野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

里地里山の1年 6月下旬の里山

2023-06-30 | 里地里山の1年

里地里山の1年 6月下旬の里山

 

1年の半分がもうすぐ終わる。

7月の里山作業の前に、皆さんが集合打ち合わせができるように草刈りを実施。

ワレモコウなどの貴重な種もあるが、この時期ササと一緒にかっても秋には花がみられる。

シライトソウも、刈り込みを高くして、来年も咲くように残してかる。

短く刈り込みすぎると、どんどん数を減らしてしまった。

今年は雨が多いので特に草の伸びがはやい。夏の暑い時期までに2回目の草刈りは何年ぶりだろう。

 

おそらく、今年最後のササユリが1輪。里地里山でことしはササユリの数が増えた感じ。

6月の下旬にさく花はオカトラノオとホタルブクロ、休耕田の隅にはカキツバタが咲いていた。


里地里山の1年 6月中旬の里山

2023-06-15 | 里地里山の1年

里地里山の1年 6月中旬の里山

 

今年の6月、梅雨らしい天気が続く。

せっかくかったササもまたのびはじめた。

シライトソウやヤマボウシ、ソヨゴの花もおわりかけ。

シライトソウも科がユリ科からシュロソウ科に

ソヨゴは里山では高木の常緑樹。この里山では多く見られる。

里山の縁には、スイカズラの花が咲いていた。

 

クリの花やナツハゼの花が咲き始めた。

 

池の周りでは、モウセンゴケやカキランのつぼみがみられ、7月には花が見られる。


里地里山の1年 6月上旬の里山  生態系のシンボルーササユリ

2023-06-08 | 里地里山の1年

里地里山の1年 6月上旬の里山

 

ササが優勢な里山です。5月上旬はそれほど背丈があるわけでなく、ほっておきましたが、一雨ごとに背がのびます。6月に入るころには30cm以上にのびていました。

そのなかにササユリが花をつけています。葉はササユリの名のように、ササとよく似た葉をしています。ササを刈るときに気を付けます。

里山にあるため池の周りには、シュレーゲルアオガエルの卵があったり、池の中ではすでにヒキガエルのオタマジャクシはいなくなっています。

池のヒルムシロやヒツジグサの葉の上にはイトトンボのなかまが盛んにとびまわっています。池のまわりには、カキランがおおきくなっています。


里地里山の1年 6月上旬の里地 野菜の花は美しい?!

2023-06-02 | 里地里山の1年

里地里山の1年 6月上旬の里地 野菜の花は美しい?!

 

台風の影響で雨が降り続く。

田植えの方が終わった田に降り続く雨で水があふれるとたいへんなので、水の様子を見に行く農家の方も多い。

畑には植えていたジャガイモがイノシシに荒らされて、半分以上食べられた。

とであった農家の人に聞いた。

畑にはジャガイモのように収穫まじかのものも植えてあるが、種を取るために植えてあるものもある。

今回は野菜の花の紹介。

ネギ

ネギの花は筒状の茎のてっぺんにかたまって咲きます。これがネギ坊主

ネギは筒状の葉を食べるのだが、見える表の部分は葉の表、それとも裏どちらかわかりますか。

 

キクナ

キクナ 春菊のこと。地中海沿岸地域のキク科植物で、鍋料理によく利用される緑黄色野菜。まさに菊の花

ジャガイモ

南米原産のジャガイモ、ヨーロッパに入ってきたときは食べないでこの花を観賞するためだとか。食べるようになったのはずっとあとで男爵イモとよばる品種は、北海道で男爵が普及させたのが名前の由来

 

パセリ

和名は オランダゼリ。大変小さい花がつきます。和名のとおり18世紀にオランダからはいってきました。食事の添え物で食べる人は少ないですが、ハーブで口臭を抑える効果があります。

 

カボチャ

雄花と雌花があり画像は雌花。

実は発生段階では両性花で、成長途上で雄しべ(雄花)になったり、雌しべ(雌花)になったりする。


里地里山の1年 5月下旬里地 田植えのころ

2023-05-30 | 里地里山の1年

里地里山の1年 5月下旬里地 田植えのころ

田植えが終わる。田の周りは田植えの前に草刈りをして、作業がやりやすくするため、また害虫などの発生をおさえる。

草刈りは草刈り機で行うが1枚の田んぼの広さが約1反(農家の人はm2の単位でなく、この単位がしっくりいくらしい。300坪、990m2となる。谷筋に広がる田なので、平野部のような広い田の面積はとれない。)畦の長さは30m×4=120mの草刈りとなるので、鎌でかっていた昔の人の作業の力はすごいなと思う。1枚の田んぼの草刈りが45分ほどで、みんなで7枚の田の畔の草刈りとなる。

昔は家族みんなでおこなうという意味がよくわかる。田植えの時は学校も休んでいいという昭和の中頃までそんな時代があったそうな。

 

田植えも機械で、1枚あたり1時間ですむので、7枚の田植えも2日で終了。

 

田の周りは、草を刈ったところもすぐにはえてくる。ひと雨降ればイネ科の植物など30CMぐらいは平気で成長するのでおどろきだ。

 

