浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

日本のインテリジェンス論

2014-02-23 15:33:55 | 資料

佐藤優という男の「インテリジェンス論」研究(その1)

原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログ 2007-12-12

佐藤優(さとう・まさる)という男がいる。1960年生まれ。現在、外務省の職員(専門職)というステータスを保持しつつ、「起訴休職中」を称し、言論活動を行っている人物である。

あらかじめ申し上げておくが、私は佐藤優氏に対し、何らの個人的感情を持っているわけではない。「国策捜査」をキャッチフレーズに法廷で自己の主張を貫き通し、その一方で「言論活動」を盛んに行っては生計を立てていること自体に、特段の印象を抱くものではない。そのことを、あらかじめ鮮明にしておきたいと思う。

佐藤優氏は、大手出版・新聞メディアから「インテリジェンス論」の語り部として大いなる期待を抱かれている。そのことは、佐藤優氏がこの11月に上梓した著作「国家の謀略」(小学館)の帯にある文句からも明らかである。

「異能の外交官が初めて公開する『インテリジェンス』の技法 この『情報工学』を官僚だけに独占させておく手はない ビジネスマン必読!」(前掲書・帯より引用)

しかし、ここではっきりと申し上げておく。―――佐藤優氏の展開する「インテリジェンス論」はある種のバイアスがかかったものである。とりわけ、個別の局面についての情勢分析となると、そのバイアスは至るところに首をもたげ、それを佐藤優氏が「筆力」をもって抑えようとする様が目に浮かぶような文章となる。

私は、公開情報インテリジェンス(OSINT)を主体としつつ、マーケットとそれを取り巻く国内外情勢分析を主たる業務とするprivate intelligence agencyを、今年4月に株式会社として立ち上げた((株)原田武夫国際戦略情報研究所)。2005年3月31日に外務省を自主退職して以来、一貫して日本における一般市民レベルでの「インテリジェンス意識」の普及につとめ、全国各地で活動を展開してきた次第である。
そのような立場からして見ると、佐藤優氏の展開する「インテリジェンス論」は、あまりにもバイアスがかかっており、またその影響力に鑑み、私たちの国=日本における公益を損ねる危険性をはらむものである。
そこで、今回より複数回にわたり、佐藤優氏がこれまで展開してきた、いわゆる「インテリジェンス論」を冷静に検証し、その成果を世に問うこととした次第である。したがって、これから書き連ねる文章は、すべて公益目的であることを、重ねて強調しておく。

「第3次世界大戦」を素朴に信じる佐藤優氏

佐藤優氏は、雑誌「クーリエ・ジャポン」(講談社)において、「海外ニュースの『楽しみかた』と題するコラムを連載している。同誌の2008年1月号には、この連載として「『悪夢のシナリオ』が浮かぶ 北朝鮮と中東の“危険な関係”」と題するコラムが掲載されている。

冒頭、佐藤優氏は次のように述べる。

「2007年から08年を貫く最大の問題は、中東情勢の緊迫により、世界的規模の大混乱が起きかねないことである。」(筆者注:以下、引用には整理番号を付す。これを引用Aとしたい)

現実と照らし合わせると、実はこの段階で早くも佐藤優氏は大きな過ちを犯しているのであるが、それは後に詳述する。
それではなぜ、中東情勢が緊迫するのかというと、シリアが北朝鮮の支援を受けて核開発を進めているという「疑惑」があるからだと佐藤優氏は指摘する。その上で、11月9日付”asahi.com”に掲載された船橋洋一・朝日新聞主筆によるロバート・ゲーツ米国防長官とのインタビュー記事として、以下に言及する。

「ゲーツ氏は、6者協議の合意に基づいて北朝鮮が寧辺の原子炉の無能力化を始めたことを歓迎した上で、『究極的な課題は、北朝鮮が完全に非核化するかどうかだ。目的地はまだ遠い』と、慎重な見方を崩さなかった。北朝鮮によるシリアへの核協力疑惑については直接のコメントは避けつつ、『ブッシュ大統領は、北朝鮮によるいかなる拡散の試みも、非常に重大な結果を招くことを明確にしてきた』と述べ、拡散を許容しない米国の立場を強調した」(引用B)

