野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

ネムノキ(マメ科)

2023-06-25 | フィールドガイド--植物編--

ネムノキ(マメ科) 

 

梅雨の晴れ間 ネムノキの花が咲き始めた。

ネムノキの名は小葉が夜間閉じて垂れ下がり、葉が眠ったようみみえるのでネムノキと名づけました。

暗くなると葉がとじるのですが、植物が暗さに反応して葉を閉じる動きを「睡眠運動」 といいます。

閉じる仕組みは、小葉のつけ根に 「葉枕」という小さな膨らみがあり、 その内部の圧力が変化することで、 葉が開閉します。

 

ネムノキを漢字では「合歓(ごうかん)」と書きます。中国では2枚の小葉が合わさり歓ぶと考えて、これを夫婦和合、家内平和の象徴として庭木にするそうです。

 ネムノキが咲くと、アズキあるいはヒエ、アワなどをまくという農業暦があります。

 花はマメ科の花とはちょっと違います。ネムノキの花は、すじばかりに見えます。これは、長くのびたおしべとめしべです。ピンク色にみえるところはおしべです。花びらはおしべとめしべの下に小さくあります。

秋にできる実をみるとマメ科だと納得できます。

 

花は6月~8月に咲き,紅色の美しい花を枝先につけます。花は、夕方から咲きはじめ、翌日の昼ごろまで見られます。


六甲山で再発見シーボルトとシチダンカ

2023-06-23 | フィールドガイド--植物編--

シチダンカ(アジサイ科)Hortensia serrate var.serrata f.prolifera

 

シチダンカは、ヤマアジサイの変種で六甲山の特産種。シーボルトの「日本植物誌」に採録された。

その後実際に見た人がいないので「幻の紫陽花」と呼ばれていました。

1959年(昭和 34 年)に六甲山小学校の職員が六甲ケーブルの西側で見つけて学校に植えていたところを、兵庫県生物学会会長の室井さんが同定、再発見の運びとなった。

種ができないため、挿し木で増やされいまでは公園などでもみることができる。

 

高さ1m~1.5mの落葉低木です。

シチダンカの装飾花は八重咲きで、それぞれの萼片は剣状にとがり、きれいに重なって星状に見えるのが特徴です。

 

アジサイの山と言われる六甲山系のアジサイ。アジサイは「神戸市民の花」にも指定されています、

 

昭和48年頃から、景観を損ねないように綺麗にしようということで六甲山にアジサイが植えられたのが最初。そして、昭和50年には、『花と市民の協定』条例第1号として5年間で2万本のアジサイを植えることになりアジサイが六甲の花、市民の花に。

 

「神戸市立森林植物園」では、6月中旬から7月中旬にかけてアジサイの花がみられます。

園内では「ヒメアジサイ」、「ヤマアジサイ」、「カシワアジサイ」、「コアジサイ」、「ガクアジサイ」、「アナベル」や、幻の花と言われる六甲山の名花「シチダンカ」など西日本最大級となる約350品種5万株のアジサイが咲き誇ります!


6月 梅雨の花 アジサイ

2023-06-17 | フィールドガイド--植物編--

6月の花 アジサイ

6月、梅雨のころの公園の花といえばアジサイ

日本のアジサイがヨーロッパにわたり品種改良され、西洋アジサイとして飾られるようになりました。

今一番品種改良に暑い国は北アメリカです。アジサイはピンクや青が普通でしたが、最近は真っ白いアジサイをよくみるようになりました。アナベルという品種です。

日本のアジサイのなかま

ヤマアジサイ

アジサイの仲間は花びらのように見える蕚(装飾花)をもつものが多く有ります。

庭などに植えられるセイヨウアジサイはほとんどが装飾花で、本当の花はその下に隠れていてよく見ないと解りません。

このヤマアジサイは深い山にありますが、周囲に4枚の装飾花を持つ花があり、真ん中に装飾化を持たない花が集まっているので、アジサイの花の仲間の花のつくりを見るのに適しています。

 

コアジサイ

コアジサイの花は6月ごろ淡い青色の花をつけますが、この花には装飾花はありません。梅雨の煙るような雨の中に咲く様は美しいです。

 

ツルアジサイ

ツルアジサイも6月ごろ白色の花をつけますが、この花には4枚の装飾花を持つ花が外側にあります

 

