野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

「コケ活」コケがアツい!

2023-03-01 | 市民講座

「コケ活」「コケ女」「苔ガール」「苔テラリウム」

コケが注目を集める昨今。

コケを研究する人はほんとに少なくてと聞いて、観察会をしていたころとはずいぶん様変わり。

 

今回は2013年度の活動から吉城園での観察会から

2013年6月30日(日) 奈良「吉城園」のコケ

今日は奈良の「吉城園(よしきえん)」でコケの観察です。

奈良駅前から東に向かって歩いて約15分程。吉城園に到着。

 

ここは「興福寺古絵図」によると同寺子院の摩尼珠院(まにしゅいん)があったところとされ、大正8年に現在の庭園と建物が作られ、県の所有になりました。そして庭園鑑賞とお茶会に広く利用してもらうために平成元年に開園したそうです。

コケの先生の必殺飛び道具。押すと霧が飛び出します!?乾いた苔にこれをシュッと吹きかけると、みるみるうちにきれいな緑に緑に変わりコケが開きます。素晴らしいパフォーマンス!変化の様子は下の写真をご覧ください。(ナチュラリストクラブホームページより)

このあとどんなコケが観察できたのかはナチュラリストクラブのホームページで

来年度の会員募集もしています。https://barmam.sakura.ne.jp/naturalist/

 


今日の一番星

2023-02-28 | 市民講座

★一番星(いちばんぼし)★

 お日さまが西の空に沈(しず)んで夕やけがしています。さあ、星のかがやきはじめる時間になりました。一番星をさがしてみましょう。夕方になって最初(さいしょ)に見えはじめる星が一番星です。今週(こんしゅう)は、どの星が最初に見えるでしょうか。

 では、寒(さむ)くないようにして、夕方の6時すぎぐらいに外に出てみてください。まだ、うすあかりが残(のこ)っていますよ。まわりに街灯(がいとう)や自動販売機(じどうはんばいき)などの明かりがあるところをさけて、お日さまの沈んだ方向(ほうこう)からにぎりこぶし4個(こ)ぶんほど左斜(ひだりなな)め上の空をさがしてください。明るくかがやく星があります。

イチバンボーシミーツケタ!

 きょうは二つ。金星と木星です。

 3年に1回。特に今年は「夕方で見やすい」位置にあります。

 この星は「金星」です。太陽のまわりを、1億(おく)kmほどはなれて、226日ほどで一周している惑星(わくせい)です。ずいぶん明るくかがやいていますね。お日さまの光を反射(はんしゃ)してかがやいているのです。

 明るくかがやいているのが惑星の王様「木星」です。太陽のまわりを7億8千kmほどはなれて、1周するのに12年かけて一周する惑星です。木星を回る月は95個もあります。1610年、ガリレオがはじめて観測して4つの木星の月を発見しました。ガリレオ衛星とよばれ、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと名前がつけられています。エウロパには表面の氷の下に液体の海があると考えられる証拠が見つかっています。

 

 「恒星は星座をかたちづくる星」、「惑星は星座の間を惑(まど)いながら動く星」とおぼえておきましょう。

次回2024年は太陽と重なり観察できず、その次2025年は明け方の空になるので観察は苦手。

夕方での接近は2026年6月10日です。おたのしみに。


まどいぼし とは?

2023-02-27 | 市民講座

天文のニュースから

「金星と木星が接近 きょう2月27日 (月)から3月5日 (日)かけて、夕方から宵の西の空で、金星と木星が接近します。 国立天文台によりますと、最接近は3月2日 (木)頃で、2つの明るい惑星が寄り添う光景が目を引くでしょう。」

最近 夕方西の空に二つの輝く星が見られます。 金星と木星です。木星は双眼鏡でもしっかり観察できます。木星の衛星が目のよい人には見えるかもしれません。夕方が観察のチャンスです。二つとも数時間後には沈んでしまいます。

今回は天文教室での「まどいぼし」の話をさせていただきます。

★まどいぼし★

 もうすぐ春。もう夜8時ごろには、オリオンざ座やふたご座などの冬の星座をおいかけるように、おおぐま座やしし座など、春の星座が地平線(ちへいせん)からあらわれてきています。

1年をつうじて、規則正しく星座はうつり変わっていきます。なにごともなかったように、毎年、同じ、時刻に、は同じ星座が同じ場所に見えます。しかし、よく観察してみると、おうし座にあった土星と木星は、この前に見たときとちょっと場所がかわったように見えませんか。

