(21日、第105回全国高校野球選手権記念大会準決勝 神奈川・慶応2―0茨城・土浦日大)アルプス席が、慶応の1世紀ぶりの躍進を支えている。森林貴彦監督は「スタンドの大応援があってのうちの野球」と言い、先発したエースの小宅雅己(2年)は「今大会ナンバーワンの応援。マウンドに立ちたくなる」と話す。吹奏楽部員の鈴木拓己さん(3年)は、「野球部が『考える野球』なら、私たちは『考える応援』です」と胸を張る。鈴木さんはこの日、一~三回の攻撃で、応援曲を指示する「サイン出し」を務めた。慶応には、多くの高校でみられる選手ごとの決まった曲がない。鈴木さんによると、前曲の中盤に次の曲を決めるという。「沈んだ気持ちを盛り上げるのか、高ぶる気持ちを加速させるのか。試合展開に応じて、アルプスの気持ちが最も届く曲を考えます」この日は二回裏の先制後、「2死からの先制だが、次は好打者の丸田。追加点が期待できる」と、得点を狙う定番曲「突撃のテーマ」を選び、サインを送った。サインは各所に分散して配された応援メンバーに届き、アルプスが一体となって選手を鼓舞した。「考える応援」は球場の外でも続く。試合が終わると応援メンバーで集まり、試合の映像を見ながら、選曲が最適だったか意見を出し合うという。対戦相手の気持ちも考える。八回裏無死一塁、土浦日大は守備のタイムを取った。すると、発声が止まり、吹奏楽の音量は小さくなった。「相手が話し合っているときに騒ぐのは失礼。ただ、終盤に作った好機は生かしたい」という考えがあったと鈴木さんは解説する。配慮を保ちつつも高揚感を分断せず、タイム後の応援につなげた。「決勝までの試合で、私たちの応援も成長することができた。『KEIO日本一』に少しでも貢献したい」と、次戦での全力応援を誓った。※引用しました!