「この本は文句なく素晴らしい・・・聖性があり、重厚な内容である」
こう言える本は少ないと思います。
古今東西を調べても、
聖書、コーラン、法華経・・・など、
ごくわずか。
そして・・・
このジャンルに、ぜひ加えたいのが、
中国の古典『荘子』です。
個人的には、『四書五経』や『論語』よりも、
上に評価しております。
『荘子』の中には、いろいろな実話も載っており、
物語風で、とても面白いのです。
実在の孔子の言動も、具体的に記載されています。
「背が高くて短足だった」とか、
「どの王様にも相手にされなかった」とか
・・・論語は弟子が記したもの。
100%そのまま盲信してはいけないのでは?
(同様のことは『歎異抄』にも言えます)
『荘子』には、こんな話も載っています。
「ある村に、心のきれいな人が権力を持っていると、
その村は、何もしなくても、うまく治まるものだ」
私はなるほどと膝を叩きました。
2001年の米国の同時多発テロ・・・
2011年の日本の大震災・・・
ともに(ごめんなさい!私が言うのではありません。
多くの識者たちがそういうのです)
精神的レベルの高くない政治家が、トップにおりました。
そういうときに限って、大災害・・・
(偶然?・・・でも荘子の言うとおりだったな)
・・・愚かな私は直後に実感しました。
そこで、教訓ですが・・・・
「この人は人間として信用できるかどうか?」
を第一の基準で、トップを選ぶべきかと思います。
(たとえば、ウソはつかないか?怒りっぽくないか?
十分に徳があるか?他人の意見をよく聞くか?)など。
それがないと、なぜか大不幸が起きて、人民が苦しむ・・・
そういうことが『荘子』に書かれております。
もうひとつ気になる言葉が荘子に載っています。
「理不尽でも、どうしても蔓延るなら、それは看過しろ」
年齢を重ねると、この言葉も身にしみます。
世の中にはおかしなことがたくさんあります。
もちろん私は非才なりに、それを矯正しようとします。
しかしどうしてもうまくいかない場合は、
「この悪にも意味はあるかもしれない」
と考えることにしています。
たとえば・・・
ほとんどの日本人は戦前の軍国主義を非難。
ただし当時の好戦ムードは誰も止められなかったでしょう。
しかし敗戦後の日本は
女性の権利が大幅に認められ、
基本的人権や主権在民や平和主義が認可されました。
アジア、アフリカの多くの国々は独立を勝ち取りました。
大きな成果はあったと思います。
関東大震災は一方的な災難だったのでしょうか?
これも震災後、幹線道路や大公園・・・
・・・その他、丈夫な集合住宅は、
震災後に作られたものであり、
「関東大震災=絶対悪」と決め付けることは間違いのようです。
糖尿病の恐怖や喫煙の害も、私は訴え続けます。
しかし他方、こうも思います。
「地球に悪さをする病人は、同情に足るんだろうか?」
ですから、健康の大切さを述べると同時に
「第一に、地球に愛される人間になること」
これも訴えています。
今回の大震災においても、
今すぐか将来かは別にして、
脱原発への流れを作れることができたとすれば、
犠牲者の方々にも、申し訳が立つような気がいたします。
さらに言えば、放射能が怖い怖いというよりも、
除染などの努力をした後は、
栄養をうんと摂って、毎日を明るく暮らしたいものです。
荘子から、こういうことも学びました。
「常に広い視野から物事を見よ。
人間の命は、どっちみち、90年くらいだ」
荘子の基本テーゼは「タオ(天の道)」です。
論語よりもずっと奥が深く
孔子も「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」
と言いますが、この「道」とは、
荘子の述べる「天の道(タオ)」のことなのです。
その他、荘子は、いろいろなことを教えてくれました。
「人を許すことの大切さ」
「宇宙の究極は無であること」
「人生、拘らないこと」
荘子自体は、書名であると同時に、人名ですが、
荘子を書いたのは、複数の人だと言われます。
文庫本で3冊になっています。
珠玉の言葉がたくさん載っています。
ぜひ死ぬまでに一度は読みたい本かと存じます。
(ついでながら、中国古典としては
王陽明の『伝習録』も、ぜひ勧めさせていただきます)
ところで、そもそも聖典って何か?
凡夫なる私の答え・・・
「どんな時代でも、常に新しい本である」
これです。
日本人のような新しいものが好きな民族は、
聖典を読むのが一番手っとり早道かもしれませんよ。
だって100年後、1000年後でも、
一番新しい本なんですからね。
温故知新・・・大切ですね。
本当は若者も、50代~80代の人から
学ぶことは多々あろうかと、いつも思っています。