仕事と生活の授業(続き)

前に作ったホームページは、あまり読まれないようなのでブログで再挑戦です。

54.万葉集のはじめの歌『こもよみこもち』 その2 高校古文の知識と検索力で読解しました

2024年06月28日 | 和歌 短歌 俳句
高校レベルの古文の知識
しかありませんが、
ネット検索力で万葉集を
読解していきます。

(まずは序盤の前半です。)
篭毛與  > こもよ
美篭母乳 > みこもち
布久思毛與> ふくしもよ
美夫君志持> みいふくしもち

「持ち」という言葉について考えます。
前回「持ち」とは精霊や神様
または精霊や神様が宿っている人や物
のことだといいました。

たしか、
日本書紀か古事記に
「持ち」を役職名として
使っているところがあったなぁ、
と思い検索していると、
それが見つかる前に、
違うものが見つかりました。

「鍬(さい)持ちの神」という、
鍬(すき)や小刀などの
金属製品(「さい」と呼んだそうです)
の神様の名前がヒットしました。
(怪異・妖怪画像データベース より さいもちの神は、ワニです。)


さらに、有名な
保食神
(うけもちのかみ 「うけ」=食べ物)や、
くひさもちのかみ
(くひさ=ひさご=ひしゃく)
も見つけました。
ひさごは、ひょうたんのことを指します。
昔、柄杓(ひしゃく)は、
ひょうたんで作っていました。


彼らは、
鍬(すき)や食べ物や柄杓(ひしゃく)
に宿っている神様ですね。
前回の「持ち」の解釈は当たりでした。

役職にくっつく「もち」についてです。
「司」や「宰」と書いて
「みこともち」と読みます。
「御言(葉)」を持って任地に行く、
中央から地方に派遣される
長官のような役職で、
後の国司になる役職です。

「御言葉」ではなくて、
「尊」「命」(みこと)は、
貴い人の敬称なので、
貴い人自身が宿っている官職
という意味だと思います。

今でも外国に赴任する大使は、
天皇陛下から任命される
「全権大使」で、
元首の権限をすべて兼ね備えている
と言う建て付けになっています。
昔も今もそういう意味では同じです。

天皇陛下は、神様扱いなので、
「全権大使」は、神様が宿った人
ということで、自然に
「命持(みことも)ち」
と呼ぶのだと思います。

「みこもち」は、
「美(御)籠持ちの神」
「みふくしもち」は、
「美(御)掘串(ふくし=スコップ)持ちの神」
「美(み)」は当然美しいという意味もありますが、
神様への敬称「御(み)」でもあるようです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
万葉集は万葉仮名という、
漢字の音読みで日本語(和語、大和言葉)
の音(おと)を表す文字を使っています。
一方で、漢文のように
意味を取ってそれにあった
訓読みで読む部分もあり、
かなり複雑です。

本当はどのように読んだかは
よく分からなくなっているようなので、
自由な発想で読むことにします。
自分の日本語の感覚で、
自分なりに確かだと思うように
読んでみたいと思います。

和歌は、五七調が原則です。
なるべく五七調に合うように
読み解いていきます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
篭毛與 美篭母乳 布久思毛與
こもよ みこもち ふくしもよ

「こ」は、カゴで、
「も」と「よ」は助詞だそうです。
「も」は詠嘆? 
「よ」は「もしもし かめよ かめさんよ」の
呼びかけの「よ」です。

「も」は詠嘆でしょうか。
「も」は、不確定な事柄に付く言葉でした。
「かも」「ども」も今は一語ですが、
元々は複合語だったはずです。
「そうか“も“」
「そう言えど“も“」
どちらも不確定な事柄を表しています。

不確定な状況は嘆かわしいので
詠嘆のように見えるのでしょう。

選択肢が2つ以上あって、
どちらか定まらない場合もあります。
「行くも地獄、帰るも地獄」

確率の低い事柄が並ぶと掛け算で
更に確率が低くなります。
あまりに確率が低いと
確率の低いことが
起こり得ると思わせることができます。

「天気予報が昨日も今日も」
と聞くと、次に
「ハズレた」
がくると予想しますが、

「宝くじが昨日も今日も」
とくれば、
「当たった」
がくることを予想します。

このような経路で、「も」は、
不確定な事柄で無いことも
並列させる意味を持つようになります。
「猫も杓子(しゃくし)も(誰もかれも_何もかも)」

「ふくし」は竹でできたスコップです。


「籠(かご)の神様もスコップの神様も」
どちらも、という意味か、
「籠の神様でも、スコップの神様でも」
どちらでも良いので、というように
不確定な意味を残しているか.
どちらかですが、

どちらにしても一生懸命
お願いしている感じが伝わります。

『うさぎとかめ』の歌では
歌いだしでうさぎがカメを「遅い」と
ディスっています。


歌い出した後に
のんびりしたコアラが現れたら、
こうなります。


「もしもしかめよ、コアラ“も“よ
 世界の内で君らほど
 歩みののろいものはない」

「籠もよ」「堀串(ふくし)もよ」は
こんな感じで並列の助詞「も」と
呼びかけの助詞「よ」の組み合わせだと
思います。

ここまでは、「こもよみこもち」7文字
「ふくしもよ」5文字と
七五調なのですが、
次の「美夫君志持」が
「みふくしもち」なので、
6語になってしまいます。

「うさぎ うさぎ」の歌は


7語になるように
「ううさぎ うさぎ」と歌うので、
同じように「みいふくしもち」と
始めの「み」を伸ばしましょう。

さん、はい!

「こもよみこもち
 ふくしもよ
 みいふくしもち」

今日はここまで


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