 そうです!この2つの星は、星座のあいだを少しずつ場所を変えていきます。このように、星座の中をうご動いていくような星を「まどいぼし」という意味で「惑星(わくせい)」といいます。

それに対して、星座を形づくるような、場所を変えない星のことを「恒星(こうせい)」といいます。ちょっとむつかしいのですが、「恒星」は、「恒久的(こうきゅうてき)に位置を変えない星」、「惑星」は、「恒星の間を惑(まど)いながら動いていく星」なのです。昔、惑星のことを「遊星」(あそびぼし)といっていたときもありました。きれいな名前ですね。

 では、どうして惑星はこのような動きをするのでしょうか。それは、木星も土星も、太陽のまわりをまわっているからです。じつは、太陽のまわりをまわる星は、ぜんぶで9つあります。地球も太陽のまわりをまわっていますよ。

 みなさんは、運動会でグランドにえがいた線(円)にそってゴールまで走りますね。それでは頭の中で運動会です。グランドの中心に太陽があると考えて、そとがわに順番に9つ円をえがいていってください。それぞれの位置について、いよいよスタートです。一番うちがわの円の上を水星くんが、次に金星さん、そして地球(これが自分です)、さらに火星くん、木星さん、土星くん、天王星さん、海王星さん、一番そとがわの円の上を冥王星さんがまわります。冥王星のまわる円のそとがわには、お父さんやお母さんがじっとすわって、みんなをおうえんしています。太陽から遠いほど、走るはやさは遅くなります。

 さて、第3番目の円を走っている地球(自分)から、第5番目の円を走る木星さんを見てください。木星の向こうには応援するお父さんやお母さんたちがいますよ。コーナーをまがってもういちど木星さんをふりかえって見てください。そう、もう分かりますね。さいしょに見たお父さんやお母さんたちとは違うところを走っているように見えますよ。

 そうです、お父さんやお母さんが「恒星」で、地球や木星は「惑星」なのです。だから、私たちの地球から見て、惑星は恒星の間をあっちにいったり、こっちにきたりしているようにみえるのです。

 友達と学校のグランドで、校舎や木をお父さんやお母さんのかわりにして実験してみてください。

 

小学生対象に行っている天文学教室です。やさしくお話をしていただきました。


アマゾン自然学校 テキスト(11)

2023-02-24 | 市民講座

マモン (Mamão)(パパイヤ)

沖縄ではパパイヤを野菜として利用しているそうです。沖縄の収穫時期は7月から9月。

野菜と利用するというのは、熟す前の青い果実を収穫し、煮てたべます。大根のような食感があるそうです。沖縄には中国から台湾を経て、18世紀に伝わったといいます。今、熟す前の青パパイヤ、茨城県の水戸パパイヤ栽培研究会の農家が栽培して健康食品として注目されています。

 

さて 今回はパパイヤ ブラジル語ではマモン。

青いパパイヤは食べたことはありませんが、熟したパパイヤはおいしくいただきました。

パパイヤ ( Carica papaya L.) は、メキシコ南部からニカラグア北部の地域でスペイン人によって発見されました。

ブラジルには1587 年に入ってきたといわれています。

成長に適した気温は22°C から 26°C で、9 月から 2 月に収穫されます。世界には52種類以上のパパイヤの品種があるそうです。

パパイヤには、雌花、雄花、または雌雄同体の花があります。雌花と雌雄同体の花からできる実は、丸みを帯びたものと細長いものができ、どちらも食べることができます。一方、雄株のものは、形が変形し、食べてもおいしくありません。

 

パパイヤは、寿命は5年から10年ほどですが、農園では通常、寿命より早く植え替えられます。

現在ブラジルで作られているパパイヤの品種は、フォルモサパパイヤで、台湾が原産です。

ポルトガル帝国の入植者がこの国に到達したとき、現在の国が位置する領土は「フォルモサ島」と呼ばれていたため、その名前が由来しています。

パラ州のパパイヤがどのように入ってきたのか日本人かかかわるおもしろ伝説があります。

伝説によると、パラに住んでいた日本人宣教師が宗教的使命のためにハワイ(米国)に行き、そこで彼はブラジルの土地で知っていたものよりも小さくて甘いパパイヤがあったので、ポケットにいくつかの種を入れてブラジルに持って帰り、パラの農家の友人に配りました。その後、パパイヤは、北部へ北東部の他の州に広がったとか。

 

果実はカルシウム、プロビタミンA、およびビタミンC(アスコルビン酸)に富み、また消化酵素(パパイン)を多く含むので、重いブラジル料理のデザートには最適です。

 


