空観方程式

「色」と「空」の一体化によって可視化され、相互作用で共感・共鳴が生じ、新たなる思いや生命力が実体化される。

コロナウイルスの感染状況(東京都)

2020年08月12日 | スクラップブック
ACE2受容体:
アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme, ACE)は
アミノ酸を805個エンコードする。
心臓の保護、血管拡張、成長への抵抗と増殖への抵抗の
役割がある。

新型コロナウイルスのスパイクと結びついて、
細胞の中に取り込んでしまい、感染が成立する。
子どもにはほとんどなく、年齢が上がると増える。
また、高血圧や糖尿病、肥満でも数が増える

新型コロナウイルスにとって2020年8月現在
98%自然免疫で処理される。
主に飛沫感染である為、
人の密集による感染依存がある。

高齢者はACE2受容体の増加と免疫力低下によって
重篤化リスクが高い。


東京都の日別
感染者数(1波と2波)と死亡者数の推移 (対数)


感染者の増加速度は1波2波共に同傾向だった。
重篤患者の発生にはタイムラグがあるものの、
重篤患者数は1波に比べ2波では激減した。
1波では感染者の減少と死亡者数増加によって、
人工呼吸器使用数量が減少した。



世代別の死亡率(~7月)


インフルエンザ(2018年)との比較



山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信
・多くの感染者が無症状、もしくは軽症なのは、自然免疫が関与している
・感染しても80%の人は、他人に感染させない
・感染しても30~50%では症状が出ない
・感染してもPCR検査で陰性となる場合がある
・発症しても多くの場合は発熱や咳などの軽症
・味覚・嗅覚異常が主症状のことがある。
・高齢者や持病を持つ患者を中心に重症化、致死率も高い



他の感染症との比較(ワールドワイド)例
結核が致死率最上位で2番目が新型コロナ(covid-19)
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動的平衡状態とバランス・オブ・パワー

2020年03月20日 | 読書・TV感想
最後の講義 ドキュメンタリーTV・ nhk
福島伸一教授の動的平衡
および
「動的平衡」の視点から「不安定な社会」を見る
不安定な状況を創り出すことで、あらゆる変化に対応できる高次元の
「安定」を実現しているのだ。
この「動的平衡」の考え方は生物学だけではなく社会を理解する時にも
ヒントになるのではないか。(柴沼俊一 Future Society 22)


「動的平衡」の視点から「不安定な社会」を見る  生物学者 福岡伸一教授
私たちは宇宙の大原則である「エントロピー増大則」に支配されている以上、
築き上げたものは崩れ、秩序あるものは無秩序化する。
一つの場所で止まっていることはできず、分散していきます。
でも、38億年も生きながらえてきた生物はどうやって朽ち果てることに
抗ってきたのでしょう。
生物は堅牢になることを諦め、自分で自分の細胞を壊すことを選んだんです。

例えば片足を前に差し出すことで、体全体のバランスを崩しています。
その不安定な状態を解消しようとして、もう一方の足が自然と前に出るんです。
最初に「分解(エントロピーの増大)」があり、「合成(自己組織化)」が起きる
というサイクルを、絶え間なく繰り返し続けていることで、
高次元の「安定」をつくり続けている、これが「動的平衡」の考え方です。
互いに影響し合うという「関係性」、「つながり」だけは変わらない。
細胞は変わっているのに、細胞同士がつながりながら、全体としては
バランスを取っているんです。


感想:
動的平衡とは、互いに逆向きの過程が同じ速度(程度)で進行することにより、
系全体としては時間変化せず平衡に達している状態を言う。 wikipedia
分解と合成・創造と破壊・過去と今・プラスとマイナス
人間の脳も矛盾したことを考えているし、
まったく関係ないもの同士をつなげたりしている。
決してロジカルではない。偶然もあるし、カオスだ。
まさにその二次元的な相互作用によって、
即ち混沌によってバランス・オブ・パワーを保っている。

長期的な生命維持のためにサステイナビリティという
方法がある。
丈夫で頑丈なものを作って環境の変化に対応しようとしない。
何のために(私は)生きるかとか、
優勝するために、成功するために頑張るといった
一方向だけでなく、正反応と逆反応の意識を同じように
作用させることで、意識の動的平衡を維持させる。
いい時もあれば、悪い時もある。柔軟に対応する。
その方が安定的であって長持ちする。

空観方程式の意識化では、
「空」と「色」、「虚」と「実」
複素空間と実空間、個人と公共(外部要因)、
内なるものと外なるもの
中空構造や自分自身の固有領域などが
二元性の相互作用での動的平衡の結果であった。
空観方程式ではこれを純粋実空間と複素空間と呼び、
それによりバランス・オブ。パワーを保つ。
左側が複素空間で、右側が純粋実空間である。

例えば「合成」が青で、「分解」が赤である。
相互作用によって実空間に安定を作り出している。
また「色即是空」が青で、「空即是色」が赤である。
そして「涅槃寂静」が純粋実空間に対応する。
同様に
自分の周りにある外部要因が青で、感情が赤である。
正反応と逆反応の速度が同じ場合には動的平衡となり、
反応系を構成する各物質の濃度(実空間)は変化しない。
複素空間では感情と逆向きの意識を相互作用させる。
そうした複素空間では、プラスとマイナスあるいは
互いに逆向きの行程が同じ速度(程度)で進行させることで、
日常の実空間では系全体として時間変化せず
プラスのみの平衡に達している状態。
「怒り」のない時空の意識空間を維持する。
「諸行無常」が複素空間で、
「今何をしているのか?」を純粋実空間という。

