野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

ヒメボタル

2023-06-18 | 兵庫の自然

ヒメボタル

 

ホタルといえばゲンジボタルやヘイケボタルが有名ですが日本固有のホタル「ヒメボタル」がいます。

阪神間では、猪名川河川敷のヒメボタルが有名です。

軍行橋から桑津橋に向かう土手で観察することができます。

毎年5月にみることができます。

兵庫県の北部では、この時期6月に観察できます。

ゲンジボタルやヘイケボタルは幼虫のときは、水の中ですごします。

しかし、ヒメボタルは一生を陸で過ごす陸棲ホタルです。

ゲンジボタルの成虫は優雅に点滅してとびまわります。

しかし、ヒメボタルはストロボのように点滅して黄色に光るのでゲンジボタルやヘイケボタルとは光り方や色でも見分けることができます。

 

ヒメボタルのメスは飛ぶことができません。メスは草むらの中で光って合図をおくります。飛んできたオスと交尾が終わると産卵します。

ヒメボタルは遺伝的に地域差があることがわかってきました。

兵庫県の場合氷上回廊をはさんで遺伝的にちがいがあることがわかっています。

 

 


兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる底生動物(3)

2023-06-11 | 兵庫の自然

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる底生動物(3)

 

海釣りの人なら、海に活きたエビを撒いて魚を寄せて、そこに挿し餌を送り込んで魚を釣り上げる方法を知っているだろう。スズキ、チヌ、メバルなど、様々な魚種が釣れる。

関西では伝統的な海釣り釣法の一つ「エビ撒き釣り」というそうだ。

実はこのエビはスジエビという川や池でよく見られるエビです。

体長5cmぐらい。体色はほぼ透明で、胸から腰にかけて黒色のしま模様から「筋エビ」の名の由来です。胸のすじは逆「ハ」字の模様が確認できスジエビと見分けられます。

3~8月に産卵します。

滋賀県は琵琶湖産のスジエビを大豆といっしょに煮て料理する郷土料理があります。

近年、外来種のチュウゴクスジエビが日本各地で確認されており遺伝子撹乱が起こる可能性が心配されている。

見分け方は千葉県 生物多様性センターが発行している「生命のにぎわい通信」(第48号:発行平成30 年(2018 年)10 月)に掲載されているので参考にしてください。

https://www.bdcchiba.jp/date/monitor/ntsusin48.pdf 

 

今回は兵庫県の川の底生動物3回目 

スジエビ

おもに中流から下流に分布。水際の植物群落や水草の中にいる。体に縦状の黒い筋(“八” の字を上下逆にした筋)がはいる。

ミナミヌマエビ

おもに中流から下流に分布。水際の植物群落や水草の中にいる。体色は暗褐色または緑褐色で環境に合わせて変化する。


兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる底生動物(2)

2023-06-10 | 兵庫の自然

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる底生動物(2)

 

プラナリア事情

プラナリアを2つに切断すると2匹のプラナリアに、3つに切断すると3匹のプラナリアになる生きものという有名な生き物です。清流を好み、水の綺麗さを示す指標生物です。

プラナリアの正式名は、ナミウズムシ、学名:Dugesia japonica、サンカクアタマウズムシ科です。

北海道北部を除く全国の河川や湧水でみることができます。

ところが、外来種のアメリカツノウズムシが猪名川や武庫川流域の中流域で見られるようになりました。

写真は夏の猪名川でみつけたアメリカツノウズムシです。

日本で最初に見つかったのは愛知県の水族館で2003年のこと。特徴は体表が茶褐色から黒褐色で細かい色素点があり、頭部は正三角形にちかく、耳葉は長くとがっています。

夏場水温が上がる中流域でもみられるので、今後見つかる範囲が増えてきそうです。

底生動物2回目

 

ナミウズムシ

通称プラナリア、上流から中流に生息 大きな石の裏で見つかる。

 

アミカのなかま

上流の流れが速い場所に生息。冬から春にかけてよく見られる。

 

ブユのなかま

上流の流れが速い場所で見られる。流れてくる藻類を食べる。

 

 

シマイシビル

おもに中流から下流に生息。丸く吸盤状の口があり、背中に縦状がある。


兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる底生動物(1)

2023-06-09 | 兵庫の自然

6月の風物詩のひとつに蛍。

兵庫県ではホタルの種類として、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類がいます。

ゲンジボタル(ホタル科)

