河﨑秋子さんは「ともぐい」に続いて2冊目。
何の苦労も知らない大学生だった巽(たつみ)は、
学友に誘われるがまま社会運動に加わり、
実兄により憲兵隊に密告され一方的に国事犯として13年の刑を言い渡された。
そして、横浜港から北海道の樺戸集治監に収監されたのだ。
そこでの囚人たちの過酷な監獄生活の話から、
後半は同房の男が大事にしていた石(石英)の秘密が明らかになっていった。
監獄生活の劣悪な環境の中での人間の本質を見る目、
同房のその男や看守の中田を見る目と
巽の揺れ動く心情が丁寧に書かれていて、
すごく読みごたえがあった。
参考文献の中にあった、吉村昭の「赤い人」
いつか読んでみたい。
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