2月17日 第11回ナチュラリストクラブ記念講演
「ひと くらし 自然 民俗学の視点から」
「ひと くらし 自然 民俗学の視点から」
アセビ、ネジキ、シャシャンボ
1.県内分布と方言
アセピ-----------花期3~5月----各地 --- アセボ、アセブ、ムギメシシバ、サイセプ
ネジキ----------- 〃 6 ----各地 ---- カシオシミ、カツプシ
シャシャンボ----- 〃 7 ----阪神、東、中、西播磨各地--- ソバノキ、シャンショビ
2.アセピ
・「牧野新日本植物図鑑」(1961北隆館)
有毒植物で、その葉を煎じて菜園の殺虫剤に用いる。馬が葉を食べると苦しむといい、馬酔木とも言われる。
・「樹木大図説」( )
方言--足しびれ説--アシピ(アシシビレから)
悪しき実説--アシミ、エセミ、エセビ、エセボ
花、実のなる様--コゴメバナ、コメノキ、ムギメシバナ、ムギメシシバ
有毒性---ドクシバ、ウジハライ、ウマクハズ、シカクハズ
この樹の毒性
毒成分は、アンドロメドトキシン、アセポチン、グラヤノトキシン、アセボプルプリンで、アセビの煎じ汁使った
毒殺事件が、S7年埼玉県で発生している。
獣類が食わぬので、放牧園、牧場等に用いる唯一の常緑樹であり、奈良公園の例がそれで、ナギとともに用う。
「大和本草」(1709貝原益輔--微毒あり、馬此葉食らえば死す、--
「本草綱目啓蒙」(1803小野開山)--若し牛馬この葉を食えば酔るが如し、故に馬酔木と云、鹿之を食えば不時に角
解す、又菜園に小長黒虫を生ずるにこの葉の煎汁を冷め潅くときは、虫を殺す。----
・「おばあちゃんの植物図鑑」(1995葦書房)
椎葉ではエナバ、ミソウシナイという。
「終戦前後は農薬がなかったから、エナバ(アセビ)の枝を折って、畝のあちこちに指した。そうするとにおいを感
じて虫は逃げた。それと昔牛のシラミ取りに、エナバを炊いて煎じ、冷やしてから牛を洗うと、シラミが全部死ん
だ。」.
・「茶ア喰らい爺」(1994初芝文庫).
S61年聞き取り調査(高知県大豊町出身者)
畑の菜に虫がわくと、アセビを釜に入れて炊いた汁を菜にかけて殺したり、牛や馬にシラミがわいたときも、この
汁をかけてシラミを殺した。
2.ネジキ
・「牧野新日本植物図鑑」(1961北隆館)
幹は普通ねじれているので、ネジ木という。新枝、新葉ともに赤いので、塗りばしともいう。
・「同名異木のはなし』(1987思文閣出版)
潅木性の小木で若い枝が紅色、材の色調も淡紅褐色である。一一この木も多くの異名をもっており、アカギのほか、
アカメ、アカヅラなどアカの付く名が多く、樹皮がつるつるしているのでサルスベリともいう。
・「樹木大図説」( )
方言-- 説---カシオシミ、カシオシ、カツオシミ、カシモドキ、カタオシミ
幼枝赤色から---アカギ、アカメ、アカヅラ、アカネジ、アカキ ---ヌリバシ、ヌリバシノキ、キツネノヌリバシ
花、実のなる様--メシツボノキ、メシツブノキ、コメゴメノキ ---オジゴロシ
葉は家畜に極めて有毒、かって山羊はこれを食し死亡した。毒はアンドロメドトキシンである。
・「植物と民俗」(1969地球社)
① カシオシミ--ネジキの準標準和名として最も広く分布し、変化にも富んでいる。同一系の方言としてカシオシメ 、カシオズミノキ、カソーシ、カツブシ、カシボシ、カスオシ、カスオシミ、カスホシミなどがある。
ほぼネジキの天然分布の全域にこの方言が通用する。