イワガラミ

イワガラミは6月ごろ白色の花をつけますが、この花には1枚の装飾花を持つ花が外側にあります

 

枯れてもなかなか落ちないアジサイの花

冬になっても、アジサイの花がいつまでもついているのを見たことがありませんか。

どうして、アジサイの花はかれてもいつまでも残っているのでしょう。

アジサイの花の作りを思い出して下さい。花びらに見える部分は「がくへん」でしたよね。

植物は花の時期がおわると、めしべを残して花びらやおしべを落とします。

ところが、がくへんは多くの植物で残したままです、アサガオしかり、いちごやトマトは「へた」がついていますよね。へたはがくへんです。

ということは、アジサイもがくへんは花が枯れても落ちないで残っています。

アジサイの花はかれてもがく片がのこっているので、花がいつまでも残っていると勘違いするのです。

 


ドクダミ(ドクダミ科)

2023-06-13 | フィールドガイド--植物編--

ドクダミ(ドクダミ科)

 

この梅雨の時期に、十字の白い花をつけます。

 漢方薬(かんぽうやく)に使う野草の一つです。正式な名前(標準和名)は、ドクダミといいます。

 

 じつはこの白い花の部分は葉が変化したものです。花びらはなくおしべとめしべしかありません。

 やや湿ったところに生えます。

 地下茎でどんどん増えていくため、 花壇に入るとこまりものになります。増えると一面のドクダミの群生となることもあります。

 手で折り取ったりすると白い液を出しどくとくの匂(にお)いがします。

 この匂いがどちらかというと臭(くさ)いにおいなので、嫌(きら)われ者です。でもこの時期に茎(くき)から上を摘(つ)み取って、陰干(かげぼ)しで乾燥(かんそう)させて保存すると薬になります。(花も葉も全部摘み取ります。)

 毎日煎(せん)じてお茶代わりに飲むと十通りの効き目があるということから十薬といわれています。

 健康茶の材料としてドクダミがはいっているのもあります。そのため、 有用植物として栽培されています。

おもしろいことに、加熱すると臭いは消えます。

 特に体内の毒消(どくけ)しの効果が大きいので、肌が白くなり、吹き出物などが出なくなるので、女性に好まれて使われています。

 味は、紅茶のような味で、紅茶のようにして出すと気が付かないくらいです。


ノアザミ

2023-06-01 | フィールドガイド--植物編--

ノアザミ(キク科)

 

5月下旬ごろから田の畔や草地河原の土手などで見られるアザミ。アザミはアザミ属の植物の総称です。

日本には100種類以上アザミがありますが、このころ一番普通に見かけるのがノアザミです。

さてアザミ、漢字で書くと、薊(あざみ)の漢字を分解すると草冠に魚と刀。

「薊」の字はトゲがあって、刀のように刺す草を表している。総苞やとげを鱗(うろこ)や剣に見立ててできた。

 

中学校の国語の教科書に「二つのアザミ」という教材があります。

 

宮沢賢治のアザミ=種山ケ原 

種山ヶ原を舞台にした作品。賢治は花巻農学校の教師をしていた大正十三年の作品。このなかにアザミがでてくる。

「すてきに背高の薊」

梶井基次郎のアザミ=闇の絵巻

短編小説。夜更けの渓沿いの暗い街道を歩いていく感情と空想を絵巻物のように綴った作品。

「裸足はだしで薊(あざみ)を踏んづける! その絶望への情熱がなくてはならないのである。」

二人の小説家がかいたアザミにたいする表現を読み比べて見慣れている風景の中のアザミがより美しく感じられたと作者が感じたことを読む解く。

アザミの花を言葉だけでとらえること(国語だからしかたないか)にすこし寂しい気がしますが。

学習した生徒たちも、自然のアザミをおどろきもって観察してくれるだろうか。

 

歴史は古く、聖書にもアザミの話がある。

禁断の果実を食べたアダムとイブは、エデンの園を追い出される。

ふたりは、イバラやアザミの生えた中から、食べ物を見つけなくてはいけなくなった。

というふうに人類とは古い付き合いの花なのだ。

 