アマゾン自然学校 テキスト(10)

2023-02-21 | 市民講座

アサイAçaí(ヤシ科)

 

ブラジルの奇跡アサイ、アマゾンの黒い真珠アサイー

原産地ブラジル – アマゾン地域のヤシの実を紹介しているのは「株式会社フルッタフルッタ」。

神戸三宮でジュースバーを開店、「アグロフォレストリーの産物でお客様の美と健康に貢献する革新的な商品をつくり、利益をアグロフォレストリーに還元することで経済と環境が共存共栄する持続可能な社会の実現を目指す」会社として発展。特にアサイを積極的に日本に紹介している企業だ。詳しくはホームページをご覧いただくとして、今回はアサイの紹介

アサイーはアマゾン地域の代表的なヤシの木です。川の浸水した地域や氾濫原でよく見られます。高さは 25 m にもなり、幹の直径は 15 ~ 25 cm になり、通常は群生します。もともとアサイは川沿いの人々の主食で、魚、エビ、または肉に関連するキャッサバ粉と一緒にまぜて食べられていました。

ヤシの実というと、小型のラクビーボールをイメージしますが、キンカンぐらいの丸い実です。実の色は紫または黒です。ポリフェノールや鉄分が非常に豊富な実です。

収穫は8月から2月にかけて行われます。果実をとるには木に登る必要があります。

 

朝食に果肉をピューレ状にすりつぶし、ファリーニャと呼ばれるキャッサバ芋を炒ってフレーク状にしたものを混ぜて食べます。

日本でいうなら冷たい朝がゆというかんじでしょうか。立ち食いソバの店で朝食をとる感じで、簡単な朝食になっています。

また、早期老化を防ぐなど優れた成分があります。健康食品としてブラジル全土でいま注目されています。アイスクリーム、リキュール、スイーツ、ネクター、ゼリーが果実から、さらに染料やアントシアニンの抽出にも利用されています。

利用は果実だけでなく、木の房でほうきを作り、葉は屋根にしき、種子は動物のえさになり、幹は簡単な家を建てるための柱などの材料になります。製紙の原料にもなっています

 

アサイは熱帯雨林の独特な条件熱帯アマゾン環境の湿気の多い気候により発達したヤシの木です。

アマゾン地域にとってのアサイーは持続可能性の役割を持っていました。何世紀にもわたって、先住民や川沿いの人々の生計手段となっていました。

アサイはなれると癖になるけど・・・


アマゾン自然学校 テキスト(9)

2023-02-19 | 市民講座

アンジェリンペドラ(angelim vermelho)

 里山で見られるアカマツの木の高さは平均で15m前後、立派な松の木で25mもあればひと昔なら家の梁につかうこともできそうでだ。スギの木でも20~30mなら立派な林だ。秋田県には秋田杉が有名だが、樹齢250年、50mのスギの林がある。

 アマゾンでは木の平均の高さは 40~50 mで、今の日本の森に比べて樹高がずいぶん高い。そんなアマゾン地域の森林で最も高い木がみつかった。場所はアマパ州とパラ州の州境の乾燥地で見つかった。

木の高さ 88.5 m、幹の周囲9.9m。 (2019年)。この木の樹齢は 500 年以上あると推定されている。。実は2019年に見つけたけど、衛星写真からの確認で、現地で確認したのは2022年去年の9月。(世界一高い樹木は米カリフォルニア州のセコイアで、樹高115.7メートル)

木の名前はアンジェリンペドラ

木材は重く、非常に耐久性があるので、外装工事の建設用途などにつかわれる。

画像は、トメアスの農園で意図的に残している原生林の中のアンジェリンペドラ。農園を訪れた人に記念にプレートをつくっていただいた。農園を開いたときに意図的に敷地の一部を昔のままに残しておられる。写真の樹高も50m近くある。


アマゾン自然学校 テキスト(8)

2023-02-15 | 市民講座

ブラジルのナツメグ、プシュリ(プクスリ)

プシュリの使い方はナツメグと同じで、少量をすりおろす。その香りと風味は独特で、クローブ、スターアニス、カルダモンが少し混ざった香りでいろいろな料理に利用できる。独特の香りと風味は、甘口にも辛口にもよくあう。ホワイトソース、プリンシロップ、ベイクドポテト、海老の味付けにも

 

さて、テキストより

 

リオ・ネグロ流域原産のクスノキ科の樹木であるが、材質は日本のクスノキと同じで、家具用材としては貴重木である.。成長は緩慢で、適地(半湿地)でも20年で胸高直径20~25cmしかならないが、40年経つと50cm にはなる。