5月29日近畿は梅雨入りにはいり、農家は草との戦いになる。

 

5月下旬にであった田植えのころの田のまわりの植物を紹介する。

ウシハコベ(ナデシコ科)

中心から放射状に白い糸の花柱が5本あります。ミドリハコベやコハコベなど、 ナデシコ科ハコベ属の植物のほとんどが、3本なのでみわけがつきます。花びらは5枚、10枚のように見えますが根本でくっついています。

 

キツネノボタン(キンポウゲ科)

「キツネ」は似ても劣る意味があり、ボタンの花にくらべ貧弱なところから名前がつきました。毒があるのでたべることはできません。

 

コナスビ(サクラソウ科)

地を這う小型種であることから草刈り機でも生き残ることができる。花びらのように見えるが、先のとがった5裂する萼(ガク)に包まれてできる果実が,なすびの形に似ているのでこの名がついた。

シロツメクサ(マメ科)

「4つ葉のクローバー」が見つかるとラッキーな植物です。本来は3 枚 1組が1つの葉です。

4つ葉のできやすい株が園芸用に栽培されており、中には5つ葉など4枚以上にができるそうだ。

ニガナ(キク科)

茎や葉を傷つけると出る白い汁が苦いので、この名がついた。ニガナの花(舌状花)の数は5個のがよくみられるが、写真は6個。場所によっていろいろなので注意して観察したい。

ミツバツチグリ(バラ科)

関西より西でみかけるツチグリの根は食べることができるが、ミツバツチグリのは食べることができません。ツチグリの根を焼いて食べると栗のあじがするそうです。葉の形が三つ葉状で、葉柄の基部にある托葉に数個の切り込みがるところで見分けます。

ノビル(ヒガンバナ科)

ネギのようなニンニクのような。写真の上部にある膨らんだ白い部分(種球)を細かく刻んでみそに入れてネギみそにして食べるとうまい。地面の下にはラッキョウのような鱗茎がありこれも食べることができる。花がさかないでむかごできることもある。

ハルノノゲシ(キク科)

とげのあるぎざぎざの葉、ちぎると白い乳液がでる。とげに触ってもいたくはないが、中にはいたいものがある。それはオニノゲシ。この葉葉がケシの葉に似ていることで名がついた。「ハル」とついていますが1年をとおしてみられる。

 


里地里山の1年 5月下旬里山 白い花が咲き始めた

2023-05-22 | 里地里山の1年

里地里山の1年 5月下旬里山 白い花が咲き始めた

 

ノイバラ、ウヅキが咲き始めると白い花の目立つ季節になる。

遠くからでも、緑の中に白色が目立つ。

虫たちが盛んにそれらの花に集まってくる。

5月下旬 里山でめだつ白い花を紹介する

ノイバラ (バラ科)

落葉低木。花期は5から6月。里山の縁でよく見かける。枝先に集まる白い花はあまい強い香りを出す。

江戸時代の終わりヨーロッパに渡りバラの品種改良に役立ったそうだ。秋にできる赤い実は漢方薬に使われている。

 

カマツカ( バラ科)

落葉高木。花期は5から6月。柄のある花がたくさんつくので、よく目立つ。材が堅いので、鎌の柄に使われたことからカマツカと名がついた。別名の「牛殺し」とも呼ばれ、この材で牛の鼻木を作ったためとする説などいろいろある。秋には赤い実がつく。

 

エゴノキ (エゴノキ科)

落葉高木。花期は5から6月。公園などでも植えられてみることがある。花は下向きに垂れ下がり、地面に散ったたくさんの花をみてここにエゴノキがあることに気づく。果実には果皮に含まれているエゴサポニンがありこれは毒。しかし、水入れてつぶすと泡が出るのでせっけんのかわりにつかわれていたとか。

 

ヤマボウシ(ミズキ科)

落葉高木。花期は5から6月。公園や街路樹などで植えられている。里山でもこのころ白花が目立つ。4枚の白く花びらのように見えるのは、苞といい、つぼみを包んでいたもの。秋の実は食べることができる。

 


里地里山の1年 5月中旬の里山

2023-05-13 | 里地里山の1年

ウツギの花のなかまの紹介

「卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて・・・・」(作詞:佐佐木信綱、作曲:小山作之助)は『夏は来ぬ』の歌詞の一部です。

「卯の花」とは卯月の語源となった「ウツギ(ウノハナ)」のことです。

平安時代、初夏のころにさく花を詠んだ和歌に「神まつる卯月に咲ける卯花は白くもきねがしらげたる哉(凡河内躬恒/おおしこうちのみつね)」とあり、語源の一つです。

ウツギは北海道南部から九州の山地に普通に見られる植物です。

ウツギは田植えのころに咲くので「タウエバナ」「ソートメ」(早乙女)とよぶ地域もあります。

これまでは、ユキノシタ科に分類されていましたが新分類体系のクロンキスト体系ではアジサイ科に分類されることになりました。

 

