空観方程式

「色」と「空」の一体化によって可視化され、相互作用で共感・共鳴が生じ、新たなる思いや生命力が実体化される。

マンドラゴラからの解放

2021年09月22日 | スクラップブック
薬草にも関わらず、人を殺す毒を持つ
マンドラゴラからの解放は、対立する
2元性と折り合いを付けるための特性として、
知っておいて無駄なことはない。


人間の二元対立を解決しようとする場合
マンドラゴラのように一体化している状態
であって、
そこに折り合いを付けようにもそうそう
簡単なことではない。

そこで
二元の対立が一体化している状態ならば
オイラーの公式にならって、
三角関数での解決方法ではなく、
指数関数の方法を取り入れることだ。



即ち
三角関数ではなく指数関数を使うということは、
例えば正しいか正しくないかではなく、
何が本当かということだ。さらには
例えば人生の意味を人間が問うのではなく、
人生の方から問われているのだと視点を変えることだ。



横から見れば四角だが、
上から見れば丸になる様に。
「理念の中で泳いでいる魚は、
自分が泳いでいることが解らない」
そこで上から見れば、
泳いでいることが見えてくる。

まずは理解することではなく姿に親しむこと、
姿を知ることだ。
何かが芽生えるまで、
答えが出てくるまで何度でも繰り返し、
心に宿すものが出てくるまでじっくり付き合う。
包んでいるように見えても、
包まれていることがわかる。
ごまかそうとする意識や逃げようとする姿、
夢や希望を抱きながら
何に関り、何に関ることを避けているのか、
そうした動的平衡状態の姿として知りつつ、
その場その場で最善を尽くすことだ。




要は、オイラーの公式が示す
三角関数から離れて
指数関数を使うということは、
自己主張による解決方法だけではないことだ。
例えば個性とは
自分が作り出すもの、目新しいものだけではない。
他者が作り出している外的要因、
そこにある水や土、気候風土から生まれてくる
ものを生かすことであり、
本当の良さとは自然にできてくるものであって、
そうした中で生まれてきた、昔からの個性をも
重んじることだ。

そもそも生命とは合成と分解による
動的平衡のバランスで成り立つように、
人体細胞との折り合いを付けながら、
代謝の持続と生命の連続を継続させる。

合成と分解を同時進行させながら、
わずかに分解が合成を先回りしたとき、
エントロピーの減少する方向が起る。
(福岡伸一著:西田哲学を読むより)
薬草でありながら人を傷つける毒を持っている
マンドラゴラのように、人間もこうした二元性と
折り合いながら人生や運命を維持してゆくものだ。
注目すべき点は、
合成と分解の繰り返しの場合には分解を優先する点だ。
薬草と猛毒の二元性では
猛毒の分解を薬草の合成より少し先回りすることだ。
もしも薬草の合成を優先させてしまえば
生命の維持がスムースに行われないということだ。

エントロピー増大の法則という、
どうすることもできないことと
関わってゆくために、
合成と分解による動的平衡という二元の
流れによる効果(福岡伸一より)によって
折り合いをつけている。
とりもなおさず
支配しながら、支配される関係であり、
ありのままのダイナミズムな姿の
自覚である。
理念の中だけで泳いでいる自分の姿を見る様に、
どんな実体や観念の中でいるのか、
真の実在は何なのか、何が本当なのか、
即ち本質との一体化であって、
ひいては居心地の良さの感得でもある。


一方、
オイラーの公式と同様に
三角関数の化学反応ではなく、
指数関数である触媒反応という
システムを使う方法もある



同様にして
例えば親水性と疎水性の動的平衡による
秩序の維持においては、
疎水性を少しだけ優先して、
エントロピー増大の老廃物を汲み抱いて廃棄しながら
生命秩序を継続させる。

親水性と疎水性の動的平衡状態によって代謝する
脂肪加水分解酵素リパーゼのように、
油というものを、
水のような液体に溶解させながら
分解して、心の老廃物をシステムを利用して
汲み出し廃棄する。
これはエントロピーの排出機能そのものであって、
エントロピー(増大)の法則に従う状態と
エントロピーに逆らう状態(減少)がそれぞれ交互に
繰り返されることで生命秩序が維持されてゆく。
エントロピー増大の法則と折り合いをつける方法でもある。
都合の悪い自分の姿から逃げることを優先するのではなく、
ありのままの自分の姿を少しだけ先回りさせて
白日の下に晒すことで、心の老廃物を洗い流すことができる。
これこそマンドラゴラのように、対立が一体化している、
どうすることもできないものとの化学反応ではなく
触媒酵素での折り合いをつける方法であり、
マンドラゴラからの解放でもある。


運命の法則によって生じた老廃物を、いつまでも
抱え込むことの無い様にする方法であって、
いささかこじつけ的であるが、
生命のダイナミズムにもつながるシステムである。

人生においても
何でもコントロールできると思って
自己主張するだけが解決方法ではない。
他人の意見を受け入れる方を
少しだけ先回りさせ、
自己主張は少しだけ遅らせる事で
人生をスムースにさせる方法となりうる。
これが化学反応ではなく、
触媒・酵素反応の代謝方法である。
人の細胞と同様に分解を少しだけ先回りさせる。
目の前にある対立によって生じた問題の
化学反応だけが解決法ではない。



秩序は守られるために絶え間なく壊され、
再構築される(福岡伸一より)
エントロピーを排出する代謝システム
=運命の老廃物を廃棄する。

これもまた、
理念や観念だけでなく、真の実在
即ち本質との一体化であって、
ひいては居心地の良さの感得でもある。




酵素触媒システムの参考例:
神輿を担ぐように対立を空洞化させる方法や
「相即」のシステムで解決する方法もある。

自分と他人との二元対立
他人のために生きる生き方も
苦しみを消す一つの道だ。
人の痛みが分かる人間となる


幸福と不幸の二元対立
自分の不幸を肯定的に受けいれる。
そもそも不幸を乗り越えることによって
幸福が訪れるものだ。
そして人間をより大きくするものだ。
また、素晴らしいものは困難から生まれる。

逆らわないと受け容れるの二元対立
逆境は必ず訪れるものだ、
それを回避するだけでなく
受け容れることも必要だ。
一方的、あるいは一元的なものは
人為的であって自然ではない。

人生の楽しみは自分の心の持ち方次第だ。
困難を乗り越えるだけでなく、
困難を受け容れ、
折り合いをつけることでも可能だ。
(方丈記)
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