以上に対し、佐藤優氏は「直接のコメントは避けると言いつつも、北朝鮮のシリアへの核協力を米国が強く懸念していることがうかがわれる」と分析した上で、次のように明確に述べる。

「イランもしくはシリアが核兵器を保有すると、イスラエルとの間で第五次中東戦争が勃発する危険性が高まる。これに9・11以降の国際テロリズムを引き起こした勢力が加わり、第三次世界大戦が勃発する危険がある」(引用C)

こう述べた上で、佐藤優氏は続けて、「第三次世界大戦」が、イスラエル対イラン・シリアという国家間の戦争とともに、イスラム過激派による「非対称の戦争」も展開されるとし、そのような展開こそが米国にとっての「悪夢のシナリオ」であると評価する。そして、次のように分析する。

「ここに北朝鮮がつけ込んでいる。米国は、北朝鮮がイランとシリアへ核技術を移転しないことを約束するならば、スカスカの条件で北朝鮮をテロ支援国家のリストから除外すると筆者(注:佐藤優氏)は見ている」(引用E)

以上を踏まえ、佐藤優氏は、1)北朝鮮による日米離間工作に乗せられないこと、2)拉致問題を6者協議で前面に出すことで北朝鮮に日本カードが面倒であると見せつけること、3)日朝政府間の直接チャネルをつくり、「拉致問題と第三次世界大戦を阻止するという問題について協議すること」の3点を提言している。

何が決定的な過ちなのか?

私もいくつかの雑誌・新聞メディアにおいて自ら連載を持っているのでよく分かるのだが、一般に月刊誌の場合、掲載されるコラムの原稿を筆者が仕上げるのは、掲載号が発売されるより遥かに前のことである。したがって、そこに記す内容がどうしても現実と齟齬のあるものになってしまうことは致し方がない。
しかし、「インテリジェンス」、あるいは「情報分析」をそのテーマとするのであれば、現実とズレが生じる点、あるいは執筆時までに分析しきれない点については、それなりの留保を付すのが筆者としての良心というものである。

ところが、上記の引用をあらためてご覧いただければわかるとおり、佐藤優氏のこのコラムにある分析には、そうした「良心的留保」が一切見られない。あるのは、読む者に小気味よさすら感じさせてくれる断言調のみなのだ。
もちろん、その結果、ここで佐藤優氏が披露している分析、あるいは「インテリジェンス」が現実に照らして、明らかに合致している、あるいはその可能性が高いものであるのならば良い。だが、現実はそんなに甘くはないのである。はっきり申し上げれば、佐藤優氏の言う「インテリジェンス」は、米国、そして中東情勢とは完全にかけ離れたものであるといわざるを得ない代物なのである。

たとえば「引用A」について。11月27日、米国メリーランド州・アナポリスで「中東和平国際会議」が開催された。どういうわけか日本の大手メディア、さらには外務省の内部においてもこの会議に対しては冷ややかな事前分析がなされていたように記憶しているが、蓋を開けてみれば会議の「冒頭、ブッシュ大統領より、イスラエルとパレスチナの間で、双方が平和と安全のうちに共存するニ国家解決を図るべく、アナポリス会議後に核心的課題を含む全ての課題を解決し、和平条約を締結するための交渉を開始することで合意したと発表」するという、最初から達成感に満ち溢れた会合となった(外務省HP参照)。その後、イスラエルがロケット弾をパレスチナに打ち込むといったお決まりの「小競り合い」はつづいているものの、基本的には来年1月に開催が予定されている同会議第2回会合(モスクワ)に向けて、着々と準備が進められているというのが実態なのだ。―――およそ、「中東情勢の緊迫により、世界的規模の大混乱が起きかねない」という評価とは合致しない現実であると言わざるをえない。