この木は、カンフルを多く含み、とくに種子は薬用としての価値が高く、近年の代替医療薬としては貴重なものとなることは確実である。当地では種子の利用が余り知られていないが、ノルデステでは家庭の常備薬として先祖代々の遺留品として大切に受け継がれている。彼等はすべての病気に効くと教えるが、共通して小児の“ひきつけ”に口移しで飲ませると言う。これはカンフルの強心効果によるものであろう。

トメアスーに残っているものは、南米拓殖会社のアサイザール試験場に当時の農業技師がマナオスから持ちこんで植えたものである。この木は極めて浅根性であり、根が地上に露出して気根のようになるので、エンシャーダで根を切ったり、除草剤などを使うことは禁物であり、つねに敷草によって根元の管理をしないと育たない。実の収穫は落ちたものを集めるだけであるが、落果時期は雨季になるので、乾燥はビニールハウスのなかで行わなければならない。

トメアスに最初に持ち込んだのは坂口さんの祖父。最初プクスリだとは知らずに、アマゾンからトメアスに種を運び、苗木が育った。それがプシュリであることがわかったのはずいぶん後だったとか。


アマゾン自然学校 テキスト(7)

2023-02-14 | 市民講座

カカオ

カカオは、アオイ科の常緑樹。カカオノキ、ココアノキとも呼ばれる。チョコレートやココアの原料として栽培されている。

 

チョコレートを贈るのは日本だけ。1950年代後半に始めたチョコレートキャンペーンがきっかけらしいが、1970年代後半には「女性が好きな男性にチョコレートを贈る日」として定着しました。

そのチョコレートの原料がカカオです。

 

カカオの木は、ペルーからメキシコにかけての熱帯アメリカの熱帯雨林地域に由来します。

カカオの栽培はアメリカ大陸各地域に広がり、地域ごとに個性が生まれ、きさまざまな風味と食感の特徴を持つ品種になりました。

カカオの木は、農場では高さ 05 から 08 メートル、樹冠直径 04 から 06 メートル程度の大きさですが、森の真ん中で成長すると、高さ 20 メートルに達することがあります。カカオの収穫は難しいところは実が同じ木にある場合でも、必ずしも同時に熟すとは限らないところです。実をとるときに上手にとらないと木がいたみ花が咲かなくなり、生産性が低下してしまいます。実から種をとりだします。これがチョコレートの原料になります。

 チョコレートにするには、実を発酵させます。発酵後、実の中の種を乾燥させます。乾燥がうまくいくとよいチョコレートになります。乾燥が終われば数か月保管し、熟成させて出荷することになります。

 

チョコレートがどのようにできるのかは、ブラジルの子どもたちも知りません。

アマゾン自然学校では、農家の協力で実際にチョコレートをつくってみました。

自然学校4日目の活動です。

「子どもたちは植林を終えて、トメアスの町に帰ってから昼食をとり、午後は「ものづくり体験」です。坂口農場にお世話になりました。前半はカカオビーンズから手作りチョコレートに挑戦です!炭火に鍋をかけ、その中に発酵させたカカオビーンズを入れて、香ばしいにおいがするまで炒ります。下の豆が焦げ付かないように常に鍋の中身を混ぜていなくてはいけません。少し豆の乾燥が十分でなかったようで、時間がかかりましたが、みんなが順番で混ぜる役をやりました。次に、炒った豆の皮をとります。熱いので気をつけなくてはいけません。しかし、早くしないと冷めてしまい皮がとりにくくなってしまいます。みんなで一生懸命皮をむきました。皮をむいた豆を挽き器に入れて、ペースト状にします。これでチョコレートの完成です。あとはビニールに包んで、冷やします。ビニールに包むのにコツが必要でしたが、みんなうまくできました。このチョコレート、実は、すごく苦いチョコレートです。市販のチョコレートにはこれに砂糖やカカオバターが入ります。味見をした子供は市販のチョコレートとの甘さと苦さの差にびっくりしていました。」


「クズと民俗学」そして外来種問題

2023-02-14 | 市民講座

2023年2月12日第11回ナチュラリストクラブ記念講演『ひとくらし自然 民俗学の視点から その14』 

で「クズと民俗学」の内容で講話した。

今回、植物民俗学の視点から「植物がどのように使われるのか」だけではなく、「どのように認識され使いこなされているか」、「人間社会とその依存する植物との間の互恵的関係」が主な内容だ。

