野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

牧野富太郎と兵庫県の花

2023-03-12 | 兵庫の自然

牧野富太郎と兵庫県の花 ノジギク 

日本の植物分類学の父といわれる牧野富太郎博士が、朝のNHK連続テレビ小説の主人公のモデルになって今年の4月放送されという。牧野富太郎と兵庫県の花ノジギクの関係について紹介する。

晩秋、一年の遅くまで花を咲かせる菊の花がノジギク。

ノジギクの分布は、豊後水道に面した四国西岸(高知県、愛媛県)と九州東岸(大分県、宮崎県、鹿児島県)を中心とし、一部は瀬戸内海に面した地域(山口県、広島県)にも生育し、その東限は兵庫県(姫路市等、淡路島)となっています。

かつては、 塩田の間を縦横に走る水路(澪みお)の土手に、枝いっぱいに咲き乱れていました。また、八家•的形•大塩の山々には、真っ白に見えるほど 群生していました。しかし、今では開発が進み、少なくなってしまいました。県レッドデータブックはCランク(準絶滅危惧)に指定しています。

 

兵庫県の花になったのは

昭和29年(1954年)、NHKなどが全国各都道府県を代表する花を募集したとき、ノジギクが兵庫県の鄕土の花として選ばれました。それ以後、「県花」として広く県民に親しまれるようになりました。

 

 

牧野博士が命名

ノジギクは、明治17年(1884年)11月に、日本植物分類学の父といわれている牧野富太郎博士が、郷土の高知県吾川郡吾川村川口の仁淀川沿いの路傍で発見し、命名したものです。

ノジギクは海岸からせいぜい4km〜5kmまでの所にしか生息しないとされていますが、発見された

場所は、海岸から30kmも奥に入った山あいの地です。その謎はまだ明らかにされていません。

ノジギクの分布は先に述べましたが、香川県や岡山県では見つかっていません。豊後水道に面した地域と兵庫県に生育するノジギクにはギャップがあり、兵庫県のノジギクが豊後水道に面した地域に生育するノジギクと起源を同じであるとはよくわかっていません。


春の使者ミヤマセセリ

2023-03-09 | 兵庫の自然

春の使者ミヤマセセリ(セセリチョウ科)

里山での作業しているときに、今日(3月8日)、ミヤマセセリを見つけた。

春の使者です。ミヤマセセリは、写真のようにはねを水平に広げて止まることが多いようです。

ムラサキシジミやテングチョウなどは成虫で越冬する蝶ですが、ミヤマセセリは幼虫で越冬し、春早く蛹になって羽化します。

スミレの蜜をすうミヤマセセリ

幼虫はコナラ、クヌギ、カシワ、ミズナラなどのブナ科の葉を食べて育ちます。

ミヤマセセリの卵は新芽の付け根あたりに産み付けられ、やがて孵化し、柔らかい新葉を食べ育ちます。ゆっくり成長し、夏になっても食べ続け、晩秋にやっと成熟し、木を降りて落ち葉中で冬を過ごすことになります。


武庫川源流の常緑のシダ植物

2023-03-06 | 兵庫の自然

武庫川源流部

武庫川源流を上ると愛宕山(標高400m)にでます。

愛宕山はツガ、モミ、サカキ、ヒサカキ、ヤブツバキ、ミヤマシキミ、ユズリハ、ウラジロガシ、アオキなどの林になっています。源流部にある龍蔵寺付近はスギやヒノキの植林地になっています。北向きに斜面があり、丹波帯の地層で泥岩や砂岩でできた地層が広がっている場所です。

 

カミガモシダ(チャセンシダ科)

京都府では準絶滅危惧種にしてされている。園芸用に乱獲されることから種の存続への圧迫が強まっている。本州(中部)以西に分布するシダ。林床や岩上などに生育する常緑性の小型多年草。葉の羽片はやや深裂する。

 

コウヤコケシノブ(コケシノブ科)

コケのサイズのシノブということで名がついた。青森県以南の本州、四国、九州、琉球列島に分布する。

細いけれども地下茎をもっており、高い樹幹や岩上に群生する。

 

シシラン(シシラン科)

ランとついているがシダ植物。林内の湿った場所でみられる常緑性シダ。関東から琉球列島まで分布するが、日本海側には少ない。葉表に一本の溝がある。根茎は短く、這い、群生する。大株の葉が茂る様子を獅子のたてがみに例えて名がついた。