スコットランドの国花はアザミ

イギリスの正式名は、「グレートブリテンとアイルランド連合王国」。4つの国の連合国家。

イングランドはバラ(テューダーローズで自然界にあるバラを紋章にしていませんが)、ウェールズならスイセン(これにも面白い話がありスイセンのまえはネギだったとか、その後スイセン(ラッパスイセン)になったのかも諸説あるようで)、アイルランドはシャムロック(三つ葉のクローバー)、スコットランドはアザミです。

中世の時代、ノルウェー軍がスコットランドに攻め入ったとき、アザミのとげを踏んだ敵が声を出し、夜襲に気づき、撃退したことから国花になったとか(これはあくまでも伝説で、なぜアザミなのかはわかていません)

しかし、現在でも、トップクラスの組織や企業のロゴ、なんと警察官の制服にまで、アザミの紋章はスコットランド中でつかわれているとか。

 

さて、最後に日本

日本語の「アザミ」の名は、「あざむ」に由来します。

あざむには「興ざめする」という意味があり、美しい花だと思って触れると、トゲがありそうではなかったと「あざむかれた」という意味から「アザミ」。

 

ノアザミの花の観察。

初夏に見られるアザミはノアザミ

ノアザミの花はたくさんの花が集まっている。キク科の花(頭花)は小さな合弁花(小花)の集まりです。一つ一つの筒状の花から長い雄しべや雌しべがとびだしている。指で刺激すると、雄しべの先から、白い花粉がでてくる。チョウなどが蜜を吸いにやってくるとチョウの体に花粉をつけて受粉させる工夫がある。

 

 

葉に鋭いトゲがあり、うっかり触れると痛い。これがいろいろな伝説をうんだ。

総苞には粘着性があり、虫がついてしまうことも。なぜ、粘着性があるのか、受粉には関係のないアリなどがのぼって花粉泥棒に合わないための工夫ではないかという説がある。

雄性期:虫が触れると花粉が出る。

雌性期:雌ずいの柱頭が2裂して、花粉を受けやすいようになる。

 


ハルジョオン と ヒメジョオンと

2023-05-29 | フィールドガイド--植物編--

ハルジョオン と ヒメジョオンのちがい

 

小学校5年の理科で、インゲン豆をつかっての発芽実験をする。

発芽には 水、空気、適当な温度が必要というのが実験の意図、そのあとは成長をみていくが、成長には日光と肥料が必要ということで、最初の科学的な植物の実験がおこなわれる。

実験に使うのは、インゲンマメ以外にはトウモロコシやホウセンカなどだが、テストに出るのは、インゲンマメやトウモロコシなので、子どもたちは、水、空気、適当な温度が刷り込まれる。

 

それで、今回はハルジョオンやヒメジョオンの話。

この時期だとヒメジョオンが扱いやすいかもしれませんが、痩果(果実)を素早く、器にまいて、アルミホイルで光が入らないようにしたものとラップをまいて光がはいるものを1週間おいておく。器のなかは初に必要な水は適度に必要だが、結果はアルミホイルの方は発芽するが、ラップのほうは発芽しない。

これは「光発芽」といい、高校の生物で学習する。小学校で学習した光は発芽に必要ないことをインゲンマメなどで学習してきた子どもはなかなかこのことには納得しない。

 光発芽の植物はレタスやバジルがあげられ、農家の人はよくご存じなのだ。

 発芽と光の関係を小学校でとりあげると、子どもたちが混乱するからというりゆうもあるだろうが、実際にいろんなものを発芽させて育てることが大切だと思うのだが、・・・。

 

春になるとよく見られる野草にハルジョオンがあります。でも5月の中ごろぐらいからハルジョオンによく似たヒメジョオンという花が見られます。関西では5月中ごろから6月はこの二つの花がまじって咲いていることが多いです。そこでこの二つの花の見分け方です。いちばんかんたんな方法がカッターナイフで茎(くき)を切ってみることです。

 

ハルジョオンとヒメジョオンのよびかた

 

植物図鑑によってはハルジョオンをハルシオン、ハルジョンと書いたりヒメジョオンをヒメジョンと書いたりしていますが同じものです。

 