植物は見方によっては役立てば栽培植物になり、害があれば雑草であり、同じ雑草でもあるときは有用であると認めれば野草となる。雑草とひとくくりにするなと、「雑草という草はない」といったのは牧野富太郎博士の言葉を紹介し話はすすむ。

クズであるが、縄文の時代からでんぷんを利用する植物の一つであった。

そして、縄文土器に付着する布片の圧痕や編み衣様の布片の出土からクズも衣になっていた。

くず粉の料理本は鎌倉時代にすでにあり、江戸時代武士階級の高級衣装になっていた。等々

 

聞いていただいたみなさんが一番興味を持っていただいたのが、アメリカにわたったクズの話。

「世界の侵略的外来種ワースト 100」に選ばれるまでになったこと。

アメリカではびこるクズの地図からアメリカの南部に広がり、それゼれの州では、みつけたらただちに処理しましょうと呼びかけている話や根から掘らないと退治できなので堀りあげた根の画像を紹介した。

 根の大きさは吉野葛をとるクズと変わらないことから、アメリカでくず粉を作って商売できそうという声も。

 実際、自然保護団体などでは広がるクズをくず粉や繊維で布をつくるワークショップを行っている。

アメリカでのクズのホームページから本当に大変さが伝わってきたが、楽しみもアメリカ人だなというところがうけた。

外来種対策の歴史を見ると、

1992 年、「生物多様性条約」が締結され、世界全体で生物多様性の保全と持続可能な利用を目指す唯一の国家間合意ができた。そのなかに、「外来種対策」を行うことが明記されている。おくれて、日本は 1993 年 5 月 28 日に締約国になった。

2001 年には「世界の侵略的外来種ワースト 100」が公表。IUCN(国連自然保護連合)が外来種の中で、特に生態系や人間活動への影響が大きい生物のリストを公表したのだ。

日本が関係するのはクズとイタドリ。もう一つチガヤ。これらが100の中に入っている。

日本でもチガヤが耕作地に入り込むと大変。これは経験から思う。

どうするクズということで話をおえた。

 

あっという間に時間が過ぎて面白かったと好評であった。以上報告まで


アマゾン自然学校 テキスト(6)

2023-02-13 | 市民講座

アブラヤシ

2010年を超えてトメアスに向かう途中、今まで牧場だったところがアブラヤシに変わっている。アブラヤシの場所がたくさんあることに気づいた。

前回ブラジルに来たときはバイオ燃料でトウモロコシが注目されていたが、つぎはアブラヤシに変わってきたのだ。

アブラヤシは西アフリカが原産、19世紀後半に東南アジアへ、プランテーションで栽培された。その後ブラジルへ。果実からパーム油を抽出し、マーガリンや揚げ物用の油など食用に、石鹸や化粧品など工業用に利用されている。ブラジルではバイオディーゼルの生産に多用されている。ブラジルの主な生産地は北部と北東部である。

アマゾンの森が焼き畑のため火がつけられて失われていくニュースは日本でも流れる。

森林火災は焼き畑が目的だけなく、牛の生産や大豆の栽培、水力発電ダム、および鉱業の開発のためにアマゾンの熱帯雨林がなくなっているのだ。そこに火災の理由の一つにアブラヤシのプランテーションの拡大が加わったという。

なぜ起こっているか、アマゾンの原生林がアブラヤシのプランテーションのためであることは日本ではあまりニュースにならない。

前のブラジル大統領は、ブラジルのバイオ燃料生産を増やすため、これまでアマゾンでのサトウキビ栽培は禁止だったのを解除した。さらに、いくつかの火力発電所の燃料にサトウキビを燃料に加えパーム油も使用を促進するになった。アブラヤシのプランテーションが増える理由である。

ブラジルのアブラヤシ生産者は、パーム油の生産は、2008 年以前にすでに荒廃して開墾された地域に植えているので、アマゾンの環境を守る「環境に優しい解決策」であると主張している。

しかし、ブラジルの原生林がアブラヤシのプランテーションに取って代わられたことを示す証拠が増えている。

2006 年から 2014 年の間にパラ州でアブラヤシの面積が拡大。約8% の面積が​​原生林や二次林を含む自然植生がアブラヤシに代わった。パラ州のアカラでは、2007 年から 2018 年の間に 4,800 ヘクタールの森林がアブラヤシのために伐採されたという。

私たちがトメアスに向かう道でアブラヤシが増えたと感じたのは間違いなかったようだ。

森林火災もアブラヤシのプランテーションの拡大と関係がありそうだと環境団体が調査を進めている。