やめてくれ

「ボーダーコリーは難しいよ。」
なるほど、運動能力を高めるように改良されたということで、生後１１カ月体重１７Ｋｇながら、既に私の力では押さえ付けられない程の筋力を持っています。

ここは田舎の都市ですから、１時間も走れば、人っ子一人いない原っぱはそこいら中にあります。ボーダーの牧羊犬としての本能なのか躾けられたのか、見える範囲より遠くへ行かないし、こちらの動きを常に見ています。逃げる心配はなしと、リードを放して走らせるのですが、なぜか、警ドロになってしまいます。奴は警察犬、私はドロボー役。最近は噛み付かれているだけでは、人類の尊厳にかかわると、私は剣術の修行。柄の長いショベルを剣に、後ろへ回って攻め込もうとする奴に、ヒラリ反転攻勢。しょんぼりする奴に、咬ませてやっか。

奴には、勝手に動く床は理解不能らしく、クルマが動き出すとキャンキャンと超音波攻撃で不快を訴え、黙らせる方法はないものかと思案。試しに、奴に負けないくらい、こちらもキャンキャン。奴はおとなしくなりました。

・・一時的でした。助手席では落ち着かないようなので、私の肩越しに前が見える位置に置いたところ、安心したのか大人しく乗っているようになりました。・・

ネットで調べたところ、吠える犬を黙らせるには、口を押さえて小さくウーとうなれば良いと、狼の親が子を黙らせる方法なそうです。
窓から外を走るクルマに向かって吠える奴に、ウーとやったところ、驚いておとなしくなりました。以後、やめてほしい時はウー。

犬語が分かり始めた頃、奴もモグモグと声を出しています。「おきろ」「おはよ」「はやく」。「おきろ」と「はやく」はだれが教えたのだろうか。奴が聞いてドキッとした言葉は、「おとなしくして」「バーニー」。コリーは難しいけど、かなりおもしろい、きっと。