というのが今までの図鑑など書いてある内容だが、最近はほかに

ホソバヒメジョオン、ヘラバヒメジョオン、ヤナギバヒメジョオンといった種がみられるようになった。

ネットのなかでもヒメジョオンと紹介している画像を見ると明らかに葉のようすがちがうのがある。

ホソバやヘラバなのだ。

ややこしいことに、ヒメジョオンがヘラバヒメジョオンやホソバヒメジョンと交雑して、中間のものもが見らるようになってきたことだ。

山口・琉球等帰化植物図鑑 2017にはホソバノヘラバヒメジョオン〈新称〉が報告されている。

 


キイチゴ

2023-05-26 | フィールドガイド--植物編--

キイチゴ

 キイチゴと呼ばれるのは黄色いイチゴ「果実が黄色いから」ではなく、木になるからです。

キイチゴの仲間は多く、クサイチゴ、ナワシロイチゴ、ニガイチゴ、ナガバモミジイチゴ、フユイチゴなどがあります。

 北半球だけでも400種を越すと言われ、日本だけでも70種類以上が自生しています。先に紹介したフユイチゴは秋に開花し、真冬に結実します。

 それ以外は、5月から6月ごろにかけて、熟した果実をつけます。写真で紹介するナガバモミジイチゴは、一番早く花がさきます。長めのモミジの葉によく似た葉を持つイチゴの意味から名前がつきました。近畿地方以西に見られます。この木のトゲはするどくて,山歩きする者にとってはやっかいなもの、しかしキイチゴの中では甘く、汁気(しるけ)の多い、もっともおいしいキイチゴで、ジャムにもできます。美味しいいちごにはとげがある。

クサイチゴ

山野にふつうに見られる小 低木で,葉は3〜5枚の小 葉からなり、軟らかい毛が たくさん生えています。春に、直径4〜5 cmの白い大きな花を咲かせます。果実は赤く熟し、甘くておいしいです。

ナワシロイチゴ

日当たりのよい山や道端に生えています。葉の裏には白い綿のような毛が生えています。花はピンク色で、5月ごろに咲き、田植えをする前、苗代を作る6 月ごろに赤い果実が熟すので、 “苗代苺(ナワシロイチゴ)”と呼ばれます。

ナガバモミジイチゴ

日当たりのよい山の縁によく生えていま す。細長いモミジのような葉をしている ことから、名前がついています。審に花が 咲くキイチゴの仲間のうちでは、一番早く花が咲きます。秋に熟す果実は黄色で、 大変おいしいイチゴです。普通“キイチ ゴ’というと、この植物をさすことが多いようです。

 

ニガイチゴ

山野の林の縁や荒地に生える低木で,茎には刺(とげ)がたくさんあります。花は4月から5月に2年目の枝に咲き,6月から7月に赤く熟します。果荚は甘くておいしいのですが、種子をかむとにがいので、この名前がついています。

フユイチゴ

林の縁や林の下で、つる状に地面をはって延びていきます。葉は大型で厚く、曲がった短い毛が生えています。他のキイチゴの果実がない冬に、赤くておいしい果実をつけるので、この名前がつきました。


ライントランセクト法 里山林を調べてみると

2023-04-27 | フィールドガイド--植物編--

ライントランセクト法 里山林を調べてみると

 

ライントランセクト法とは、森林とか草原などの植物の社会を一本の線か帯で切り取り、その断面(だんめん)、いわゆる構造を図で表して見る方法です。

 森林の場合、一番高い木の並んだところを第1層(高木層)と呼びます。 低くなるにつれ、第2層(亜高木層)、第3層(低木層)、第4層(林床)などと呼びます。

 高木層を二層に分ける場合もあります。これを階層構造といいますが、階層が多いほど豊かな林とも言えます。

 また、そこに出現する種(植物の種類)が多いほど豊かな林とも言えます。

三田市上深田の里山の断面図です。

第1層は コナラ カスミザクラ コバノトネリコ(アオダモ)