チャセンシダ(チャセンシダ科)

常緑シダ植物。北海道(西南部)~九州まで広く分布している。岩の割れ目、石垣などに生える。新芽の頃に細い茎が立ち上がる様子が茶せん(茶筅)に似ていることから名前が付きました。葉の落ち枯れた中軸が多数ついている状態を見立てたという説もあります。

ノキシノブ(ウラボシ科)

常緑シダ植物。北海道南部以南の各地。樹の樹皮や崖、傾斜が急な場所の地表などに生える。

家の軒先に生育し、土が無くても堪え忍ぶという意味で名前が付いた。葉には短い葉柄があり、細い根茎から密生して出ている。

リョウメンシダ(オシダ科)

常緑シダ植物。北海道~九州の湿った山地でよく見られるシダ植物です。表と裏が同じように見えるので、これが名のついた由来。葉の先の方には胞子嚢がつかないので両面がにています。


自然豊かな揖保川源流部

2023-03-05 | 兵庫の自然

生きている揖保川 源流探検(1)

揖保川の源流は、中国山脈に連なる藤無山(標高1,139m)。

揖保川流域面積は、約810K㎡。

源流部の調査は2000年4月22日におこない、それらの結果を「生きている揖保川」にも反映している。。

今回はその調査の画像から動植物を紹介します。

2000年4月22日 源流調査

藤無山に向かって川沿いをすすむ。川幅が細くなり、湿地がみられた。

源流付近では、ザゼンソウの花がしていた。多くの花は終了し、葉が出ている。

動き始めたアオダイショウ。セツブンソウやカタクリの花が斜面に咲いている。

木立の間に見られたのはミツマタ。エイレンソウの花が終わりかけていた。

その他、ワサビ、アオイスミレ、オオタチツボスミレ、タチツボスミレ、エビネ、コスミレ、コブシ、ネコノメソウ、チャルメルソウ、ハクサンハタザオ、ホソバコケシノブ、ミヤマカタバミ、ホテイシダ、オシャクジデンダ、ヤマルリソウなどがみられた。

中流にくだると、セイヨウカラシナの黄色い花とヤマザクラの花のコントラストが美しい。


さわらびは、その滝のどこにある、ワラビ

2023-02-28 | 兵庫の自然

ワラビ

「石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも」

先日野鳥観察でいった平磯公園にあった石碑にあった歌です。

万葉集巻八の冒頭を飾る、志貴皇子(しきのみこ)が詠んだ歌です。

この歌は、小学校の教科書にも載っています。小学校では鑑賞するのに、教師からつぎのような問がでます。

「作者はどこからこの情景を見ているのでしょう。 滝の上、真ん中、下から見上げている場所から」

「教科書の解説文には「滝」と載っているけれど、どんな滝だとおもいますか。」

「さわらびは、その滝のどこにあるのでしょう」

「植物の萌え出ずる春の到来を歓んで詠んだ歌」を感じ取ればいいと思うのですが、視覚的に理解を深めるのが小学校の勉強なのでしょうか。

植物学者はまた別の視点でこの歌を見ます。「さわらび」です。

滝のある場所には、ワラビは生えないだろう。この歌の「さわらび」とは、「ゼンマイそれもおそらく渓流沿いによく生えるヤシャゼンマイ」(木下武司.2010.万葉植物文化誌.八坂書房.p.617)

落ち着くところは「ワラビ」の名が古くからシダ植物全般を指す和名で、なんらかのシダ植物が生えていたということに。

 今回は ワラビ コバノイシカグマ科ワラビ属

世界各地に分布している。日本では北海道〜九州の丘陵地の草原や道ばたに生える夏緑性のシダ。日本に分布するものは北米に分布する亜種 subsp. Japonicum。(海老原淳 著.2016.日本産シダ植物標準図鑑Ⅰ.学研.p.367)。

 和名についても諸説。新芽の様子が「子供の手」に例えた「童手(わらべで)」、「童手振り(わらべてふり)」が変化して「わらび」がなんとなくしっくりします。

ワラビはシダ植物では進化した部類になるのは、シダ植物の進化「二環網状中心柱」で述べた。

ワラビは、平均温度が 10℃以上になると萌芽しはじめます。不定芽は前年の秋にすでに形成されているので、地温(10~15 センチの深さの温度)10℃になると伸びはじめ、15℃以上になると急にのびはじめます。