もっとも、アナポリスで会議が開かれたのは11月27日。他方でこの雑誌が発行されたのは12月1日であるので、佐藤優氏としては実際の会議が行われる前に分析を行わなければならなかったはずだ。その意味で、分析者として厳しい状況に置かれたと抗弁できそうではある。

だが、実際にはそうした「抗弁」にはあたらない。なぜなら、東京においてですら、高いレベルのインテリジェンス・ルートにおいては、今年8月初旬の段階より既に、イスラエルと結託しているネオコン勢を除く米国のエスタブリッシュメント層は「中東における和平の実現」で一致しており、そのために自ら中東へ続々と乗り込んでいるという非公開情報が流れていたからである(それを仮に佐藤優氏がご存じなかったというのであれば、「その程度のレベルしかインテリジェンス・ルートにアクセスのない人物」ということになる)。

また、公開情報インテリジェンス(OSINT)のレベルでも、この会議が成功裏に終わることは予見できたはずである。ブッシュ大統領、あるいはローラ大統領夫人自らによる仲介努力は露骨であった上、何よりも決定的であったのはサウジアラビアのアブドゥラ国王自身が英国、バチカン、そしてドイツと「利害関係者」の国々を歴訪したという事実であった。日本では不思議と大手メディアがほとんど取り上げなかったが、バチカン訪問(11月6日)ではローマ法王と共同声明を発表、「キリスト教、イスラム教、そしてユダヤ教の3者による平和」を希求する旨を高らかに発表したのである。

このことがなぜ決定的だったのかといえば、サウジアラビア、さらには湾岸諸国をも含めたアラブ勢は、過去1年間あまりにわたって、原子力ビジネスをシナイ半島で開始することに全精力を傾けてきたからである(ちなみに湾岸諸国が原子力の共同開発を公表したのが2006年12月11日の第27回湾岸協力会議(GCC)の場においてである)。

端的にいえば、これらアラブ勢は原油にかわり、濃縮ウランを各国に提供し、今後も国際経済の「川上」を握るというこれまでの立ち位置を維持しようとしているのだ。ところが、そのためには中東がもはや地政学リスクの温床でなくなる必要がある。したがって、「パレスチナ問題」「イラク問題」「イラン問題」、さらには「アフガニスタン問題」は幕引きされるよう、これらの問題のいずれにも手を深く突っ込んでいる米国に圧力をかけることになる。

そのため、私たちの研究所(IISIA)では、すでに晩夏の段階から「中東和平実現の可能性は高い」との分析を、彼の地における原発ビジネスの展開についての報告と共に公表してきた(こちらを参照)。もっとも、当初入手していた情報より徐々にずれ込み、結果として11月末の「中東和平国際会議」の実現となったが、いずれにせよ、「東情勢の緊迫により、世界的規模の大混乱が起きかねない」などという状況からは程遠いこと、さらにはそのことが今年夏から本当のレベルの高いインテリジェンス・ルートでは流布されていた情報であることをここで確認しておきたい。

しかし、次のように述べると必ずや反論が聞こえてくることだろう。

「米国は、原油についても多大な利権を持っているはず。中東諸国があたかもそこから脱却するかのような動きを見せ、そのために中東和平を実現したいと言ってきたとしても、素直に応じるかは疑問無しとはしない」

もっともな反論だ。だが、次のように考えてみてはどうだろうか。―――「米国も、中東で和平が実現し、その結果生じるあらたな利権から少なからず利益を得る仕組みをすでに確保している」、と。

ここで、「インテリジェンスのプロ」が思いつかなければならないのは、世界の原子力マーケットをフランスと共に牛耳ってきたのは米国であるという事実だろう。つまり、少なくとも原子力ロビーに押されたエスタブリッシュメントたちからすれば、サルコジ大統領率いるフランス勢と調整さえできれば、中東において花開くであろう原子力ビジネスから莫大な利益を得られる以上、中東和平を求めるアラブ勢からの申し出を断る理由など無いのである。だからこそ、ブッシュ大統領以下、総出で「和平努力」を行い、やや強引にではあってもイスラエルとパレスチナをまずは握手させたというわけなのである。