第2層は タカノツメ ネジキ ウリカエデ ミヤマガマズミ 

第3層は ヒサカキ アラカシ コバノミツバツツジ ヤブツバキ ツクバネウツギ ヤマウルシ モチツツジ ウワミズザクラ

第4層は サルトリイバラ イヌツゲ ソヨゴ ネザサ フジ ヒイラギ ヤマツツジ その他

4層にはっきりとわれており、種類のあるので豊かな里山林、コナラの森ということができます。


ウワミズザクラとイヌザクラ

2023-04-19 | フィールドガイド--植物編--

ウワミズザクラ

今年の山の花の咲く時期ははやい

フジの花も目にするようになり、ウワミズザクラも、ゴールデンウイーク前後に満開なのだが、10日ほどはやい。

サクラのなかまとしてこれまでの生きているシリーズで紹介していたが、DNAの分類がすすみ、ウワミズザクラもウワミズザクラ属になりました。

これまでは、ウメ、モモ、サクラはすべてサクラ属としてひとまとめになっていました。

しかし最近では、DNA解析による分類によって、従来のサクラ属は、スモモ属、サクラ属(狭義)、バクチノキ属、ウワミズザクラ属の4つに分かれてしまいました。

花が数個さいており、葉腋の芽が2個ならスモモ属、1個ならサクラ属、ウワミズザクラのようにブラシのような花が付き、落葉ならウワミズザクラ属、常緑ならバクチノキ属と別れました。

 

ウワミズザクラはブラシのように花がついていますが、一つの花は5mm程度の小さな花があつまっています。葉の形はサクラの葉とそっくりで、サクラの仲間の特徴がみられます。ですから、サクラ属になっていましたが、属が分かれてしまいました。

 

名前の由来も諸説ありますが、ウワミゾザクラ(上溝桜)が転訛したものといわれる。「上溝」の「溝」は、古代の亀甲占いで亀の甲羅につけられた溝を指します。もう一つは、溝が下になる、ウラミゾザクラ(占溝桜、裏溝桜)の転訛によるもの。鹿骨の裏に溝を彫り、鹿骨を焼いてその割れ目の形で占いをしたという。この溝をウラミゾ(占溝または裏溝)といい、骨を焼くのに用いた木がウラミゾザクラと呼んだからと、どちらも占いに関係しているところからきている。

しかし、歴史的にはシカの骨がふるく、亀の甲羅の占いがあと。

亀の甲羅を使った占い(亀卜)は古代中国の殷の時代に盛んに行われました。それが、奈良時代に日本に伝わり、現在でも行われています。2019 年(令和元年)皇居の宮中三殿で「斎田点定(さいでんてんせい)の儀」で行われています。

 

ウワミズザクラとよく似たイヌザクラは花序に葉がつかないのでみわけることができます。


京都府久美浜湾で海岸の植物

2023-04-18 | フィールドガイド--植物編--

京都府 久美浜、小天橋の砂州の植物

京都府の単語半島の付け根に位置する久美浜湾の北側には湾をふたをするように砂州が続いています。

久美浜湾の広さは約7.1km2、最大の水深は20.6mで、汽水性の潟湖です。

久美浜湾からは水戸口とよばれる人工水路日本海とつながっており、そこから船を海に出します。

人工水路を作ったのは、1913年といいます。

 

海岸からは砂がたまって出た砂州のようですが、砂の下には礫層があり、段丘になっています。段丘崖のうえに砂が海岸から風に乗って運ばれて、砂丘のようになっています。

 

海岸の周辺にはクロマツやニセアカシアなどの植林地があり、畑や果樹園を砂から守っています。

固定された砂丘地は農地に変えられ、サツマイモやメロン野菜などの栽培や、果樹園では梨やぶどうを育てる砂丘農業がおこなわれています。

 

久美浜湾のランドマーク兜山の東にハス池と呼ばれる池がありますが、縄文海進後に排水ができずに今の池の姿になりました。

 

今日(4月17日)海岸の植物の画像について。

ハマニガナ(キク科)

海岸の砂浜に生育する多年草。地下茎を長く伸ばして群生する。砂に埋もれてもすぐに肉厚の葉を広げる。

コウボウムギ(イネ科)

花茎(画像)。春に花をつける。雌雄異株。コウボウムギの名前の由来は茎の付け根のさやで筆を作っていたことから、弘法大師の筆に例えて。

ハマハタザオ(アブラナ科)

北方系の植物。葉は肉厚で表裏とも星状毛が多い。花期は4月から6月。花茎の先端に白い花が集まって咲く。

カワラヨモギ(キク科)

河原や海岸の砂地に生育する多年草。ヨモギの葉に形がよく似ているが、色が白緑色、葉も細かく切れ込んでいる。初夏頃からは花茎が伸びると、糸状に裂けた緑色の葉が目立つようになる。この写真は春なので、夏と比べると面白い。