昨日、学校給食費の無償化に関する請願について、討論を行いました。
以下が討論において、主張した点です。
ただいま審議中の請願 第1号 学校給食費の無償化に関する請願を不採択とすることについての賛成討論を行います。
請願理由において、憲法では、義務教育は、これを無償とするを引用し、かかる規定を根拠として、学校給食費の無償化を求めた内容であったことに着目し、そこに焦点を当てて、異議を唱えていきます。
1964年(昭和39年)2月26日の義務教育費負担請求事件に係る最高裁判所の判決において、義務教育の無償は、授業料不徴収の意味、つまり、授業料を徴収しないとの意味と解するのが要諦となっており、帰結として、判例として流布しています。
したがって、憲法 第26条第2項 後段の規定を表層的に捉え、そこを拠り所として、国はもとより、都道府県、市町村に対し、学校給食費の無償化を求めることは決して交わることのない平行線を辿る論理であり、判例、いわゆる司法判断を無視、捨象した請願理由の根底は、最初から瓦解していると考えます。
授業料以外の費用を国が負担するかどうかは、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の施行によって、かつて有償だった教科書が無償となった例があるように、憲法判断ではなく、立法政策の範疇です。この点は、すでに、これまでからの教育長・町長答弁、すなわち、町の方向性に関する議論として、幾度も共有済みの点であるはずです。
憲法は、国家権力に向けられた法規範であるのに対して、法律は、国民に向けられた法規範であると説明できます。そういった意味では、教育福祉常任委員会の採決で不採択と決したあと、昨年3月の定例会で可決した子育て支援の拡充を求める意見書につづいて、昨年12月に閣議決定された「こども未来戦略」において、学校給食無償化の具体的方策の検討が盛り込まれたことを受け、委員相互で合意をみた学校給食費の負担軽減、無償化のあり方含め、憲法規定の範疇ではなく、学校給食法 第11条第2項の改正や恒久的財源の保証・手当てについて、国全体のマクロ的視点で考えていくことを求める意見書を改めて提出し、多くの地方議会が声をいっそう大にして、国に対して、強く意見していくことが、まずもって大前提であると見積もります。
また、教育福祉常任委員会として、17日の国会で成立した補正予算のうち、物価高が継続するなか、地方公共団体が地域の実情に応じた生活者の支援を行えるよう、今後、交付予定の重点支援地方交付金の趣旨を汲み、町の事業として、同交付金を財源とした学校給食費負担の軽減実施を求めていくこと、より詳細には、すでに就学援助ほかによる支援を受けられている方以外で、町内の学校に加えて、町外の学校、例えば、特別支援学校や園部高校附属中学校、私立中学校などに通う町に住民登録がある児童・生徒の保護者を対象とし、期間限定であっても、可及的速やかに、学校給食費無償化の実施を行うよう、求めていくことでも、意見の一致をみていると申し添えておきます。
以上、学校給食費の無償化実現にあたっては、無償化実現に向けたあるべき進路を見据えながら、適切な手順によって、しっかりと道筋をつけながら、子育て支援の歩みを加速していくことが大前提、不可欠であり、今回の請願理由、実現を求める過程や根拠とは、著しく齟齬、懸隔が生じていることを指摘し、本請願を不採択とすることについての賛意の表明とします。
【追記】
12月22日(日)【速報】立憲・野田代表「学校給食無償化」法案提出で野党共闘を図る考え「一挙に実現に向け頑張りたい」
2023年(令和5年)3月29日、立憲民主党と日本維新の会提出の学校給食無償化法案(正式名称「学校給食法の一部を改正する法律案」)(PDF)