ところが、これで泣くに泣けない勢力がいる。それはイスラエルと米国のいわゆるネオコン勢だ。
イスラエルは世界第4位の武器輸出国である。とりわけ中東で自らが使う分も含め、兵器需要が高まらなければ商売あがったりという状況になる。
他方で、ネオコン勢は自らが直接・間接関与している民間企業に対し、米軍や米国政府機関が中東での「戦争」をアウトソーシングすることで、多大な利益を得ていた。したがって、彼の地で「戦争」が終わってしまっては、これまた商売あがったりなのである。

そこで、彼らは奥の手に出た。客観的に見ても、自らに都合の良い「インテリジェンス情報」をホワイトハウスに囁いたのである。―――実はこのあたりの事情についても、IISIAでは10月23日の段階でブログ「国際政治経済塾」において、ドイツ紙「ディ・ヴェルト」の記事(10月14日付)を引用しつつ、分析を公表した経緯がある。詳しくは同記事を参照していただきたいが(ただし原文はドイツ語)、ポイントを紹介するならば次のとおりとなる:

●イスラエルは、中東和平にとってカギとなるシリアが、よりによって北朝鮮から核開発技術の供与を得ているとの「情報」を入手。これをホワイトハウスに伝えた。
●その後、イスラエルはシリアを空爆(9月上旬)。ところが、この「インテリジェンス情報」を伝えられたホワイトハウス、とりわけブッシュ大統領とライス国務長官はイスラエルとともに拳をあげる、すなわち限定的空爆など、軍事攻撃に踏み切ることはしなかった。

この経緯を読むにつけ、どうやら佐藤優氏の語る「イスラエルは米国と特別の同盟関係にある」(引用D)などという評価は、かなり怪しいものであることが分かるのだ。また、11月初旬に訪日したゲーツ国防長官が、シリアに対する北朝鮮の核技術供与疑惑について言を濁したことについて、佐藤優氏は「直接のコメントは避けると言いつつも、北朝鮮のシリアへの核協力を米国が強く懸念していることがうかがわれる」と述べる。しかし、こうしたゲーツ国防長官のごまかし方は、正にブッシュ大統領やライス国務長官の対応と同じであり、さらにその背景にはサウジアラビアや湾岸諸国をビジネス・パートナーとして勢力を伸ばしてきたブッシュ一族の歴史があることが容易にうかがわれるのである。

サウジアラビアのアルワリード王子は1991年当時、経営危機に陥っていた米系銀行シティコープへの投資を決意する。この時、サンフランシスコに本拠地を置くファイサル・ファハド弁護士を仲介人に立て、同弁護士がシティコープ買収の実行部隊として白羽の矢を立てたのが、カーライル・グループであった。そして話はとんとん拍子に進み、1991年2月21日。同王子はシティコープ株を15パーセント保有する大株主となるのである。これ以来、カーライル・グループはこの王子を介して、中東に深く、深く入り込んでいく。

一方、中東にサウジアラビアという金の卵を得たカーライル・グループは、米国国内でも着々と力をつけていく。そして、ブッシュ(父)政権で国務長官をつとめ、ブッシュ家の選挙を取り仕切る番頭格であるジェイムズ・ベーカー3世を、1993年3月、ついに共同事業者として受け入れることに成功する。それ以前より、カーライル・グループとビジネス上の出会いをしてきたブッシュ父子はこれでますますカーライル・グループと切っても切れない関係へとなっていく。また、ちなみに1975年以来、サウジアラビア正規軍の軍事教育を担ってきたヴィネル社を、1992年に買収したのはカーライル・グループであり、同社の関係者たちは未だに多くサウジアラビアに「駐在」している(以上、ダン・ブリオディ(徳川家広訳)「戦争で儲ける人たち ブッシュを支えるカーライル・グループ」(幻冬舎)参照)。