「本草啓蒙--この枝を炭となし漆塗りの研ぎ出しに用ゆ、この炭をカシオズミと云--」とあり、山
城国岩倉の方言にネジキをカシオノキがあることから、カシオで焼いた炭の意である「カシオズミ」→
「カシオシミ」となった
②ヌリバシ--「本草啓蒙」に「新枝は赤して光あり、朱漆の如し、故にヌリバシと云」とあり。伊勢、山梨塩山
にこの方言あり、類似にハシノキ(岡山)、アカバシ(三重)、アカハシノキ(福井)、サルノサ
イバシ(山城上加茂)、キツネノヌリバシ(近江)、シシクイバシ(香川)などがある。
③オジゴロシ--ネジキで焼いた炭にまつわる語源。
・ネジキの炭は堅く火がなかなかおこらないので、おじ(オジ)が火を吹きつづけて遂に息が絶えた
・ネジキの炭は堅く火がなかなかおこらないので、おじ(オジ)が火を吹きつづけて遂に息が絶えた。
・ネジキの炭は堅く火がなかなかおこらないので、炭が売れず炭焼きのおじ(オジ)が死んだ。
・ネジキの薪は燃えにくく盛んに煙る、昔山小屋に住む老人があまりの煙に窒息して死んだ。
方言地--大和吉野、伊勢一志、伊勢度会、伊勢大杉谷、紀伊東牟婁郡、大和十津川村
3.シャシャンポ
・葉裏の主脈に突起があり、爪先で触るとひっかかる。
・「牧野新日本植物図鑑」(1961北隆館)
果実は液果となり、小球形、紫黒色に熟し、甘酸っばく食べられる。
実が丸く小さいことによる。
・「樹木大図説」( )
シャシャンボとは「小さい坊」の意味、小果の多く生ずる形に由来す。
方言---ワクラハ、アクラ、
---サセンボ、サシプ、ササブ
果実は外面粉白色で紫黒色、球形、甘酸の味あり小児好んで生食す。
アセピ-----------花期3~5月----各地 --- アセボ、アセブ、ムギメシシバ、サイセプ
ネジキ----------- 〃 6 ----各地 ---- カシオシミ、カツプシ
シャシャンボ----- 〃 7 ----阪神、東、中、西播磨各地--- ソバノキ、シャンショビ
2.アセピ
・「牧野新日本植物図鑑」(1961北隆館)
有毒植物で、その葉を煎じて菜園の殺虫剤に用いる。馬が葉を食べると苦しむといい、馬酔木とも言われる。
・「樹木大図説」( )
方言--足しびれ説--アシピ(アシシビレから)
悪しき実説--アシミ、エセミ、エセビ、エセボ
花、実のなる様--コゴメバナ、コメノキ、ムギメシバナ、ムギメシシバ
有毒性---ドクシバ、ウジハライ、ウマクハズ、シカクハズ
この樹の毒性
毒成分は、アンドロメドトキシン、アセポチン、グラヤノトキシン、アセボプルプリンで、アセビの煎じ汁使った
毒殺事件が、S7年埼玉県で発生している。
獣類が食わぬので、放牧園、牧場等に用いる唯一の常緑樹であり、奈良公園の例がそれで、ナギとともに用う。
「大和本草」(1709貝原益輔--微毒あり、馬此葉食らえば死す、--
「本草綱目啓蒙」(1803小野開山)--若し牛馬この葉を食えば酔るが如し、故に馬酔木と云、鹿之を食えば不時に角
解す、又菜園に小長黒虫を生ずるにこの葉の煎汁を冷め潅くときは、虫を殺す。----
・「おばあちゃんの植物図鑑」(1995葦書房)
椎葉ではエナバ、ミソウシナイという。
「終戦前後は農薬がなかったから、エナバ(アセビ)の枝を折って、畝のあちこちに指した。そうするとにおいを感
じて虫は逃げた。それと昔牛のシラミ取りに、エナバを炊いて煎じ、冷やしてから牛を洗うと、シラミが全部死ん
だ。」.