ワラビは、肉質のやわらかいもの、堅いものがありますが、それは生育地の環境が左右するそうです。

ワラビは、乾燥を極端に嫌う性質があり、適度の土壤水分と空中湿度と、土地が柔らかいところだと柔らかいワラビがとれるとのこと。日当たりのよい乾燥地のワラビは固い理由はそこにあります。

 

たくさん取れたらどうします。

干しワラビ。アク抜きをしたワラビを広げて日にあて、カラカラになるまで干して保存。

ワラビの塩づけ。ワラビは、塩づけにするとアクが抜けるので、わざわざアク抜きをする必要はない。

ワラビの粕づけ。塩づけのワラビを塩抜きにして使う。

 

今週は暖かい日がつづきます。ワラビの活動が始まります。


公園で観察 地衣類

2023-02-27 | 兵庫の自然

「酸性」「アルカリ性」の実験で使ったリトマス試験紙。

「リトマス試験紙に「リトマスゴケ」という、苔の一種から取り出した特殊な成分染み込ませてつくってあります。」

と学校で習ったとおもいます。

リトマスゴケと聞いて、どんな苔かと調べた子どもは、たぶんいないと思います。緑色の道やカベ

に生えているやつかなと想像できればまだ優れた方でしょう。

 

街なかの地衣類ハンドブック(大村嘉人著:文一総合出版;2016年)を見ると、リトマスゴケは日本にはありませんと書いてありました。そして、いま使っているものは化学的に合成してつくられているとか。そして、何よりも大事なのは苔ではなくて地衣類であることです。(小学生はコケとつけば苔とおもうのはあたりまえですよね。)

 

地衣類については中学で学びます。

地衣類は道路脇の塀や街路樹の幹など街中でも普通に見ることができます。

コケと違うのは菌類と藻類が互いに作用して、バランスを保つことで生命を維持している共生生物ということです。(もっとむつかしい言い方で相利共生、片利共生、寄生という言葉を習ったと思いますが・・・)

藻類とは、酸素を発生させる光合成を行う生物のうち、コケ植物、シダ植物、種子植物を除いた生物のことを指します。

日本だけで約1,800種というからかなり多様です。

どんなマイナー環境にいる生物なのに実験室で育てることがむつかしいといいます。

菌類と藻類が共生するときの光、温度、湿度などの環境因子が複雑に関係するので、実験室では野外で見られるような共生している状態にして培養することが大変むつかしいそうです。

「正確に同定するためには呈色反応で調べる必要がある」など地衣類を調べるのには、素人にはむつかしい。だから、教科書には地衣類の代表はウメノキゴケが、掲載されている。

 

ところが、近くの公園へ「街なかの地衣類ハンドブック」をもって地衣類を探してみた。

ウメノキゴケだけじゃく、1本の木にも地衣類が数種類あることがわかったが、

60種類/1800種類では同定するのはむつかしい。

 

『街なかの地衣類ハンドブック』

出版社 ‏ : ‎ 文一総合出版 (2020/6/10)

発売日 ‏ : ‎ 2020/6/10

ISBN-10 ‏ : ‎ 4829981555

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4829981559

身近な「地衣類」約60種がわかるフィールド図鑑

『里山の地衣類ハンドブック』が、里山(海岸~低山地の市街地を除く)で見られる地衣類(菌類と藻類の共生体)156種なので、あわせるとわかりやすいかも。


アセビ 春先に咲くツツジの花

2023-02-24 | 兵庫の自然

アセビ

2月中旬、雪の降る日。すでにアセビの花が咲き始めていました。

アセビはツツジの仲間です。一年で一番最初に咲く花です。

漢字で書くと「馬酔木」、葉っぱを食べた馬が中毒してしまうことからこのように名付けられたそうです。

厚生労働省のサイトの「自然毒のリスクプロファイル」を見ると、「ツツジ科の植物には毒をもつものが多く、蜜にも毒性成分があることがあり、注意が必要」とあり、アセビ、ネジキ等のツツジ科の植物に含まれる植物毒はグラヤノトキシンとのことがわかります。