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バランス・オブ・パワーのための複素空間

2020年02月19日 | スクラップブック
[起]
意識空間においては複素空間(虚空間)と
純粋実空間とがある。
二元の意識によって自由度が増加するからだ。
実空間はバランス・オブ・パワーのロジック
であって、夢や希望に対して、好き嫌い
といった感情による判断や行動ではなく、
また、何かにとらわれることでもなく、
どうすればプラスとなるかだけの問題である。
即ち日常実生活での心構えに相当する。 


動的平衡状態(左側:虚空間)
   

[承]
しかし人間は感情の動物である。
例えば怒りの感情によって決断したり、
判断ミスや、不安な気持ち、
イライラしたり、緊張したり、
余計な力が入ったりするものだ。

特に仏教には心の三毒と呼ばれている
猛毒がある。
この猛毒が日常のバランスを崩壊させる。
即ち、怒りや貪り、妬みによって
心が反応しないためにどうするかである。

このための意識を「複素空間」と私は呼んでいて、
無意識や潜在意識を意識してみる領域であり、
これはいわば日常実空間とは異なる
バランス・オブ・パワーの意識と対峙する
領域である。
言い換えればバランス・オブ・パワー
であるのかどうかを分析評価する意識
領域である。


[転]
ところで
バランス・オブ・パワー(勢力均衡)とは、
突出した脅威が生み出されることを抑制し、
地域不安や紛争の誘因を低下させることを
目的として考案されたバランス型の秩序モデル。
友好関係の有無やその程度を示すものではなく、
対立の力関係が崩壊することで戦争が発生する。
ウィキペディア

バランス・オブ・パワーのロジックとは
好き嫌いの問題ではない。
プラスなのかマイナスなのかの問題なのだ。
従って、好き嫌いの感情と、勢力のバランスを
同居させないことだ。
いわば国家間での外交と同じことであり、
日本にとって何をすればプラスなのか
どうすればマイナスにならぬのかの問題だ。

例えば、なぜロシアと中国が協調しているのか、
なぜイランが様々な中東のパートナーたちと
勢力を結集しつつあるのか。
独裁主義や反米主義とパワーバランスとは
同列ではない。
また、アメリカとイギリスは
第二次世界大戦において
ソ連と同盟を組んだのが、これは彼らの間で、
ナチス・ドイツを倒すことのほうが
長期的な共産主義の懸念よりも重要である、
と認識されていたからだ。
ナショナリズムやポピュリズム、
イデオロギーよりも、国家として
プラスなのかマイナスなのか、
勢力のバランスを優先した結果である。
敵か味方ではなく、
バランスのためならば「悪魔とも手を握る」
というロジックだ。
仏教でいう三毒が、ナチス独裁政権のように
バランスを著しく損なう。

[結]
日常での純粋実空間においては
バランス・オブ・パワーのロジックを適用する。
その為に分析評価領域である複素空間との
二元の意識を用いる。即ちこの虚空間では
自分を変えてみる方法(条件付き)と、
ありのまま(無条件)の自分を観察する
方法がある。
私はこの様な二元を複素空間(観)と呼んでいる。



ありのままでの方法は
苦という原因は、無くすことはできない。
その原因の排除にはとらわれないことだ。
できないことを考えるのではなく、
どうすればできるかを考える。



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世界から注目された日本人 2019年

2019年10月24日 | 記事のコメント
即位礼正殿の儀






吉野彰名誉フェロー ノーベル化学賞受賞



成功の秘訣については柔軟性と執着心を挙げました。
 旭化成名誉フェロー・吉野彰さん:成功の秘訣
「研究者というのは基本的に一つは頭が柔らかくないといけない。
もう一つが真逆の執着心というんでしょうか。
しつこくしつこく最後まで諦めない。この2つが必要だと思います」

つらい時期ハードワークを乗り越えるための心がけとして
柔軟性だけでもダメ、執着心だけでもダメ。
2つ備えることで初めて多面的な問題に対応できる。
まさに虚往実帰の複素空間の意識である。
(純粋実体空間は複素空間へ帰還させることでつながる)



渋野日向子選手 ゴルフ全英オープンで優勝





試合では「結果」ではなく、「やるべきこと」のみを目標にしていた。
まさに「笑顔」によって、純粋実体空間が顕現された試合であった。


大坂なおみ選手 テニス全豪オープン優勝






井上尚弥選手 ボクシングチャンピオン



ラグビーワールドカップ ベスト8進出





世界陸上2019 金メダルと銅メダル


指揮者コンクール 沖澤のどかさん優勝

世界的な指揮者の登竜門「ブザンソン国際若手指揮者コンクール」で
日本の沖澤のどかさんが優勝を果たしました。(19/09/22)

スケボー



ハヤブサ2 竜宮へ2度目のタッチダウン





ユニクロ 世界市場で拡大


ホンダエンジン(パワーユニット)搭載F1で
ワンツーフィニッシュを達成





トヨタ2年連続となるルマンのワンツーフィニッシュを達成


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違いを呑み込んだ同一性 ビジュアル編

2019年10月08日 | 記事のコメント
二元領域で表現される意識空間であって、
それにより多様性への対応を維持しながら、
混合することなく
一つの関係で結ばれていて一体化している。
(違いを呑み込んだ同一性:中沢新一)
任意における、対立のない世界の表現となっている。


明治神宮内苑と外苑
  通路でつながれる(往来している)


内苑:分析評価空間(隠なる状態)と外苑:実体空間(顕現)   

