初夏の山の女神、クモマツマキ。4年前、半世紀ぶりにチョウの採集を復活させてから毎年、今回のクモマツマキとギフチョウは欠かさず、採集しています。
ただし今年のクモマツマキは様子が違っています。
先だって、絶好の時季と天候を読んで山へ入ったのですが、1頭も見ることができず、すごすご引き返してきました。
今月は2週間におよぶアラスカツアーに出かけるため、クモマツマキを採る日程が限られています。天気予報をみながら、本日の蝶行を決めました。
熊の出るところですから、ホントは友人と行きたいのですがお互いに道楽にドップリ浸かっていて、なかなか日程があいません。やむを得ず単独行となりました。
林道のゲートで車を止め、あたたかくなってきた陽射しのもと、目的のポイントを目指します。といっても最盛期でしたらコースの途中にも飛んでくるはず。ところが前回同様、まったく気配がありません。
何ヶ所かの好ポイントで少しずつ粘りましたが不発。山のてっぺんは薄いガスに覆われていて、嫌な気配が漂ってきます。
それでも何とかしたいという思いから、高みを目指します。高いところのほうが発生している可能性があるように思えたのです。
うまい具合に陽射しが注ぎ、チョウが飛んでいました。スミレの花に惹かれているのでしょう。でも黄色。タハラッチのターゲットは鮮やかなオレンジ色ですから、このチョウではありません。写真を撮りました。
ふと気配を感じて、傍らに置いたネットを見ると、なんと憧れのチョウが舞っているではありませんか。カメラを放り出し、やさしくネットを振りました。
みごとネットイン。「やったぞ!」
誰もいない奥深い山中で叫びました。大感激です。
時は10時40分。下のポイントで時間を費やし、その後はガスに包まれてしまってまったく飛来しません。でも3年連続で今年も憧れのクモマツマキを採ることができました。
それも羽化したばかりのじつに美しいオス。昨年も一昨年も採り放題というほどではありませんが、いくつも採れました。でも今年はたった1頭。それだけに感激もひとしおです。