要するにこういうことだ。―――佐藤優氏は「イスラエルは米国と特別の同盟関係にある。シリアもしくはイランがイスラエルに対して攻撃を仕掛ければ、米国は無条件にイスラエルを支持し、参戦する。現状では、アラブ諸国がイランと束になってかかっても軍事的にイスラエルに対して勝利することはできない」という。しかし、ここでいうイランと束になってかかってくる「アラブ諸国」とはいったいどの国を指すというのか?「アルカイダのような国際テロ組織」(佐藤優・前掲コラム参照)を率いているとされるオサマ・ビン・ラディンの故郷であるという理由で、サウジアラビアまで含めるというのか?だとすれば、ここでもまた、佐藤優氏の議論に肯ずるわけにはいかない。なぜなら、アラブ諸国の雄・サウジアラビアこそ、米国と利益を均しくし、いわば一体の存在なのであるから(少なくとも国家指導者のレベルにおいて)。

また、佐藤優氏はこのコラムにおいて、しきりと「第3次世界大戦」の恐怖を解く。そしてその元凶として、シリアと並び、「イラン」の核開発を掲げている。
それでは、イランをめぐる現実は果たしてどうなったのか?また、その現実と佐藤優氏の「インテリジェンス論」との間にどれほど激しい乖離があるのか?―――北朝鮮をめぐる佐藤優氏による建策の妥当性に対する検証と共に、次回はこの点から「佐藤優氏という男のインテリジェンス論」をつぶさに観察してみることとしたい。

http://blog.goo.ne.jp/shiome/e/cedc3dcc9cb0f3911a636bfdc744c59d

◆アナタのブログ、監視されてますよ

http://www.au.af.mil/info-ops/jsou/blogbook06june.pdf

「ブログと軍事情報戦略(Blogs and Military Information Strategy)」と題されたこの文書が刊行されたのは2006年6月。著者はジェームズ・キニバーグ米空軍少将とドロシー・デニング米海軍大学院教授の二人である。
そして発行元は米軍統合特殊作戦大学(Joint Special Operations University)だ。

タイトルが示すとおり、インターネット上で入手が可能であるものの、一般に広く流布しているわけではないこの文書(こうした文書をgrey literatureと呼ぶ。公開情報インテリジェンス(OSINT)では報道機関による記事分析のみならず、こうしたやや閉鎖的な人的サークルだけで流布している文書の入手が決定的な役割を果たすことがままある)は米軍のインテリジェンス活動にとってブログが一体どんな役割を果たすのかを示したものである。つまり、米軍はブログを情報工作活動にあたって真正面からターゲットにしているのだ。

それではどんなことが書いてあるのか?
カギとなる言及をいくつか挙げてみることにしよう:

“Recently, analysts at the Open Source Center (OSC) under the auspices of the Director of National Intelligence (DNI) have been monitoring and following significant foreign blogs and bloggers with the primary goal of exploiting them as sources of intelligence. A February 2006 posting on the organization’s “Blog on Blogs” about Iranian expatriate blogger Hossein Derakhshan (“Hoder”), described him as “one of the most influential Iranian bloggers.” OSC analysts used Traffic (based on Reach and Page Views) from Alexa; Authority (Inbound Blog Links) from Technocrati; and frequency of postings from Blog-Pulse. All three sources share the advantage of ready availability,…”
⇒米国政府のインテリジェンス機関は要するに世界中のブログとそれを書いている人物たち(ブロガー)を監視しているのだ。つまり、「アナタのブログ、監視されてますよ」というわけなのである。

“Information strategists can consider clandestinely recruiting or hiring prominent bloggers or other persons of prominence already within the target nation, group, or community to pass the U. S. message. In this way, the U. S. can overleap the entrenched inequalities and make use of preexisting intellectual and social capital. Sometimes numbers can be effective; hiring a block of bloggers to verbally attack a specific person or promote a specific message may be worth considering.”
⇒もっともブログが情報工作機関にとって有効なのは、ブログの監視を通じて意味ある情報を収集できるという意味においてだけではない。ターゲットに対して自己に有利なメッセージを浸透させるべく、米国がブロガーを雇っていたりもするのである。しかも上記のとおり“大勢は有効”とある。ある時、一斉に同じ事を言い出すブロガーたちは、たとえそれが日本であっても米国インテリジェンス機関の影を感じるべきなのだ。