また、「空木」とも書くことがあります。枝の髄の部分が、中空になることから付いた名前です。

「○○ウツギ」と名が付くものは、スイカズラ科の植物にも多く付けられています。

 

私たちの活動する里山では、まずツクバネウツギ、タニウツギがさきだし、ウツギ、コガクウツギと咲いていきます。

里山で見られる「〇〇ウツギ」と名なつく植物の紹介です。

タニウツギ(スイカズラ科)

日本固有種で、本州以北の日本海側に生えます。日本海要素の植物です。しかし、兵庫県では県の南の方まで分布が広がっています。日本海側と太平洋側を分ける脊梁山脈は標高100m、氷上回廊と呼ばれます。標高の低い谷中分水界がタニウツギの分布を南方に広げる一つの要素になっているかもしれません。

ツクバネウツギ(スイカズラ科)

林縁部などに生えます。白い花の根元の蕚が、羽根つきの羽根のようなことから、名付けられています。花序は枝先にふつう2個の花をつけます。萼片は5枚です。その形が羽根突きの羽根ににているのでその名がつきました。

コツクバネウツギ(スイカズラ科)

林縁部などに生えます。白い花の根元の蕚片が2から3枚です。

コガクウツギ(アジサイ科)

関東南部から四国、九州に分布する。明るい丘陵や低山の斜面で見られます。春先にのびる枝に花芽が付く特性(新梢着花性)があります。白く大きい装飾花と淡黄緑色の両性花を付けます。花のよう見えるものは萼で、3枚と4枚がつきます。

ウツギ(アジサイ科)

林縁部などに生えます。花は白い5弁花で、雄しべは10本で半分は短くなっています。雌しべは3~4個の花柱があります。白い花の根元の蕚片は2枚です。


里地里山の1年 5月中旬の小川とその周辺

2023-05-11 | 里地里山の1年

里地里山の1年 5月中旬の小川とその周辺

 

ゴールデンウィークが終わり、今年の昼は夏の日差し。5月6日からは「立夏」。

里地では田んぼに水が入り、いよいよ田植えがはじまります。

あっという間に里山の緑色がそろってきました。

小川の周辺ではヤマツツジがモチツツジの花が目立つようになります。

ガマズミの白い花からタニウツギの薄いピンクの花に変わっていきます。

ウツギの花のつぼみが大ききくなってきました。

このころ、よく見ないと見逃す花が結構あります。

ツリバナやタカノツメの花がそうです。

小さなコウゾの花も咲いていました。

昆虫もクロアゲハやコチャバネセセリが花の蜜をもとめて飛び回っていました。


里地里山の1年 4月上旬③春の里山

2023-04-03 | 里地里山の1年

春の里山③

小川から春のたより

 

「春の小川は さらさら行くよ/岸のすみれや れんげの花に/すがたやさしく 色うつくしく/

咲けよ咲けよと ささやきながら」(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一)

 

春の小川といえばどちらの川をイメージされるだろうか。

 

最初の川は里山を流れる「小川」

川岸にはネコヤナギがあり、川の両側にはアセビやクロモジ、ヒサカキの花が見える。谷にのれんのようにぶらさがって咲いているのはキブシ。

もう一つは、4月上旬サクラ並木の武庫川上流部、藍本日出坂付近の川の様子

河原には、土手焼きのあとにあざやかな緑と黄色が目に付くノウルシ(花序の下部の苞葉は倒卵形で、あざやかな黄色を呈し、遠くから見ると花弁のように見える。兵庫県Bランク)があった。そして、歌のようにレンゲ、土手には、タチツボスミレやキランソウが、やや湿ったところにはムラサキサギゴケが

どちらのイメージがぴったりするのはもうおわかりだろう


里地里山の1年 4月上旬②ため池から

2023-04-02 | 里地里山の1年

春の里山②

ため池から春のたより

 

私たちの活動の場所に大小合わせて9枚のため池があります。田んぼで稲を作るのをやめてしまって、現代活用されているのはなし。土手の崩壊をさけるため、ほとんどの池の樋がこわされています。

私たちが里山作業をするまえは、日の当たらない暗い池がほとんどでした。

しかし、周りのササや低木を切り払い池に日の光をあてることによって、多くの植物や動物がもどってきました。

春に見られたため池での生き物たち。

2月下旬から池に来てたヒキガエルが生んだ卵がかえっておたまじゃくしがたくさんいました。池の周りでヒキガエルの親がないています。

来月になると、1cmほどになって陸に上がってきます。

他に水面にはメダカの群れが、

冬の間は泥の中で冬眠していたのが、春の光とともに泳ぎだしました。

植物ではショウジョウバカマ、ロゼット状に広がった葉の中心から茎を立てて、てっぺんに数個の花をつける。播磨地方で、白い花をみたが、シロバナショウジョウバカマというそうだ。

池の土手の周りにはこの時期、シハイスミレが点々と咲いている。葉の裏が赤紫色を帯びるので見分けやすい。

低木のコバノミツバツツジがクロモジの花がさいています。花の後に葉がでてきます。山全体にあとひと月もたつと緑におおわれます。