体長 10~16mm

林縁を流れる細い流れのある所で見られます。

幼虫は水生で清流の流れの緩やかなところに住み、巻貝のカワニナを食べます。

成虫は、5月~6月に見られます。

メスは川岸の木や石に生えたコケの中に卵を産み、夏になると卵がかえり幼虫になります。

成長した幼虫は、雨の日の夜に川岸に上陸し、川岸のやわらかい土に潜り込んで周囲の泥を固めてマユを作り、その中でサナギになります。

成虫は2~3週間ほど生きますが、その間は水を飲むだけで餌は食べません。

オスもメスもお尻のところで光を出し、オスは川の上空を飛びながら、メスは川岸の草などにとまって発光します。

この発光している様子は、夜の8時頃、10時頃、12時頃によく見られるように思います。

日本固有種で、本州、四国、九州に分布しています。

西日本と東日本のゲンジボタルでチカチカと発光する間隔が違い、西日本の方が速いテンポで発光することが知られています。(「生きている加古川」より)

 

今回はホタルが幼虫の時期、そのほか兵庫県の河川でよく見られる底生生物を紹介する。

 

ゲンジボタル(幼虫)

上流から中流に生息。砂の中にもぐっていることが多い。

 

カワニナ

上流から中流に生息。流れが緩やかな場所に生息。

 

サカマキガイ

中流から下流に生息。岸際の水草や植物帯の中でよく見られる。

 

ミズムシ

中流から下流に生息。流れがよどんだ場所に多い。


兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(4)

2023-06-07 | 兵庫の自然

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(4)

 

兵庫県からすこし離れるが山口県岩国みやげの人形石をご存じだろうか。

「人形石」とはニンギョウトビケラの作る筒状の巣のことで、その巣が人の形に似ていることから人形石とよばれます。ニンギョウトビケラは幼虫のとき口から出す糸で砂や石を結び付けて巣をつくるのです。

土産物になったのは古く江戸時代末期、吉川家の家臣山田府生が記した『錦川志(きんせんし)』に「小水虫の砂を集め殻を作る者、その人形に肖るを以て、児女之を拾い玩となす。錦帯橋下に尤(もっとも)も多し」(1826年)とあります。人形石は昭和時代初期ごろまで観光客向けに販売されて人気があったとか。

岩国石人形資料館ではいまでも土産として販売されています。

http://www.sky.icn-tv.ne.jp/~tobikera/about.html

このニンギョウトビケラ、兵庫県の川でも普通にみることができます。あるひとは、人形石も七福神に似た石を集めるのを楽しみされた方もあるとか。興味のある人はやってみては

さて今日は4回目

 

ニンギョウトビケラ

上流から中流に生息。流れが緩い石の上に砂粒で巣をつくり、藻類を食べる。

 

 

コカクツツトビケラ

上流部の流れが緩い場所や落葉が堆積した場所に生息する。落葉を餌と巣に利用。

 

コバントビケラ

上流から中流の流れが緩い場所に生息。落葉で巣をつくる。

 

ムナグロナガレトビケラ

上流部の瀬に分布する。肉食性

 

ヒラタドロムシ

主に中流に生息 大きな石の裏に付着している。甲虫のなかま

 

アオヒゲナガトビケラの1種

上流から中流の流れが遅い水草帯に生息。枝や草を使って巣をつくる。


兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(3)

2023-06-06 | 兵庫の自然

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(3)

昨今の雨の量は降りだすと半端じゃないことが多くなった。先日の雨でも近畿の河川での被害のニュースが届く。これからの季節、川の観察や川遊びはとても楽しい時期。でも、増水すると川はとても危険な場所になり、過去にも六甲山系の河川で親子が事故にあっている。川での活動は天気や川の様子に注意が必要だ。

へビトンポ

上流で流れの速い瀬に生息。体側のヒモ 伏突起とその付け根の房伏のエラが特徴。

 

ウルマーシマトピケラ

上流から中流の流れが遅い場所に生息。単眼が2つあるのが特徴。

 

コガタシマトビケラ

中流の瀬に生息。ウルマーシマトビケラに比べて細い。詳細は顕微鏡での観察が必要。

 

オオシマトピケラ

中流の瀬に生息。頭部の前面部に平らなところがある。

 

アカマダラカゲロウ

主に中流に分市する。 中央に3本の縦線が あるのが特徴。尾は3本

 