毒があるのはシカが食べないところからもわかります。奈良公園では有名な話です。

但馬の山では、春先アセビの花がめだってきたといいます。シカが増えすぎ、食べ残したのがアセビ。目立つようになったといいます。

アセビの毒を昔の人は害虫防除に利用しました。

慶長 5 年(1600) に書かれた「家伝殺虫散」に残されており、葉や茎を煎じて毒成分を抽出し、アセビ以外4 種類の成分を混合したもので害虫駆除しまた。

但馬地方では放牧地で草を食んでいる牛のダニ退治に使われました。乳器や外陰部など皮膚の薄い部分にダニが付着すれば、病気になるので、この液を使ったといいます。また昔のくみ取り式のトイレでは、ウジ虫を殺すのに使われました。

人間以外にもこの毒を利用するのがヒョウモンエダシャクです。この蛾は、アセビ、ハナヒリノキ、レンゲツツジなどのツツジ科の有毒植物を食草にして体に毒を蓄積します。毒は成虫になっても残ります。鳥はこの蛾を見ても食べません。毒があることを知っているのです。

ツツジのなかまですので、花びらがくっついて出来ている合弁花です。おしべは全部で10本あります。葯は5個ずつ上下2段になっていて、それぞれの葯の背面に2本ずつ棘状突起というのがあります。

アセビの花はつぼ型で下を向いて咲くため、マルハナバチのような小さな昆虫が受粉させることができます。花が下むきなので、花粉は葯(花粉袋)から出ると下へ落ちてしまいます。棘状突起があるのは、2本の棘に昆虫が触れた時だけに花粉が出るようになっており、蜜は花の一番奥なので、このレバーをおさないと蜜にたどりつけないのです。昆虫が触れると葯から花粉がこぼれて受粉することができます。

 

ツツジの仲間は,花弁が合着していますので双子葉植物の中では進化した植物として考えられています。最近のAPG系統分類体系では,ツツジの仲間にギンリョウソウやイチヤクソウまで入りました。


ブナ林の林床のシダ植物

2023-02-20 | 兵庫の自然

ブナ林で有名なのは白神山地のブナです。

兵庫県にもブナがあります。日本海側に氷ノ山のブナと、太平洋側では六甲山や妙見山山頂付近で見られます。

ブナは恐竜が絶滅した6500万年のあと新生代第三紀に誕生したといわれている。第三紀は地球全体が温暖化しており平均気温が20度を超えていた。北極周辺にはセコイアやマツ、トウヒなどの針葉樹。南側にブナをはじめとしてカエデ、ミズナラ、カツラなどの落葉樹が生えていました。(周極第三紀植物群)

第四紀になり氷河期と間氷期を繰り返し起こるようになると、針葉樹が南下をはじめ、ブナの群落に入り込み、ブナの群落は分断されました。東アシア、ヨーロッパ、北アメリカの東部に群落は残り、それぞれの地域で生き残り、進化をとげました。

 日本のブナ林にはブナ林でよくみられるシダ植物があり、オシダ(オシダ科)・ミヤマイタチシダ(オシダ科)・シノブカグマ(オシダ科)・ミヤマベニシダ(オシダ科)など、4種類以上のシダ植物があります。

 シダ植物も、気候の変動に合わせて進化してきました。この4種類は、ブナと同じように氷河期の生き残り植物です。兵庫県篠山の多紀アルプス小金岳には、オシダ、ミヤマイタチシダ、シノブカグマの3種類のシダが、頂上直下付近に生息しています。

 

 しかし、小金岳は、標高が少し低く、ブナの木はありません。最小限の気候条件で生き長らえています。地球の温暖化はなんとしても防がないと、次の子どもたちにこの豊かな自然を渡せなくなるのではないかと危惧(きぐ)しています。

 

オシダ(オシダ科)・

夏緑性のやや大型のシダ植物。ブナ林域の谷筋の崩積土の集積する場所などに生育する。

ミヤマイタチシダ(オシダ科)・

少し標高の高い場所に自生しており冷涼な場所を好むシダ。これは葉脈が凹んでいるから表面の葉脈がよく見える。

シノブカグマ(オシダ科)・

常緑性。山地の陰湿な林床で見られる。

ミヤマベニシダ(オシダ科)

