野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

オニユリとコオニユリ

2023-08-24 | フィールドガイド--植物編--

オニユリとコオニユリ

 

オニユリの原産地は東アジアです

オニユリは食料として中国から入ってきたようで、成長が速いことから多く栽培され、それが野生化して各地で見られるようになりました。

日本には種子のできる二倍体のものはなく、理由はよくわかりませんが、三倍体のオニユリが日本に入ってきました。

他にオニユリのように種子ができないもは、来月みられるヒガンバナや春の花シャガ、夏の花のヤブカンゾウもおなじく種を作りません。

それらの植物はみな三倍体になっているからで、種子をつくる二倍体個体は日本では見られません。

 

三倍体とは、本来生物は二組の染色体をもっているものが、何らかの理由で3組の染色体をもっているのを三倍体といいます。

 

オニユリの場合種子はできませんが、ムカゴをつくり、ムカゴから数を増やすことができます。

ムカゴからは3年位で開花します。

観察

オニユリの花びらは6枚あるように見えますが、外側にある3枚は萼で、外花被と呼びます。内側の3枚が本来の花びらで、内花被です。

よく似たものにコオニユリがありますが、ムカゴがないので区別できます。


キムネクマバチとタイワンタケクマバチ

2023-08-22 | フィールドガイド-昆虫編--

クマバチ キムネクマバチとタイワンタケクマバチ

真っ黒なクマバチを見つけた。

ヘチマの雄花の蜜を吸っている。

このクマバチは中国の竹材などまじって日本に来たタイワンタケクマバチ。

体長は2cmほどで全身が黒く、脚には毛が生えており、羽は褐色です。

 

 

タイワンタケクマバチは腹部が在来のキムネクマバチと比べて長いようです。

国立環境研究所の侵入生物データベースでは、国内では2006年、愛知県豊田市で初めて確認されたとしています。

東は長野県、西は京都府などまでとされていたが、最近は兵庫県の阪神間でも確認されています。

 

タイワンタケクマバチの主な営巣場所は、名の通り竹、しかも枯れた竹です。

民家や農地などの竹棚、竹林、竹材置き場などに生息しています。

キムネクマバチは枯れ枝に穴をあけて巣をつくります。

タイワンタケクマバチもキムネクマバチもミツバチの仲間で、毒針があります。

しかし、どちらも毒針はあるのはメスだけです。

基本的におとなしい性格の持ち主であり、自分から人に攻撃することはめったにありません。


タカサゴユリとシンテンポウユリ

2023-08-21 | フィールドガイド--植物編--

タカサゴユリ

 

夏になると兵庫の高速道路の斜面にたくさんのユリの花が見られるようになってきた。

最初のころはテッポウユリと思っていたが、聞いたところタカサゴユリと教えてもらった。

ここ20年の間に一気に増えてきたようだ。

タカサゴユリはもともとは台湾固有種。

台湾では低地から海抜 3000mまでみられ、台湾の花として保護されている。

花はテッポウユリに似るが、花弁の外側に赤紫色の筋がある。

日本には1924 年に園芸用として輸入され,

その後野生化したので、日本各地で見られるようになった。

1つの蒴果には1000から1500個の種子があり、種子はポテトチップスのように薄く、周りに翼を持ち、散布しやすい形をしてる。

こうして、どんどん増えていった。

繁殖力が強いのだが、同じ場所で咲きづづけと連作障害をおこし、枯れてしまうそうで、

咲いて枯れ、別の場所で咲くという様子から「旅する花」とも。

 

タカサゴユリとシンテンポウユリ

タカサゴユリとみていたが、紫色のすじがない。

花が紫赤色を帯びず、白色なのはシンテッポウユリ。

シンテッポウユリはタカサゴユリとテッポウユリの交配により日本で1951年に作られた園芸種。

シンテッポウユリも野生化して各地で見られるようになってきているとか。

今回は、里山に向かう道すがらのユリの花

紫赤色を帯びないものが混じる場合はこのシンテッポウユリではないかと。

画像はシンテッポウユリと判断したが。

タカサゴユリかシンテンポウユリかは詳しくは遺伝子で!外見からではわからないのが多くなってきた。


海岸・河口の植物(生きている武庫川資料編より)

2023-08-19 | 武庫川

海岸・河口の植物(生きている武庫川資料編より)

武庫川河口には海岸といえるものがほとんど残っていませんが、甲子園浜が整備される前の海岸を残しています。甲子園浜も埋め立てられることになっていましたが、地域住民の力で残ることになりました。

砂浜や磯が残っており野鳥観察、海浜植物、磯野生き物の観察をすることができる都市部の貴重な場所です。

武庫川の本では、海岸の植物は甲子園浜の植物をとりあげています。

 

ハマエンドウ(マメ科)

