2023年2月12日第11回ナチュラリストクラブ記念講演『ひとくらし自然 民俗学の視点から その14』
で「クズと民俗学」の内容で講話した。
今回、植物民俗学の視点から「植物がどのように使われるのか」だけではなく、「どのように認識され使いこなされているか」、「人間社会とその依存する植物との間の互恵的関係」が主な内容だ。
植物は見方によっては役立てば栽培植物になり、害があれば雑草であり、同じ雑草でもあるときは有用であると認めれば野草となる。雑草とひとくくりにするなと、「雑草という草はない」といったのは牧野富太郎博士の言葉を紹介し話はすすむ。
クズであるが、縄文の時代からでんぷんを利用する植物の一つであった。
そして、縄文土器に付着する布片の圧痕や編み衣様の布片の出土からクズも衣になっていた。
くず粉の料理本は鎌倉時代にすでにあり、江戸時代武士階級の高級衣装になっていた。等々
聞いていただいたみなさんが一番興味を持っていただいたのが、アメリカにわたったクズの話。
「世界の侵略的外来種ワースト 100」に選ばれるまでになったこと。
アメリカではびこるクズの地図からアメリカの南部に広がり、それゼれの州では、みつけたらただちに処理しましょうと呼びかけている話や根から掘らないと退治できなので堀りあげた根の画像を紹介した。
根の大きさは吉野葛をとるクズと変わらないことから、アメリカでくず粉を作って商売できそうという声も。
実際、自然保護団体などでは広がるクズをくず粉や繊維で布をつくるワークショップを行っている。
アメリカでのクズのホームページから本当に大変さが伝わってきたが、楽しみもアメリカ人だなというところがうけた。
外来種対策の歴史を見ると、
1992 年、「生物多様性条約」が締結され、世界全体で生物多様性の保全と持続可能な利用を目指す唯一の国家間合意ができた。そのなかに、「外来種対策」を行うことが明記されている。おくれて、日本は 1993 年 5 月 28 日に締約国になった。
2001 年には「世界の侵略的外来種ワースト 100」が公表。IUCN(国連自然保護連合)が外来種の中で、特に生態系や人間活動への影響が大きい生物のリストを公表したのだ。
日本が関係するのはクズとイタドリ。もう一つチガヤ。これらが100の中に入っている。
日本でもチガヤが耕作地に入り込むと大変。これは経験から思う。
どうするクズということで話をおえた。
あっという間に時間が過ぎて面白かったと好評であった。以上報告まで