比叡山延暦寺のにない堂
  通路でつながれる(往来している)


分析体現評価空間(動的:追認すること)      純粋実体空間(静的:知ること)   


金剛界と胎蔵(界)
  精神(悟りと慈悲)と多様性(現実)とが 
  秩序化(顕現化)でつながれている(往来している)

   分析評価空間(動的)          実体空間(静的)    


原子配列空間(結晶周期)とスペクトル空間とが
  フーリエ変換でつながっている(往来している)

   分析評価空間               実体空間  (AlMnCo合金結晶) 

機械運転振動と周波数スペクトルとが
  フーリエ変換でつながっている
   安定した(日常の)機械運転分析評価を帰還させる

    分析評価空間                実体空間


  
複素空間は分析評価空間(オイラーの公式)であって、
         実空間と一体である(オイラーの等式)
  

空観方程式では
複素空間と実空間の二元意識領域は
波動関数とエネルギーの関係であって、
波動関数の二乗でつながっている(虚往実帰
対立のない(争いのない)意識空間としての表現。

     分析評価空間            純粋実体空間  

複素空間
プラス思考とマイナス思考との相互作用
プラスとマイナスとが共存する感情(渇愛)
とを優先して一体化する分析評価空間である。
例えば感情スペクトルとして分析評価する。
実空間
プラスのみの純粋実体空間
(複素空間へ帰還させることでつながる)


虚(今何をしたいのか?)が実空間で混在すると、
成功を選ぶから失敗する」となってしまう。(下図)
(良いか悪いか、損か得かのような分別の世界となる)




他方、
一体化空間でありながら、尚
対立のない世界の表現については、
混合の弁証法であって、
無分別と無条件での救済(宗教)がある。
「無明」の発見による、あらゆる苦しみからの解放。
色と空、自灯明と他灯明等ゴータマの教えであって、
意識的相互依存との関係によって混合一体化する。
(マインドフルネス瞑想法などでは、
心の反応することがないように訓練し、混合領域を拡大する)

違いを呑み込む同一性の事例
自力と他力
  ほとけの救済の場(共存)でつながる





無分別の世界と、違いを呑み込む同一性は、
「無明」の発見による帰還にある。
実空間において苦しみは存在する。しかし渇愛がなければ
(複素空間があることで心の反応がなければ)
苦悩に陥ることはない。(そのために複素空間がある)
コメント

渋野日向子プロの全英オープン優勝

2019年08月05日 | スクラップブック
祝:渋野日向子プロの全英オープン優勝
笑顔は「私は今何をしているのか?」にもっぱら注意を向けさせる。
喜怒哀楽ではなく、現実をあるがままに「感じる」ことである。
即ち一打一打に集中して、ただそれだけを積み重ねることができる。
一つ一つのプレーに一喜一憂しないことだ。



優勝したいという渇愛の火を完全に消してしまえば、
それに代わって完全な満足と平穏の状態が訪れる。
まさにゴータマ(仏教)の悟りだった。

 
スマイルこそは最高、最強の武器である。(「ゴルフPRESS」舩越園子 = 文) 



付録:あとがき
最終日 共に首位タイの18番ホール

米国サラス選手はこの距離であれば確実に決められていたので、この一打
バーディパット決めれば優勝だ!と思ってパット。(集中力を欠いたままのパット) 


渋野選手は強く打って1打で決めるか、オーバーして3打となるのか、の決断中。
(笑顔を交えて)どのようなパット「今、何をするか?」に集中にしていた。


笑顔の効用について:
結果はサラス選手パー、渋野選手は6mのバーディパット決めて優勝。
強い意識によって一喜一憂を表情に出さないでいると、最後のクライマックス場面に
優勝したい!の渇愛がプレーに顕現してしまう。サラス選手(想像)
いうなれば、目的と手段が混在してしまった状態での一打であった。

最終ホールの渋野選手はサラス選手と同じバーディパット決めれば優勝となったが、
渋野選手は最後のパットを「今、どう打つのか?」の手段に集中した上で強打した。
強い意識によって喜怒哀楽を封印するのではなく、まさに笑顔によって喜怒哀楽を、
渇愛である一喜一憂の顕現を封じ込め、かえってプレーに集中できた。
コメント

虚と実の二元論と「ミアレ」の原理

2019年08月05日 | 読書・TV感想
中沢新一著「アースダイバー 東京の聖地」2017より

明治神宮は、代々木の内苑と青山にある外苑と
二つの部分で成り立っている。
伊勢神宮も、
内宮と外宮という二つの宮で成り立っている。
二つの神社はシンメトリーをなしている。

さまざまな集団が移り住んで、より大きな集団を
形成していくときの知恵である。
「違いを呑み込んだ同一性」をつくるための、
じつに巧妙な原理なのだ。



ところが明治神宮に現れている二元論は、
伊勢神宮とは違う本質を持った二元論なのである。
それは「二重構造のうちにあらわれている霊力」である。

明治神宮の代々木内苑は内側に閉じこもる「隠す」考えで、
青山の外苑は自分を「開こう」としている。
異質な空間が南北の二本の連絡通路でつながれていて、
矛盾したものを統合する原理でできている。
人間の心の自然体の構造を、そのまま表現している。



世界がどのようにして生まれてくるのかをめぐって、
日本人が抱いてきた無意識の思想にほかならない。
内苑と外苑の二重構造のうちにあらわれているものは、
「ミアレ」の原理と呼ばれ、物事の生成をあらわす、
きわめて古い日本語である。

