バットを振るたび、飛び散る汗が陽光で輝いた。巨人・橋本到外野手(26)は、2軍キャンプで鍛えている。「今年駄目なら終わりだというぐらいの覚悟でやります」。4月に27歳を迎える9年目。若手から中堅に差し掛かった。求められるのは結果だ。
球団は今オフ、“30億円補強”を敢行。キャンプイン前日の1月31日には、高橋監督が「ポジションが決まっているのは坂本くらいかなと思いますし、それ以外はいい選手を使っていきたい」とチーム内競争をあおった。巨人の外野は特に層が厚い。レギュラーの3枠を巡るアピール合戦も注目だ。
長年レギュラーを張る長野をはじめ、昨季チーム2位の24本塁打を放ったギャレット、橋本到と同じ俊足で左打者の立岡と重信、2軍キャンプスタートとなったものの実績のある亀井、松本もいる。さらに、日本ハムからフリーエージェント(FA)権を行使した陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)が加入。日本ハムからトレードで移籍した石川も評価が高い。内野手の脇谷、岡本も外野に挑戦するなど、ライバルを挙げればキリがない。
悲願の定位置奪取へ、今年は思い切って自分を変えた。昨年はパワーアップを狙い、オフの期間に体重を前年から約5キロ増の82キロまで増やした。しかしそれが原因となり、キャンプイン直前に右ふくらはぎを肉離れ。キャンプの大半をリハビリに費やした。シーズン成績は74試合、打率・233、2本塁打、20打点、7盗塁に終わり、「けががすべてだった」と悔やんだ。同じテツを踏まないため、体作りからやり直した。
1月に行った亀井、石川らとの宮崎合同自主トレでは、ジャンプトレーニングなど肉離れ予防のメニューを毎日こなし、走り込み中心で下半身を鍛えた。体重は75キロに絞り、顔つきもシャープになった。
さらに大きく変化したのは打撃フォームだ。1月の自主トレから、スイングする前におなかの前にグリップを持ってくる神主打法に挑戦中。広島・丸を参考にし、「大きくタイミングを取る特殊な形だけど、上半身と下半身を連動させられる。自分の中で一番いい、トップ(スイング始動)への入り方だと思った」と改造に踏み切った。今キャンプではフォーム固めがテーマの一つだ。
「開幕スタメンを狙っています。なんとか(1軍の)沖縄(2次)キャンプに行きたい」
1軍キャンプが休養日だった3日も、打撃練習を繰り返した。チームトップクラスの強肩と俊足を備えているだけに、打力向上をアピールできればレギュラーの座は一気に近づく。橋本到の大胆な変身は吉と出るか。※引用しました!