“An alternative strategy is to “make” a blog and blogger. The process of boosting the blog to a position of influence could take some time, however, and depending on the person running the blog, may impose a significant educational burden, in terms of cultural and linguistic training before the blog could be put online to any useful effect. Still, there are people in the military today who like to blog. In some cases, their talents might be redirected toward operating blogs as part of an information campaign. If a military blog offers valuable information that is not available from other sources, it could rise in rank fairly rapidly.”
⇒IISIAのようなprivate intelligence agencyという業界では半ば”常識“なのであるが、米軍関係者(OBを含む)の中には実に仔細な軍事情報を記してブログ展開している人が大勢いる。その結果、世界中からアクセスが集まっているのだが、それがまたプロパガンダのためのツールであることに気づかない危険性があるというわけである。さらにいえば、「私は米軍関係者です。米軍関係のブログです」などと真正面から唱えて展開しているブログだけでもないだろうし、日本でも実際には多くのブログがこうした”手先ブログ“である可能性すらある。そこで流される重要情報とプロパガンダとを見分けるのが、OSINT(公開情報インテリジェンス)では腕の見せ所となる。

“There are certain to be cases where some blog, outside the control of the U. S. government, promotes a message that is antithetical to U. S. interests, or actively supports the informational, recruiting and logistical activities of our enemies. The initial reaction may be to take down the site, but this is problematic in that doing so does not guarantee that the site will remain down. As has been the case with many such sites, the offending site will likely move to a different host server, often in a third country. Moreover, such action will likely produce even more interest in the site and its contents. Also, taking down a site that is known to pass enemy EEIs (essential elements of information) and that gives us their key messages denies us a valuable information source.”
⇒ターゲットが逆に巧みなブログ展開をしていた場合、米国にとっては当然、不都合な情報も流されることだろう。そこで「そんなブログはダウンさせてしまえばよい」というオペレーションが試されている可能性が十二分にあることを、この記述は物語っている。もっともそれが逆効果な場合もあるのであって、いわゆる「祭り」がかえってアクセス数をあげてしまうことなどに注目すべきだというのである。

しかし、話はこれでは終わらない:
“Hacking the site and subtly changing the messages and data --- merely a few words or phrases --- may be sufficient to begin destroying the blogger’s credibility with the audience.”
⇒要するに「都合が悪かったらハッキングし、そこにある文言を多少なりとも変えてしまえば良い」というのだ。何とも乱暴な話ではあるが、そもそもこうした言及が米軍研究文書にあること(しかもかなりのハイランクな研究者の手による研究文書)から、私たちは今すぐ自分のブログをあらためて点検するべきなのだろう。――――「あれ?こんなこと書いたっけか?」と思ったら、それは怪しい。

そして最後にまとめとして、米軍がブログ情報戦略を展開していく際に“必ず考えるべき点”として以下が列挙されているのである:
-How large is the blogging community?
-Who are the bloggers? And what are their positions and status within their communities and within the country as a whole (their general public roles and reputations)?
-Who is the target community or audience for each blog?
-Do the blogs address issues of social and political importance to the community they serve?
-What biases are observed in each blog? Do they reinforce or challenge the biases of their audiences?
-Do any bloggers invite and engage in free and open interaction with their audience?

「ブロガーである人物を特定せよ。その社会的な地位はどれほどのものなのか?」
「そのブログは社会的・政治的に意味のある題材を取り上げているのか?」
「ブロガーたちは自由で開かれた形によるコミュニケーションを読者との関係で行っているのか?」

・・・・つまり、「アナタのブログ、監視されてますよ」ということなのだ。

以上をお読みいただければ、やれ「ブログの女王」だ何だかんだと言ってブログを日本で流行させ、さらにはフツーの日本人たちにまで日常の“ため息”をブログに書かせるように仕向けた関係者たちの正体が誰なのかもお分かりいただけるのではないかと思う。ちなみにこの文書では「人はなぜブログを書くのか?」について次のとおり5つの類型を記している:

-Documenting the author’s life and experiences
-Expressing opinions and commentary
-Venting strong emotions
-Working out ideas through writing (In the words of Sherry Turkle, using the blog and computer as “objects to think with.”)
-Forming and/or maintaining virtual communities

「日常の体験をつづり」「考えたこと・思ったことをつづり」「激しい感情を吐露し」「思考する補助道具として使い」そして「人と群れるために使う」・・・・ブログを通じて、私たちの生活はまさに丸裸となっている。そしてそれを米軍は“監視している”というわけなのだ。

(1)「しらべ、読み、考え」る対象となる素材が、ウェブ上に無償でほぼ無限とも言えるほどに溢れ、それが今後さらに充実していく。
(2)「知的生産の道具」(整理する道具、書く道具)が飛躍的に進化したとともに、クラウド・コンピューティング(中略)の進展により「手ぶらの知的環境」が私たちにもたらされ、誰にも知的生産の可能性が広がろうとしている。
(3)「知的生産の成果」(書いたもの)を、誰もが自由に世界中に向けて公開(発表)し、その成果を多くの人と共有できるようになった。
(4)「知的生産の成果」の公開と共有をきっかけに、知の志向性を同じくする人々と知り合い、知をめぐる自由な対話が行える新しい環境が生まれ、それを通して個が成長する可能性も同時に開かれた。
(5)「知的生産の成果」をウェブ上に公開する道具(その初期がブログ)を得たことで、それが個人にとっての信用創造装置としても機能し、個人が組織に頼らずとも「知的生産の成果」と「飯を食う」可能性とを結びつける力を得た。

確かにウェブは便利なものだ。
しかし、インテリジェンスという日本人には慣れないプリズムを通して見た時、それには明らかに“光”と“陰”とがある。

◆初代内閣安全保障室長・佐々淳行 国家中央情報局立ち上げの秋だ

2013.8.29 産経ニュース

 1月16日のアルジェリア人質事件は、日本の国家危機管理体制の重大な欠陥を露呈し、平和ボケの国民に衝撃を与えた。テロリストなどに関する非公然(クランデスタイン)情報収集能力を欠く日本は、米中央情報局(CIA)や旧ソ連の国家保安委員会(KGB)などの「国家情報権」とでも呼ぶべきインテリジェンス(諜報謀略)を、暗殺やテロなどの後ろ暗い賤業とみなし関わり合いを忌む傾向が強い国際インテリジェンス・コミュニティーの孤児なのだ。

長い耳と速い逃げ足を持て

 弱い兎は長い耳と速い逃げ足を持つ。軍事小国日本は、強い情報機関と海外邦人救出のコンティンジェンシー・エバキュエーション・プラン(緊急時救出計画)を備えていなければいけない。

 筆者は先般、多年の持論を『インテリジェンスのない国家は亡びる-国家中央情報局を設置せよ!』にまとめて海竜社から刊行し、参院選に大勝しねじれを解消した自民党に、そして安倍晋三首相に日本再建の政策提言をした。

 マッカーサー体制打破を唱道してきた筆者は、偉大な先駆者の緒方竹虎元副首相、後藤田正晴氏、村井順初代内調室長、長谷川才次元時事通信社社長が果たせず、安倍首相が前に試みて挫折した国家情報権回復の夢を今、再起した彼に託したのである。

 6年前、安倍氏は戦後レジームからの脱却をスローガンに掲げて国家危機管理体制確立を目指し、(1)国家安全保障会議(日本版NSC)設置(2)内閣中央情報局(日本版CIA)設置(3)秘密保全法制定(4)集団的自衛権の解釈変更-の4項目を推進し、壮図半ばに病に倒れ、挫折した経緯がある。

 筆者はさらに加えるべき新目標として、(5)国連加盟国に認められた「国家抗議権」(ナショナル・ライト・オブ・コンテスト)の確立(6)海外在留邦人(118万人)と渡航者(1800万人)を保護・救出する主権の発動としての自衛隊派遣(7)中国による無法な大気・水質汚染(PM2・5、酸性雨)の環境破壊に対し、欧州に既にある風下・下流国家の環境保護権と求償権(ライン河、ドナウ河)の考えを援用して抗議または求償する「国家環境権」の確立-を提言したい。そして、国家中央情報局を「剣と盾」の機能を持つ機関とするのである。