創造の原理としての「ミアレ」
世界の本質は、その閉ざされた見えない空間から、
存在の世界に向かって、神々はあらわれ出ようとする。
そのとき、聖なる力のミアレが起こるのである。

卵のように外から閉ざされた空間の中に、霊力は隠れている。
その力が現実世界に向かって、自分を開いていく。
そのとき現実世界のただ中に、神的な力が純粋に戯れているような
特別な場所がつくりだされる。神の「ニワ(斎場)」と呼んだ。
閉じ込められていた霊力が、ミアレをつうじて、神のニワに顕現し、
遊び戯れるのだ。
内苑と外苑の二元論は、ミアレの原理が、近代的な装いをして復活を
とげている。ニワである明治神宮外苑には、ミアレの原理を復活させて
絵画館や競技場が作られた。

内苑の幽から外苑の顕へ。
隠された状態から顕現された状態へ。
神話から歴史へ。
このミアレの構造を空間で表現したのが、明治神宮の二元論である。
内苑の幽(かくれ)の空間と、外苑に実現された顕の空間は、
はじめから一体でなければならない。
外苑なしの内苑も、内苑なしの外苑も考えられない。

幽から顕へというミアレの原理は、
前方後円墳の継承儀礼の例にも存在する。
霊界に隠れてしまった霊が、
四角い土檀の上で新天皇の登場が演出された、と
考古学者は考えている。



感想:
ミアレの原理は「創造の原理」にほかならない。
「閉ざされた見えない空間から、存在の世界に向かって、
あらわれ出ようとする」とある。
そのとき、聖なる力のミアレが起こるのである。
その力が現実世界に向かって、自分を開いていく。

空観方程式においての二元論も、虚と実の関係にあって、
虚である複素空間は意識の空間として、
「閉ざされた空間の中に隠された状態にある」
シュレーディンガーの猫の様なフタ付きの箱の中にある。
箱のフタを開けない限り、複数の状態を同時に持っている。
そこでの相互作用の力によって、現実の実空間へ、
いわば存在の世界に向かって、顕現する。

即ちそこでの複素空間と実空間と同様の関係を言い表す
「ミアレ」の原理は、古来からの日本にあった
意識としての概念であり、精神文化として存在していた
とは、まさしく驚きを禁じ得ない。

そもそも複素空間と実空間の関係は、次のような意識化である。
自分の意味を自分で見つけ、
自らを信じ、自らを頼りにして生きる。
法を頼り、自分の次元で自分を考えることだ。
これがブッタの二元論(自灯明・法灯明)

そこで
複素空間と実空間の二元の関係を中沢風に言えば、
虚空観と実空観が作用する力は、ミアレの力と同様に
「卵のように外から閉ざされた空間の中に隠れている。
その力が現実世界に向かって、自分を開いていく。」
この虚空観と実空観の構造を空間で表現したのが、
複素空間であり、まさしく言い得て妙!である。
その意識概念が虚空間と実空間との二元論となっている。

複素空間の意識は箱の中にある。
喜怒哀楽、悩める空間の世界である。
自と他、いきさつとこだわり、渇愛とあるがまま、
虚空観と実空観とが相互作用を起こして合成され、
現実世界に向かって出てゆく。(ミアレの力)

複素空間と実空間の二元関係は、意識と無意識の二元論ではなく、
正と負の意識と、(エネルギーや確率のように)正だけの意識との関係だ。
目的と手段の関係に近い。渇愛と同様に目的と手段が混在するから
苦の原因となる。
目的は箱の中で相互作用させることで、手段とは混在することがない。
いわば隠された状態から顕現された状態への意識化。
「虚である複素空間と、二乗することで実現された(ミアレの力)、
実体でのエネルギー実空間は、はじめから一体でなければならない。」


   内苑       外苑
  目的の設定     手段
 正と負の意識    正だけの意識
 
コメント

客観論的世界観と目的論的世界観との違い

2017年08月23日 | 読書・TV感想
こころの時代「唯識にいきる」
唯識の科学性 Aug.20.2017 NHK

科学者と宗教学者との対談
横山紘一(仏教学者)
大栗博司(理論物理学者)

共通した認識
人間も与えられた機能が発揮できている時が幸せである。

異なった認識
正しいかどうかをどのようにして証明するのか。
科学者:共通の言語である数学を使って証明する。
仏教学者:人によってすべて異なるが、
多数の人が幸せな状態となることで普遍性があり正しい。





丸山圭蔵著「生きるよすがを求めて」1997によれば、客観論と目的論の中で、

現代人は宗教家と科学者の互いに相いれない二つの世界観を合わせもっている。
科学技術は妥当性を検証するための方法に共通性があり、世界中どこでも通用する普遍性がある。
目的論的世界観では共通性に劣り、それを信ずる集団でしか通用しない。
そして正しいかどうか検証する手段がない。そうでないことの証明はできないから無敵である。

これによれば
多数の人が幸福になるとは、厳密には限られた集団の中での話であって、
いつでも誰にでもあてはまる普遍性ではないので、正しいことの検証にはならない。
幸せな状態となることが正しいとなると、自分にとって都合のよい面だけが強調されて
歯止めがなくなる。

丸山圭蔵著「生きるよすがを求めて」
(「MARC」データベースより)
生物機械論と生気論、客観論と目的論、還元論と全体論という生物学における生命についての対立的論議をとりあげ、順に考察。
生きているということはどういうことか、生命の本質について生物学的に論考する。
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レモン電池