日陰のやや湿った林床や林縁に生育する夏緑性シダ。


シダ植物の進化

2023-02-20 | 兵庫の自然

小学校で植物のつくり「根・茎・葉」を学びます。その後、中学1年でコケ・シダについて学びます。

シダの根・茎・葉はどれと先生に聞かれて答えるとたいてい間違ってしまいます。

植物の学習のむつかしいところです。(見えているところは「葉」で茎は地面の下)

シダは種子をつくらず胞子でと、顕微鏡でみせてもらうと小ささがわかるけど、教科書だけで学ぶと、テスト対策で胞子ということばさえおぼえればOK。でも、自然の不思議なしくみ「胞子」のイメージがつかめるだろうか。

野外の観察でもシダ植物は見分けにくい植物です。花がなくて地味な存在です。

今回は シダ植物の進化の話です。

陸上植物の化石は、古生代オルドビス紀前期(約4億7000万年前)のゼニゴケの仲間の化石です。(胞子の化石が見つかっています。)

陸上にはコケ植物の世界でした。その後、植物は乾燥にも耐えるように進化します。シダ植物の誕生です。リンボクの仲間(シダ植物ヒカゲノカズラ綱)が多く生えていました。このシダが地面に埋まって石炭になります。古生代デボン紀中期(約3億8500万年前)になって、種子植物が出てきます。

コケ植物についで進化したシダ植物ですが、進化したのは、根・茎・葉の分化がみられることです。

また、成長して背が大きくなるために、管状中心柱という、維管束(師管や道管などの集まり)を持ちました。

 シダ植物の茎をうすく輪切りにして顕微鏡で、維管束をみることができます。

 もっとも原始的な中心柱はウラジロの中心柱です。中心柱はただ一本の維管束からできています。

(原生中心柱)カニクサなどにもみられます。

 次に進化したのがハコネシダの中心柱です。中心に髄があり、そのまわりに管状の維管束があります。(管状中心柱)イワヒメワラビ・フモトシダ・クジャクシダなどでみられます。

 次に進化したと考えられるのは、リョウメンシダです。リョウメンシダの茎は環状に並んだいくつかの維管束からできています。(一環網状中心柱)。ワラビは網状中心柱が同心円状に二重になっています。(二環網状中心柱)

進化は単純から複雑に移行すると考えると、シダ植物進化は、中心柱は原始的な原生中心柱から管状中心へ、管状中心柱から網状中心柱へ進化したと考えられています。

地面の下から茎を見つけて比較すると進化のレベルがわかります。


マガモとアヒル

2023-02-18 | 兵庫の自然

風呂に浮かべて楽しむアヒルのおもちゃ「ラバー・ダック(RubberDuckゴムのあひる)」

19世紀の後半ごろからヨーロッパでつくられたゴムの玩具。黄色いアヒルですが、ひなを模したのでしょう。アヒルですが、北京ダックなどの料理が有名。もとはマガモを飼いならしていたものだそうです。

アヒルの語源ですが江戸時代「和漢三才絵図」(1713年)のなかに、「足がひろい」ので「あひろ」との記述。「あひろ」から「アヒル」に変化したというのが有力です。

中国で飼われているアヒルというイメージが強いですが、中国北部で3000年前に始まっていたといい、。ヨーロッパでも2000年前には飼い始めたそうです。

日本では本格的に飼い始めたのはアメリカから入ってきたペキンアヒルを明治以降ですが、記録には平安時代には飼っていたようで、豊臣秀吉が水田で放し飼いを命じたという記録があります。

日本ではその後にわとりが主流となり、アヒルがたくさん飼われていたのは昭和初期ごろまでです。

 

冬は野鳥観察には良い季節。兵庫県の武庫川流域では伊丹市の昆陽池、西宮市の甲子園浜、三田市の福島大池などでたくさんの種類のカモを観察することができます。

 上の二つの写真を見比べてください。左がアヒルで右がマガモです。アヒルは一年中そこにいますが、マガモは渡り鳥で冬にしかきません。アヒルとマガモの写真を比べると違いがはっきりとわかります。しかし、慣れていないと、アヒルだけを見て、マガモと勘違い(かんちがい)してしまうことがあるので注意しましょう。だいたいアヒルの方がマガモより少し大きめです。また羽の色合いがマガモはとても美しいですね。