・「茶ア喰らい爺」(1994初芝文庫).
S61年聞き取り調査(高知県大豊町出身者)
畑の菜に虫がわくと、アセビを釜に入れて炊いた汁を菜にかけて殺したり、牛や馬にシラミがわいたときも、この
汁をかけてシラミを殺した。
2.ネジキ
・「牧野新日本植物図鑑」(1961北隆館)
幹は普通ねじれているので、ネジ木という。新枝、新葉ともに赤いので、塗りばしともいう。
・「同名異木のはなし』(1987思文閣出版)
潅木性の小木で若い枝が紅色、材の色調も淡紅褐色である。一一この木も多くの異名をもっており、アカギのほか、
アカメ、アカヅラなどアカの付く名が多く、樹皮がつるつるしているのでサルスベリともいう。
・「樹木大図説」( )
方言-- 説---カシオシミ、カシオシ、カツオシミ、カシモドキ、カタオシミ
幼枝赤色から---アカギ、アカメ、アカヅラ、アカネジ、アカキ ---ヌリバシ、ヌリバシノキ、キツネノヌリバシ
花、実のなる様--メシツボノキ、メシツブノキ、コメゴメノキ ---オジゴロシ
葉は家畜に極めて有毒、かって山羊はこれを食し死亡した。毒はアンドロメドトキシンである。
・「植物と民俗」(1969地球社)
① カシオシミ--ネジキの準標準和名として最も広く分布し、変化にも富んでいる。同一系の方言としてカシオシメ 、カシオズミノキ、カソーシ、カツブシ、カシボシ、カスオシ、カスオシミ、カスホシミなどがある。
ほぼネジキの天然分布の全域にこの方言が通用する。
「本草啓蒙--この枝を炭となし漆塗りの研ぎ出しに用ゆ、この炭をカシオズミと云--」とあり、山
城国岩倉の方言にネジキをカシオノキがあることから、カシオで焼いた炭の意である「カシオズミ」→
「カシオシミ」となった
②ヌリバシ--「本草啓蒙」に「新枝は赤して光あり、朱漆の如し、故にヌリバシと云」とあり。伊勢、山梨塩山
にこの方言あり、類似にハシノキ(岡山)、アカバシ(三重)、アカハシノキ(福井)、サルノサ
イバシ(山城上加茂)、キツネノヌリバシ(近江)、シシクイバシ(香川)などがある。
③オジゴロシ--ネジキで焼いた炭にまつわる語源。
・ネジキの炭は堅く火がなかなかおこらないので、おじ(オジ)が火を吹きつづけて遂に息が絶えた
・ネジキの炭は堅く火がなかなかおこらないので、おじ(オジ)が火を吹きつづけて遂に息が絶えた。
・ネジキの炭は堅く火がなかなかおこらないので、炭が売れず炭焼きのおじ(オジ)が死んだ。
・ネジキの薪は燃えにくく盛んに煙る、昔山小屋に住む老人があまりの煙に窒息して死んだ。
方言地--大和吉野、伊勢一志、伊勢度会、伊勢大杉谷、紀伊東牟婁郡、大和十津川村
3.シャシャンポ
・葉裏の主脈に突起があり、爪先で触るとひっかかる。
・「牧野新日本植物図鑑」(1961北隆館)
果実は液果となり、小球形、紫黒色に熟し、甘酸っばく食べられる。
実が丸く小さいことによる。
・「樹木大図説」( )
シャシャンボとは「小さい坊」の意味、小果の多く生ずる形に由来す。
方言---ワクラハ、アクラ、
---サセンボ、サシプ、ササブ
果実は外面粉白色で紫黒色、球形、甘酸の味あり小児好んで生食す。