデータ改竄問題」が明らかになって、国から処分されただけでなく「企業イメージ」にも重大なダメージを与えたこと、記憶に新しい。これを恐れて改竄を行なった者は「何とか隠蔽しようと」するわけである。だから会計監査院が登場するのだ。会計監査院が国民の立場に立って仕事をしてくれていれば、今回の改竄も「もっと前に明らかになっていた」筈である。

○ 会計監査院は問題点を省庁に指摘するだけで無く、「どういう問題があったか」について、全て官報に「即刻」掲示すべし・・・これは、会計監査院が正常なチェック機能を果たすためには、「臭い物に蓋をさせない」で表に出すことが必要だという自己批判である。

解決3、デジタル化で効率化

最後に、現省庁の事務作業がいかに遅れているかという点について、政府はもっと真剣に改革するべきであると言いたい。デジタル庁とか何とかいっているが、未だに中央政府と各自治体とを結ぶ「各種データのやり取り」が時代遅れ、という指摘を受けている。もはや「ハンコを無くそう」というレベルでは無いのだ!。中には未だにファクスでやり取りをしているために保健所からの医療データが「山積み」になって、作業が遅れに遅れていたと笑い物になっている悲劇すら発生しているという。10万円給付でもそう、コロナワクチンの登録でもそう。何から何まで、全部アナログに毛が生えた状態でやっているから、担当職員の努力にも関わらず、やってる仕事は「小学生以下」の体たらくである。日本が過去に世界第三位の経済大国だったというのは、皆んなが労働環境をものともせず、全て「人海戦術」で必死に働いていたからからなんである。これって、今どきあり得ないでしょう?!

○ とにかくデジタル化を小出しにせず、全体の青写真を「まず作ってから」仕事に入れ・・・都市の再開発は意欲満々なのに、省庁事務のデジタル化は「遅々として進まない」のが問題である。それはデジタル化による「利点」が明確じゃ無いからだ。どうしてデジタル化が今の日本に取って「最も重要な課題」なのか。それをまず国会で、各党喧々諤々議論することが必要不可欠である。・・・要するにデジタル化を進めるということは、「馬や伝書鳩」に頼っていた連絡方法を「5Gのネット回線でリアルタイムにする」ぐらいに画期的な改革になる筈なのだ。それを実行するには、今のデジタル庁長官では「いささか心もとない」と思うけどねぇ。

解決4、真相の解明と関係職員の処分

まずはこの問題を有耶無耶にしないことである。自民党政権下では、森加計問題や赤木自殺問題に桜の会問題など、あらゆる疑惑が「曖昧のまま」放置され忘れ去られようとしている。国民がこれらの問題を「とことん暴いて」白黒ハッキリさせなければ、民主主義そのものの崩壊につながるであろう。芸能人の過ちはマスコミも国民もよってたかって叩き潰し、涙を流して謝罪しても決して許さないのに、政治家の疑惑には「どういうわけか甘い」のが日本人である。この「お上には逆らわないのが一番」というか、「長い物には巻かれろ」式の考えというか、または「寄らば大樹の陰」的心理、あるいは「農民に染み付いた奴隷根性」とでも何とでも言おうか、要するに「日本国民は全員平等だ」という心を持って、厳しく対処するのが当然であろう。もし指示したのが国交相の事務次官とか大臣とか(あるいはもっと上のレベル)であっても、そういうことに忖度せず「厳正に処分または解雇」する姿勢が望まれるのである。私はこの処分について、その調査結果や審議の過程を「全てオープン」にすることを望む。

以上。国交省データ改竄問題でした。

 

追加:私のブログに、時々信じられないことが起こる

実は昨日の夜9時過ぎに、私のブログへのアクセスが「超沸騰」したのだ!。どうやら古代史ファンの方が私の過去記事を検索しまくっていたみたいである。何はともあれ、まずはご来訪感謝申し上げたい。ちなみに古代史はしばらくお休みしているが、これは私が古代史に飽きたというのではなくて、実は今、古代史最大の謎と言われている「卑弥呼」を勉強しているからなのだ。調べているのはご存知「斎藤忠先生」の本である。この本により卑弥呼の実像に迫り、あわよくば邪馬台国の秘密をも一緒に解き明かしちゃおう、という相当に虫の良い目論見で目下鋭意勉強中である。今回は、いつもと違ってじっくり読み込んでから、最後に「ブログで」新しく得た知識を披露しようと計画している(ネタバレには注意!)。多分ブログにアップするのは来年になるだろうと思うが、今ワクワクしながら読み勧めている所だとご報告しておきたい。皆さん、ご期待のほど・・・。


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