  日本各地の海岸に生える。エンドウににていますが、地下茎を伸ばして増える多年生です。

  花は、春からつぎつぎと咲き続け、秋になっても見られます。

 

ハマヒルガオ(ヒルガオ科)

  日本各地の海岸に生える、つる性の多年草です。葉は厚くて多くの水分をふくみ、塩水から体を守っています。大きな地下茎をもち、つるを伸ばして広がりますが、まきつくことはありません。しばしば、たくさん集まって生えています。

 

コウボウシバ(カヤツリグサ科)

  日本各地の海岸に生える多年草です。コウボウムギに似ていますが小型なのでコウボウシバと呼ばれます。太くて長い地下茎で増えていきます。

ハマダイコン(アブラナ科)

  日本各地の海浜に生えます。また、栽培されていたダイコンが、野性化したものです。

 

ツルナ(ツルナ科)

  日本各地の海浜に生えます。茎を伸ばし、枝分かれしながら伸びていきます。矢じり状の肉厚い葉は、食用になるのでツルナといいます。

 

オカヒジキ(アカザ科)

  日本各地の海浜に生える一年草です。茎は根元から枝分かれし四方八方へ広がる。海草のヒジキに似て、食べられるのでこの名前がつけられました。

 


フタツメカワゲラのなかま

2023-08-18 | フィールドガイド--水生生物--

フタツメカワゲラのなかま(フタメカワゲラ科)

幼虫

体長20mm前後。

オレンジがかった明るい色の体に、長く伸びた触角と尾がよく目立ちます。単眼が2つなので「フタツメ」カワゲラと呼ばれています。

             

川の上流から下流の流れの緩やかなところにいます。

水の底に沈んだ落ち葉や砂のたまったところにかくれて生活しています。

             

水生昆虫などをつかまえて食べます。

 

成虫は

体長15㎜、体色は黄色で、脚に黒い紋が特徴的。

灯火に集まるので、観察するのは日が落ちてから。


タマムシ

2023-08-17 | フィールドガイド-昆虫編--

タマムシ(ヤマトタマムシ)

 

タマムシ(ヤマトタマムシ)は体長で、本州、四国、九州に広く分布し、成虫は盛夏の日差しの強い昼中にのみ活発に活動し、エノキ・ケヤキ等の広葉樹の梢の上を飛翔しているものがしばしば観察されます。タマムシの幼虫はエノキ、ケヤキ、サクラなどの衰弱・枯死木の中で材を摂食し、成虫になるまで材内で2~3年過ごします。

タマムシの翅がきれいなのは

もともとタマムシの翅には緑の地色が着いています。

そこに幾重の透明な層が表面を覆っているので、様々な色が出せるのです。(構造色)

CDが光るのとおなじなのはこれも構造色のしくみです。

 

タマムシは昼行性、夏の天気のいい昼間に、日の当たる高い所で活動します。

めだって鳥に食べられないのかしらと思いますよね。

実は鳥はタマムシ色が苦手だということがわかっています。不思議ですね

そして、交尾するために目立っています。

 

奈良県の法隆寺にある国宝・玉虫厨子は、タマムシの翅鞘(外ばね)が装飾に使われていることでも有名です。

2m以上ある玉虫厨子はもともと推古天皇の愛用品であり、仏像を安置するための厨子をタマムシの光輝美しい羽で装飾したことからよばれるようになりした。

厨子は宮殿を模した最上部は黒の漆喰で仕上げた木造で、飛鳥時代の建築様式をそのままに伝えています。

玉虫細工がほどこされているのは柱や宮殿入り口部分で、虹色の縞模様を見せる玉虫の羽が入れられており、それを唐草模様の透かし彫りの金具で重ねてあります。

これも、長年の研究によってわかったことなのです。調査によると4000匹以上の玉虫の羽が使われていると言われています。

 

玉虫厨子を実際みにいってもどこにタマムシの翅がつかわれているのかよくわからないようで、マニアは見に行くときは懐中電灯と双眼鏡をもち、じっくり眺めて探す必要があります。

複製品だが、身近で見られるのは高島屋資料館(髙島屋東別館 3 階2020 年 1 月にリニューアルオープン)で常設展として展示されています。うれしいことに見学料は無料です。

10:00~17:00(入館は16:30まで)休館日:火・水曜日、年末年始、展示替の期間

 

最後に「タマムシ」はコガネムシ?