2017年07月05日 | 科学
レモン電池の実験

レモン一個を二つに割って、
はさみで切れる薄い銅版と亜鉛メッキ(トタン)板の電極から
3対の電池を直列につないでLEDを発光させた。






写真のように3対の電池を直列につないだところ電圧は1.5Vであった。
レモン電池によってLEDを発光させるには3対以上の電極が必要である。

お子様の電池教材にどうぞ
白亜イーハトーブ工房より
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成功と幸福は別物である---洋の東西を問わず

2017年04月07日 | 読書・TV感想
TED Talks より

 

「成功すれば幸せになる」は誤りで
「幸せであれば成功する」が正しい
「病気でなければ健康である」は誤りで
「健康であれば病気にならない」が正しい
 Shawn Achor
現状が幸せである方法を見つける。
筋肉を鍛えるように、ポジテイブな脳にする。

(幸せを感じながら)やり抜く力、が成功の秘訣
 Angela Lee Duckworth



100分De名著 より
三木清著 人生論ノート1941年 創元社

成功と幸福は別物である
 解説:岸見一郎

幸福はオリジナルなもので誰も真似することができない。
成功と幸福を混同していると、組織にコントロールされる。

真の幸福とは
「鳥の歌うが如くおのずから外に現われて、他の人を幸福にする」
成功と幸福を同一視するようになって幸福が理解できなくなった

幸福に気付くかどうかは、成功するかどうかにかかわらない。

成功は誰でも可能であるが、過程であって、到達することがない。



空観方程式としての感想:
成功と幸福の二相系であって、それぞれが相互に関係している。
いわば縁起であって、ここでも別々に見える二相の状態によって、見える化される。
「色即是空」「空即是色」が幸せと成功の相互関係について表現されている。
ただし、「成功は幸せを導いてくれるわけではない」という関係である。
雪と水との二相系 付録参照

Shawn Achorは今ではMITの超人気心理学者なのだそうだが、2400年前には東洋に
同じ様なことを考えていた人物がいたとは、「人間の幸せ」については、科学技術がいかに
この先進化しようが、あまり変わらないということか。


付録:
時節柄、二相系の安全と安心でも、量的なものと質的なものとの関係がある。
対立物としてならば、安心と信頼との相互依存関係である。
ここでも安全と安心を同一視してはならない。

「清風払明月 明月払清風」 
清風明月を払い、明月清風を払うという五言対句で、禅のことば。
「美しく輝く月」はそれだけでただ美しい。
「さわやかで清らかな風」はそれだけでひたすら爽快だ。
風と月は対立するものではなく、一体である。 迷いを払いさった『空』である。

いずれの場合も双方のバランスとハーモニーにより成り立つべきものである。
コメント

注目された日本人

2016年11月09日 | スクラップブック
2016年ではノーベル医学生理学賞に大隅良典・東京工業大栄誉教授が選ばれた。
3年連続のノーベル賞受賞は大いに注目される。
それにスポーツ界では何といっても米国大リーグでの3000本安打達成イチロー選手や
プロゴルファーの松山秀樹選手があげられるだろう。



その他、今年は世界ランク4位としたテニスの錦織選手やリオ・オリンピック陸上
400mリレーで銀メダルだった日本人チームが印象的であった。


世界3階級制覇を達成した長谷川穂積(真正)。
35歳9カ月で世界王座を奪取して3階級制覇を果たした。そして
王者のまま引退する道を選んだ。
コメント

無義の義とは----歎異抄

2016年04月27日 | 記事のコメント
NHK100分で名著「歎異抄」よりの感想   (蓮如写本)

[起]
解説者である宗教学者釈 徹宗が、難解な所でもわかりやすい言葉で
親鸞の教えとはいかなるものかを伝えて切れ味が良い。
その上でどう生きるかであって、こうしなさい、これが正しいのだという指南書ではない。
例えば仏教でよく使われる言葉で「自我に囚われる」という表現がある。
番組ではそれを、「自分が正しいと思った瞬間に、自分の都合を振り回す」
と説明。その人間の本性を指摘しながら解説している。
念仏も同様で、念仏称えようとする心をたまわったことで称えさせていただくので
信じるものが救われると同様に、念仏すれば救われるといった条件次第ではない。
他力の思想は誤解を生みやすいことで、人間の都合を徹底して回避する。
歎異抄ではそこを文書(リミッター)によってきっちりと遮断している。
あくまでも自分が起こした信心ではなく、「仏からたまわった信心」がポイントである。
すべては他力の道筋であると徹底している。

各人各様の物語によって、自分のありようが問われる。
歎異抄は著者の都合を振り回わそうとしている訳ではなく、親鸞の教えとは
いかなるものかを伝えようとする。
番組で使われた言葉を多用させていただき、ブログとして書留める。


[承]
第十条 念仏(他力)には無義をもつて義とす。不可称不可説不可思議のゆゑ にと仰せ候ひき。

仏からたまわった信心であれば、人間の都合や条件、選別の作用(はからい)は入らない。
「弥陀のはからいにおまかせする」ことで、自分の都合に執着しないことによって
ルサンチマンが発生しないようにすることが日本独自の思想となっている。
誓願はすべての人を救う願いであるが、泳げる人と泳げない人がいれば、
泳げない人から救済する。
西洋の原罪思想あるいは救済思想から来る善か悪かの
選別思想ではなく、いわゆる悪人正機によってルサンチマンを乗り越えようとしている。