グマガトピケラ

中流部の流れが緩い場所に生息。 石粒で出来た筒をもつ


兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(1)

2023-06-04 | 兵庫の自然

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(1)

川の生き物といえばいろいろな魚をイメージしますが、そのほかいろいろな生物がすんでいます。

それらをまとめて水生生物をいいます。

川の流れをしらべるための水生昆虫が注目されますが、それ以外にもたくさんの種類がいます。

兵庫県の川でよくみられる水生昆虫を紹介します。

フタツメカワゲラ

上流から中流の流れ が遅い場所に生息。 単眼が2つあるのが特徴

 

オオヤマカワゲラ

上流部の瀬に生息。 頭の模様で識別。

 

ハグロトンポ

比較的広い範囲に分布。岸の抽水植物帯に生息する。

 

コオニヤンマ

比較的広い範囲に分布。流れの遅い場所に多い。触角の形が特徴で、よく似た種でヒモ状のものはコヤマトンポ。

 

オジロサナエ

上流域に生息。砂地を好む。触角の形がしゃもじ型

 

ヒガナガカワトピケラ

上流から中流の瀬に生息。 胸部キチン板は1コ。頭部が細長い


兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(2)

2023-06-04 | 兵庫の自然

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(2)

 

兵庫県の川でよくみられる水生昆虫を紹介のつづきです。

シロタニタニガワカゲロウ

上〜中流に分布。岸より の緩やかな場所に生息。 身体は扁平で、尾は3本。

 

エルモンヒラタカゲロウ

上流部の瀬に生息。身体は扁平で、尾は2本。エラに赤い斑点あり。

 

チラカゲロウ

主に上流から中流に分布する。非常に俊 敏に泳ぐ。尾は3本 で長い毛がある

 

キイロカワカゲロウ

主に中流に分布する。 砂地を好む。口の大あごが特徴。

 

フタスジモンカゲロウ

主に上流の砂底に分布する。腹部のフサフサ のエラがあり、黒い模 様で判別する

 

コカゲロウの仲間

上流から中流に分布する。非常に俊敏に泳ぐ。尾は3本。卵形のエラがある。


ハナウド

2023-05-31 | 兵庫の自然

ハナウド(セリ科)

 

5月中旬武庫川の中流の土手でよく目立つのがこの花です。

 

草の背丈が大きく、クズのツルがのびるなかで、高さは1~2メートルもあるでしょうか。

茎は太いですが、管のようになっています。花をよく見ると花のつく枝が放射状(ほうしゃじょう)に広がり、傘(かさ)を広げたようになっています。傘の先から、さらに放射状の枝(花柄)が広がって、花はその先に付きます。花は大型の複散形花序で白い小さな5弁花をいっぱいつけます。

特に外側の花は内側の花よりも大きく、特に外側の花弁は大きくて2つに切れ込んでいます。

兵庫県では、川の中流のひらけた川の土手で見られます。(「生きている加古川」当会の本で紹介)

全国的には関東より西、四国九州の山野に自生します。

 

名前の由来は若芽を食用にするウド(ウコギ科)に似ていることと、花が大きく美しいので、ハナウドの名前となりました。

ハナウドも山菜として中国地方では食べられています。春の若芽を「うど奈」という名でスーパーにならびます。食べ方は、ごま和えやおひたし、酢味噌和え、天ぷらなどがあり、和え物はほうれん草などと混ぜて食べるよおいしいとか。

 

根は生薬の「牛尾独活(ぎゅうびどっかつ)」で、鎮痛作用がありリウマチ、頭痛などに使用されます。

ちなみにハナウド属の学名はHeracleum。「ヘラクレスの万能薬Panakes herakleion」によります。

昔から薬効のある植物として認識されていたようです。


津門川 地域住民が守る都市河川

2023-05-28 | 兵庫の自然

津門川 地域住民が守る都市河川

兵庫県西宮市をながれる津門川。市の中央部を北から南に流れる二級河川である。長さは3,455m。

この河川の大部分は、コンクリート三面張りである。津門川の主な水源は、武庫川から引き込まれた導水と山陽新幹線六甲トンネルの湧水である。

コンクリート三面張り構造であるため、水辺の植物は少ない。

しかし、阪急神戸線から山手幹線までは両岸が石垣でその隙間や水際にはかなりの種類の植物が生育している。

 5月下旬に花が咲いている植物を紹介する。半分以上帰化植物だった。