「童謡"黄金蟲"はタマムシだ!?」(枝 重夫;『月刊むし』2010年6月号(472号))

野口雨情の「コガネムシは金持ちだ・・・」のコガネムシは野口雨情の出身地茨城県磯原町ではタマムシをコガネムシというところから枝氏は考察した。ところが石原保博士がコガネムシはチャバネゴキブリ説をとなえた。(コガネムシは金持ちではない話@『虫・鳥・花と』築地書館;1979年)

理由は群馬県高崎地方では、チャバネゴキブリをコガネムシとよび、この虫がふえると財産家になれるといわれていたところからだが、

さて、どっち 夏の自由研究によいテーマかも


スイレン

2023-08-16 | フィールドガイド--植物編--

スイレン

 

里山の水草であるヒツジグサを取り上げたが、外来種のスイレンは同じ仲間です。

国内のスイレン属はヒツジグサ以外、外来種・園芸品種です。

お盆の花の一つハス(蓮)はスイレンを混同された歴史があります。

エジプト原産のスイレンとハスをヨーロッパ人が混同したのです。

そのため、英語では蓮もスイレンもロータス(Lotus)ですが、植物の分類としては別種類です。

 

植物分類としては、睡蓮(Nymphaea)と蓮(Nelumbo nucifera)になります。

・睡蓮(水面近くに花が咲くものが多い。葉も水面に浮く。)(Nymphaea)(スイレン科)

・蓮(水面から高く咲くものが多い。葉も高さがある。)(Nelumbo nucifera)(ハス科)

 

 

 

「就眠運動」

植物の現象で、花が昼に開いて夜に閉じる現象のこと。

タンポポ、チューリップなどで観察できます。

スイレンも就眠運動をします。

エジプトのスイレンは、花を昼に開く青いスイレンと、夜に開く白いスイレンがあります。

古代エジプトの壁画に描かれている「聖なるハス」は熱帯スイレンです。

 

それらから多くの園芸品種が作られました。

昼の花は朝開いて夕方には閉じる就眠運動を3日間繰り返し、4日目に開いてその後水没します。

一つの花の寿命は4日と短いですが、開花期は5月下旬~10 月と長いので、この時期ため池などで水面に花を次々と咲かせる人々を楽しませます。

 

 

スイレンはエジプトの国花です。四千年も昔から生命の河ナイルの水辺に白と青のスイレンが咲き、古来より「聖なる花」として尊ばれてきました。白のスイレンは「ナイルの花嫁」とも呼ばれ、青のスイレンは、髪飾りなどのアクセサリーとして愛用されました。

 

蓮の原産地については、エジプト説、インド説、中国説などあります。それを特定できる遺物が発見されていないからです。


里地里山の1年 8月上旬の里山

2023-08-15 | 里地里山の1年

里地里山の1年 8月上旬の里山

 

連日暑い日がづづく。

里山に入ると木陰はうんと涼しい。

 

神社を過ぎたところで倒木が道をふさいでいました。

早速リュックからノコギリを出してきて右側をカット。

まずは、道の左側に寄せて障害物撤去作業終了です。

松枯れにつづき、ナラ枯れも多くなってきました。

草は20cmぐらいしか伸びていませんでした。

7月に草刈り機で刈り取ったあと、日照りが続きまだ草は短い状態でした。

 

暑いので、作業は早めに切り上げ、生き物の観察で本日は終了です

ため池ではチョウトンボが飛んでいるのを発見!

残暑はまだ続きます


里地里山の1年 8月上旬の里地

2023-08-13 | 里地里山の1年

里地里山の1年 8月上旬の里地

稲の花が咲き、早いものでは穂に実が入り始めた。

水田の周りにはシオカラトンボに、アカトンボのなかまが飛び回り始めた。

 

この暑い時期に蜜を吸える花は少ない。

畦にハッカが生えている。

ハッカの蜜をもとめて昆虫がやってくる。

畦は山と里とつなぐ回廊になっている。


蟻地獄―ウスバカゲロウー

2023-08-12 | フィールドガイド-昆虫編--

蟻地獄―ウスバカゲロウー

アリジゴクはウスバカゲロウ類の幼虫のことです。

雨の当たらない、乾いた細かい砂のある場所に好んで穴を作ります。

すり鉢状の穴(巣)は、アリなどの小さな昆虫が巣に落ちると逃げられない。

落ちてきたところを捕食します。

蟻などが穴に落ちると2本のアゴでくわえて捕まえます。

捕まえたときに唾液が蟻の体に入ると動かなくなります。唾液には毒がふくまれ、フグの毒の130倍も強いとか。

そして、体液を吸い取り、かすは穴の外へ放り出します。

 

幼虫時代は2~3年です。その間、ウンチはしません。

小動物の体液だけを吸っているため、ウンチをしなくてもよいようです。

しかし、長い間にはさすがにウンチがたまるので、成虫になったときに、はじめてこれを出します。

 

名前の由来は、アリがよく穴に落ちるのをみてアリ地獄となったのでしょう。

蟻地獄は小学生から大学研究者まで研究の材題になっています。

 

 

成虫のウスバカゲロウ

カゲロウはよくはかない命といわれますが、たしかにクサカゲロウの仲間は成虫になってからの寿命が数日です。

しかし、ウスバカゲロウは比較的ながく、成虫で1ヵ月以上生きます。