「善悪のふたつ、総じてもって存知せざるなり」
仏の目から見た善悪は、とても自分にはわからない。と親鸞は言う。
人間である自分は、何を見ても自分の都合というフィルターを通して考えてしまう。
と前述の釈徹宗氏がいうように、ここでも人間の都合やルサンチマンを人間が考えた
善と悪によって排除するのではなく、発生しないようにすることにある。
仏教とはそもそも知と信が一体になっていて、知性は信仰に裏付けされている。
親鸞は自分自身の知も信も、不完全なものでしかないという立場である。
だからこそ救い(物語)のめあてとなる。

人間はどんなにえらそうなことを言っても、状況次第よってどんなことでもしてしまう。
したがいどちらが善で、何が善なのかという形而上学とは一切関知しない。
だから善い行いをして救われるというスタンスではない。
加えて中庸の尊重、あるいは陽陰双方による調和の一体化に価値を見出し重きを置くので、
善か悪かだけではなく、いわばミドルクラスという確固たる存在としても認められる。

 
[転]
形而上では人間が行う都合による選別(排除・差別)が入り込む。
それでは報復や怨念・妬み、恨といった解消できないので、
哲学者ニーチェにとってルサンチマンの解消には別の方法が必要となった。
いわば「神は死んだ」との結論に至った。

哲学者鈴木大拙は著書「日本的霊性」のなかで、
「不思議な事には千五百年ほども経過した歴史を有しながら、浄土思想は、
支那においては親鸞的な霊性直覚に到達しなかったのである。
そうしてこの思想は支那にもなく、インドにもなく、欧州(ユダヤ・キリスト教)
にもないのである。」とある。

同じ救済型の他力思想でありながら、浄土仏教とキリスト教とは180度異なる。
浄土仏教では宇宙に生命が生まれた時から現在に至るまで、今後も「ありのままに」
なのであり、無義の義とは「はかりごと無き」であって、ルサンチマンにとっても
弥陀の誓願は既に達成されているのであって、はかりごとから開放される。
従って善い行いをすれば救われるというスタンスではないし、いわんや
「求めよ、さらば与えられん、尋ねよ、 さらば見出さん、叩けよ、さらば開かれん、
神のみこころにかなう願いをするなら」と比べてみても、
浄土仏教には条件や強制が無く、苦難に向かおうという意思は、仏から
たまわったものという意識。

 
[結]
現代では毎日がはかりごとの生活だ。そしてそれはなかなか思い通りにならない。
その中でも「弥陀のはからい」の物語に出遇うことで、大きな自由と喜びの体感に
感謝(念仏)していこうとする、極めて特徴的な思想である。
弥陀のはからいに出遇う喜びで、おのずと自分のはからいがなくなる。
人間のはからいが自然(じねん)を妨げる。そのはからいによってできなければ
任せるしかない
。煩悩具足の自分を救うために阿弥陀仏(救済原理)は存在する。
その仏からたまわったその信心によって、自我に囚われた状態から救済される。
それが幸せに生きることに繋がり、それで元気をいただき、各人各様の生きた物語を
喜ぶことができる。
他力本願といいながら、実は極めて強いプラス思考(自分の為に準備された物語
即ち自我に囚われない、知と信が調和させる(弥陀の他力)物語のように思う。

  秩父清雲寺 しだれ



付録
役に立つものだけが生きやすい世界とは、人間の価値基準を基にした世界でのこと。
現代の人間の価値基準とは例えば貧富とか、美醜とか、意味があるとかないとか、
ひとがいいとか、仕事ができるとか、その中で生きる限り、自分が正しいと思った瞬間に、
自分の都合を振り回してしまう
リスクを同時に併せ持つ。
もし役立つものが傍にいてくれれば、自分の都合を振り回すこともない。
そもそも古代の人間には今の価値基準がなくたって幸せだったに違いない。
仏さまを傍で感じる。まして仏さまが、「助けてあげよう」と言っていたのだと感じれば、
すべてに建設的に取り組み、他人に対して安心を与えるように接することができる。

NHKスイッチインタビュー  (2016年04月12日)
山中伸弥さんと渡辺謙さんの対談から
ノーベル医学賞の山中教授が、離れて暮らす母親から夢枕電話エピソードについて
紹介があった。研究医から臨床医を目指そうと、土地購入の契約前日に
母親から電話があった。
「死んだお父ちゃんが夢枕に立って、伸弥に思い留まるように言えとそういったんだ」
悩んだ末に、奈良先端科学技術大学院大の助教授に応募する。そこで
iPS細胞という技術に出会うことができた。偶然という事もあるだろうが
自分の人生に大きな作用が働いたと感じることが誰にでもあると思う。
ノーベル賞級の科学者でさえも「何か大きな力が作用することがある」と言う。
いわんや一般人ではなおさらである。
「人間万事塞翁が馬」の故事成語がうしろに大きく書いてあった。

不思議な大きな力を感じたからこその、各人各様に独自の物語があるわけで、
歎異抄という「弥陀の誓願不思議にたすけられまゐらせて」からはじまり、
「ひとへに親鸞 一人がためなりけり」で終わる。その物語ににひきつけられる。
ところが宗教という「組織」となれば「信じる」ことを大きな力で強要するようになる。
自分の信念でなく、組織が強要する信念に従うと、「組織」の都合の奴隷となる。
宗教には差別性と暴力性を内包していて、人間の力で止められない大きな力を持つ。
長い歴史のある宗教にはそれなりの体系から、暴走をしないように歯止めをかけているが、
現代のいいとこどりをした宗教には歯止めがかからず、突き当たった苦しみにとって
都合のいい自分の解釈が乱立して、暴走してしまう危険があると
釈 徹宗氏は警告する。