外交一元化の大原則修正を

 そのためにとるべき措置は第一に、日本版NSCを設ける安全保障会議設置法改正と並行して、内閣情報調査室改組の内閣法改正を急ぎ、国内部、国際部に加えて海外情報部、国家抗議部、海外邦人保護部を新設することだ。

 吉田茂氏以来の「外交一元化」の大原則を修正し、現態勢の即戦力化のため警察出向の駐在外交官(24人)、防衛駐在官(49人)を「内閣情報官」と併任発令して外相への報告を首相にも同時に行うよう義務づけ、各国情報機関との定時接触を命じ、国際インテリジェンス・コミュニティー参入を期する。彼ら国際インテリジェンス・オフィサーは須(すべから)く明石元二郎大佐を見習わなければならない。

 次に、国家中央情報局は国家情報権に基づき情報収集の任に当たるとともに、国家意思の情報発信源でなければならない。日本が、名誉を不当に傷つけられたり侮辱されたり誤解されたりしたときには、国連総会手続規則73とその添付資料により、国連総会の席上、1事項につき2回まで抗弁・異議申し立てをする権利がある。

“悪口言われ放題”許すな

 “悪口言われ放題”の現状は許しがたい。最近の事例として、楊潔中国外相(当時)の国連総会での「尖閣日本盗人論」、李克強中国首相のポツダムでの同種の発言、韓国紙、中央日報の論説委員の「広島長崎原爆投下神罰論」などは、聞き流してはならない国家抗議権行使の対象である。楊外相発言に対しては、その場で児玉和夫国連次席大使が2回反論したものの、当時の野田佳彦首相、玄葉光一郎外相は「こういう非難はとりあわないのが大人の対応」として正式抗議はしなかった。何が「政治主導」か。

 第三に、国家中央情報局による外部機関を活用した積極的な情報収集、調査委託である。かつて事実上の国策通信社であった同盟通信は戦後、GHQにより共同、時事両通信に分割された。例えば、現在、時事通信社の関連団体である内外情勢調査会への内調からの情報調査委託は年間68件、予算約1200万円。これを1、2桁増やして、同盟通信社のような機能を与えなければならない。出(い)でよ、長谷川才次である。

 第四として、内閣に非常勤嘱託のコンテスト要員を300~500人任命しておき、日本に対する不当な批判や言いがかりに際しては、直ちに適切な人物にコンテスト文案の起草を委嘱して国際的にコンテストするといった、「オートマティック・コンテスト・システム」を早急に確立することだ。翻訳や発信といった必要経費は国家中央情報局が負担する。

 国民に向け正々堂々これらの政策を呼びかける秋(とき)である。(さっさ あつゆき)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130829/plc13082903250007-n1.htm

アルジェリア人質事件

 なぜアルジェリア政府は多くの人質の犠牲者がでるような強行な作戦を用いたのか、それには中国がアルジェリアと同じイスラム教の民族であるウイグル人を度々虐殺し、アルジェリアの過激派はその報復宣言を中国に対して行っていたことを抜きにしては考えられない。

そしてそれに対抗して現在中国政府と人民解放軍はアルジェリア過激派を殲滅しようと武器と軍隊をアルジェリアへ送り込んでいる。

日本のメディアはアルジェリア過激派が中国政府のウイグル虐殺に怒って報復宣言を出していた事を一切報道していない。日本人は報道されないことは、現実には無いことだと信じる悪癖がある。これこそがインテリジェンスの欠如といえる。

 ウイグル問題を巡って中国と敵対するアルカイダ、そして北アフリカを開発してあらゆる面で事業パートナーとなっているアルジェリア国家と中国の関係、それが人質を見殺しにし、テロ組織への攻撃を重視する救出劇と大きく関係している。 

インテリジェンスのない国家は亡びる