どうなったら幸せなのか
本来仏教の教えは「無我」で自我の囚われの無い自己によって精神の自由を
回復することにある。とある。そこは浄土も禅宗も共通であって、それとは逆に
自己の都合によって「あるがままを受けいれ、思うままに生きる」から遊離
してしまうことを「無明」とか「煩悩、妄想」と言う。
自己の都合とは、思い込みや価値観、主義によって、思いに囚われ、迷い、
他人を批判し対立すること。それは自分が正しいと思った瞬間から嵌まる。
いわゆる「思いの自閉症」から「弥陀のはからい」に出遇いて開放される。
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藍染に見る空観方程式

2016年03月20日 | 記事のコメント
NHK番組 美の壺(309)にみる「藍染め」より

古来より伝わる、天然という藍の発色に魅せられた多くの人々がいた。
実に多くの工程とその一つ一つに込められた心によって藍染が完成する。
例えば蓼の原料や醗酵によって蒅(すくも)と呼ばれる染料が造られる。
天然ものは醗酵によって育てられるから蒅は生きている。だから環境を大切にして育てる。
そして同じ色がないほど奥が深い
染の回数や石灰の種類、濃度によっても発色に関るから、藍の色合いは無限にあるといってよい。

  
2本のベクトルのなす角度αおよびδは位相差と呼ばれ、その干渉コントラストによって
新たな世界が見える化される。上図では二つの世界の例を示す。
  神秘的な藍
  上品で高貴な藍
2本のベクトルには長さや方向に多様性があり、ベクトルのなす角度αおよびδによる
位相差を柔軟に変えられる。
たとえば染めの回数やグラデーション等の技法が加わって、無限の色が発現する。
それに加えて「とことん(濃い、深い)」から「ほどほど(調和の美)」まで干渉の強度をも
変えられる融通性もある。
こうした変化により、状態の移り変わりの変化としても二次元空間上で読み取れる。

イマジナリー軸は意識の軸であるが、ワクワク感であったり、情熱であったり、
拠り所や生きがいである。
工程や素材との吟味において、二つのベクトルのなす角度(θ1-θ2)によって
新たな状態が発現される。蓼の栽培や醗酵、灰によるアルカリなどのベクトルである。
それらは写真や動画では表現が困難である。あるいは言葉や文章によって表現する
代わりに、数式では下図の様な合成によって生ずる干渉によって表現される。
人間の心理状態が大きく反映する分野である場合に、こうした波動ベクトルを使う。

  
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アサギマダラの渡りからヒントを得た滞空飛行2

2016年03月10日 | 滞空飛行の実用化
前回に続いて、サイクル滞空飛行の可能性について考える。
まず高度15km~20kmの成層圏において風上には滑空下降によって進み、
風下には機首上げをおこなって、揚力増加によって上昇するというサイクル飛行である。


機体重量30kgおよび50kgについてのサイクル飛行は30m/s程度の風速では
落下前の元の高度まで戻ることができないため不可能であった。
     
サイクル飛行が成り立つための機体条件と空気流速を近似的に検証する。
揚力係数C(L)=1.0
抗力係数C(D)=0.02
成層圏内・風速22(m/s)・翼面積20(m2)・総重量10kgでの機体について
揚力Lは
L=1/2{0.09(kg/m3)*22^2(m2/s2)*20(m2)*1.0}=435(N : kg.m/s2)

自由落下から滑空姿勢によって風上に進み、機首上げしたときに生ずるネットの揚力は、
抗力を無視できるくらい小さいとすれば上記揚力から重力を引いた上向きの成分で
435N-m・g=435-10x9.8=337N の揚力を受けて上昇する。
このときの運動方程式はm(dt2/d2t)=L-m・g

物体に作用する力FはF=m・a質量に加速度をかけたものだからこの時の
加速度は a=337/10=33.7(m/s2)

従って1秒後の上昇距離はy=1/2(a・t2)=16.8m となる。
次の1秒間は近似的に初速度(V0)16.8m/sでの上昇で置き換えると、
初速度からの打ち上げで計算される上昇距離は、重力方向をマイナスとして
y=-1/2(g・t2)+V0・t
から、-1/2(9.8x1)+16.8=11.9mの上昇となる。
従ってトータル16.8+11.9=28.7mの上昇である。
その後重力加速度の方が勝って、飛行体は落下する。
上昇した距離は28.7mで、近似所要時間は2秒間である。
   

さて、上昇揚力がなくなれば落下が始まる。そのとき機体はほぼ風速22(m/s)で
風下に流される状態となって落下している。従って横風で流される相対速度を
キャンセルするには、落下速度が最低でも22m/sとなることが必要である。
2.3秒間での落下速度は22.6m/sなので、この速度で機首を風上に向ければ
地上から見たとき、風速22(m/s)の横風での相対空気流揚力が得られたサイクル飛行が
可能となる。一方2.3秒間での自由落下距離は25.9mで上昇距離の方が大きいので、
サイクル飛行を繰り返すことで、横風だけで徐々に高度を上げられる。下図
上記の状態が想定した重量ではサイクル飛行のためのミニマムであろう。
風速22(m/s)以上の横風があれば上昇距離および自由落下時間ともに拡大した
サイクル飛行が可能となる。風速および機体の抗力が大きければそれだけ風下に
流される横方向の距離が大きくなる。
従って滞空維持には何サイクルか毎での風上への滑空飛行が必要となる。

              サイクル飛行の概念図

ここでの問題はやはり重量である。翼面積20(m2)・総重量10kgでの機体とするには
2mx5mの翼面積を5kgで、2枚の複葉にして強度のある構造にしなければならない。
また、抗力係数が大きい場合には、揚力による上昇時間が短くなって、上昇距離が伸びない。
また風下への移動も大きくなって、その分頻繁に風上への滑空飛行が必要となる。
従って、サイクル飛行には軽量且つ抗力係数の小さな機体設計が不可欠となる。

成層圏のように、無尽蔵に風があり、尚且つ対流圏のような無風状態や乱気流の無い空域での
周回サイクル飛行が可能である。
上昇気流がない場合、風力エネルギーを利用した上昇飛行であって、
風力エネルギーを効率よく利用するためには、強風でも吹き飛ばされないように、
アサギマダラのように翼を立てて、自由落下に近づける。
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アサギマダラの渡りからヒントを得た滞空飛行

2015年09月06日 | 滞空飛行の実用化
アサギマダラの渡り
アサギマダラは渡りによって2,000kmもの距離を移動していることが知られている。
アサギマダラは昆虫であるが故、その渡りにおいては動力源が制限されている。
従って、上昇気流を使って上昇していると考えられている。
上昇の後には、滑空下降によって、下図のように風上への移動が可能となる。
その繰り返しで渡りを行う。





しかし上昇気流のない海をも渡ってくるので上昇気流だけでは説明が不十分だ。
そもそも10kmに一度の割合で上昇気流が無いと渡りができないとなれば、
秋の渡りにおいて、2、000kmもの距離を向かい風に向かって移動することは
不可能に近い。
ここで考えられるのは横風のみの風力エネルギーを利用した上昇飛行である。
滑空下降の途中で強い向かい風に遭遇したときに、翼の迎え角を大きく上げて、
揚力増大による上昇飛行を行うのである。何しろ揚力は相対気流速の二乗に比例して
増大するので、向かい風の強風は、上昇する時に大変効率的である。


従ってアサギマダラは翅面積の増大ではなく、強い風力エネルギーで高度を上げる
方法を選択し、翅を紙のように薄くし抗力を小さくすることで実現していると考えられる。
これが紙飛行機の様な蝶が動力もないのに、風力エネルギーによって2、000kmもの
距離を向かい風に向かって飛行する秘密である。

              画面に向かって風が吹いている場合

アサギマダラの秋の渡りは上昇気流がなくても、風力エネルギーによっても上昇が
可能であることを教えている。
そうであれば成層圏のように、無尽蔵に風があり、尚且つ対流圏のような無風状態や
乱気流の無い空域での周回サイクル飛行が可能である。
一方滑空においては抗力を極力小さくすれば強風においても風上に進むことが可能で
加えて僅かな上昇移動であっても、風上への移動距離が長くなる。


そこでアサギマダラの渡りサイクルを短縮させれば、成層圏での滞空飛行が実現する。



上昇気流が無い場合の風上への移動飛行(秋の渡り)


下降によって風上の上昇位置に戻り、翼面積を広げて再上昇すれば滞空飛行となる。



尚、自由落下および風上に向かう旋回飛行の後、滑空は行わずに直ちに上昇すれば、
さらに短時間、狭い範囲での滞空サイクルの可能性さえある。(下図)
      
推力と重力の合成力(T+G)より、揚力と抗力(L+D)の合成の方が大きい場合に
上昇する。風上に向かう推力は自由落下の運動エネルギーによって得られる。
   
モデル機体での滞空飛行の可能性について
翼の軽量化をはかり、2枚の複葉として翼面積20m2、総重量10kg 
抗力係数:Cd=0.04 および揚力係数:Cl=1.0 とした場合、
高度20kmの成層圏において風速30m/s 気体密度0.09(kg/m3)では、
揚力はL=1/2[0.09x30^2x20x1.0]=810 N( kg.m/s2)から、概略抗力と推力は
互いにキャンセルするので、自重分を差し引くと810N-(10kgx9.8m/s2)=712N
となる。
これは10kgの機体が70 (m/s2)の加速度(a)で風下に上昇する力である。
一秒後の移動距離は1/2(a・t^2)= 35mとなる。


滑空角はtanθ=Cd/Cl  Cd=0.04 Cl=1.0の機体ではtanθ=0.04 なので 
tan-1(0.04/1.0)=0.04 から θ=2.29と計算される。
滑空比Cl/Cd=25では、滑空しながら10m下降すれば横方向の移動距離は250mとなる。
また、滑空飛行においては、滑空速度Vは翼面積Sと翼面加重W/S(kg/m2)において
V=4√(W/S)x(1/√Cl)(m/s)である。
成層圏での相対風速30m/sにおいて、上記機体は約1秒で風下へ約35m上昇し、
自由落下2秒、20mの落下の後、相対速度を得て旋回飛行し、風上へ向かいながら
滑空下降で15mの下降、このとき風上への移動移動はおよそ400mの移動となる。
滞空時間サイクルは上昇が1秒、自由落下2秒、滑空が2.4分での滞空である。



翼面積20m2、総重量10kg では翼駆動機構や通信機搭載の実用機体では
相当にハードルが高い。サイクル滞空飛行については後日
また、総重量を増やすにはスケールメリットを活かすしかなく、飛行船と同様に
巨大化につながり、耐久構造部分においても重量との闘いとなる。
最近電動飛行機の開発が盛んに行われているため、当機体の駆動機構の
軽量化にも応用が可能であって、特に炭素繊維強化プラスチックは
高い強度と軽さを併せ持つ材料のため、航空機などの産業用に用途が
拡大しており安価・軽量・高耐久性に期待が持てる。
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