総合診療医からの健康アドバイス

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アイネットラジオ3 検査の拡充は実際に始まっているか。感染拡大の最大の要因、トラベル対策はできているか。

2021-05-13 10:37:03 | ラジオ放送の中身

 皆様、こんにちは。総合診療医からの健康アドバイスの時間です。

 今日の沖縄は晴れ時々曇り。予想最高気温は29度です。昨日の県内の新型コロナ陽性確認が109人と二日続けての百人超えです。どうなっていくか心配ですね。では、今回も先日放送されましたラジオからです。

 

アーサー そしてふたつめ、ここは徳田先生のご意見をぜひうかがいたいところなんですが、重点検査の拡充という考え方です。

 今回、5つ、検査の拡充についてうたっています。

 高齢者施設の従事者に対する検査、歓楽街における集中検査の延長・拡大、モニタリング調査の促進、県独自の検査事業の推進強化、そして変異株検査の拡充。

 この検査の拡充について、項目と実際の運用というのはどうご覧になってらっしゃいますか。

 

徳田 検査の拡充は、我々も1年前からずっと訴えてきたんですが、やっと出てきたかと。

 1年経って。

 ただ、こういうふうに書かれてはいるんですが、実際は少ない。

 数、スピード共に少ない。

 もっとモニタリング検査も増やさなければいけません。

 しかも中には、お金をとってやるとかそういうこともあるようですから、これは無料でないとなかなか受けない。

 

 これにぜひ、水際対策も入れてほしいんです。

 沖縄で感染が拡大しているのはなぜか。

 いろいろな分析がなされているんですけれど、私は、決定的にトラベル関連だと思っています。

 例えば滋賀県と沖縄県がほぼ同じくらいの人口なのになぜ沖縄はこんなに陽性者が多いのかと言われます。

 これは人口密度など、いろいろなファクターはもちろんありますけれど、やっぱり沖縄ではトラベルが要因になっている。

 トラベラーの数が多いわけですから。

 

 コロナウイルスは人と一緒に入ってくるわけですから。

 まったく悪気はないんですけれども、トラベラー、旅行者の中で0.1パーセントとか、0.01パーセントであるにせよ、感染している方がいらっしゃるわけですから。

 そこを徹底的に検査する必要があります。

 

 例えばハワイなどでは、フライト出発前72時間以内にハワイ州指定の医療機関で検査を受け、陰性であった証明がないとハワイに入れないということになっているんです。

 国内線もそうです。

 そういうことを導入すべきだと、私たち以前から訴えていますけれども。

 そういうこともやってほしいですね。

 

アーサー そうですね、空港周りの水際の検査というのはすごく拡充が求められていると思います。

 そして、ようやく今回、歓楽街については、さきほどお話した9市にかんしては、飲食店従事者の検査拡充というのが発表されましたが、正直、ここについても、確かに飲食店従事者の方を重点的に扱うというのは選択肢のひとつとしてあるのかと思いますが、以前からこの番組で取り上げておりますとおり、本来、防疫のための検査拡充ということを考えた時に、飲食店サイドの方にフォーカスを当てるというのは、ホットスポットの発見に留まってしまうリスクにもつながりかねません。

 

徳田 そうです。

 

アーサー モニタリングが進んでいかないと、現実的な追跡としても誤った捕捉になってしまうと困ります。

 このあたり、水際での検討を含め、また変異株についての検査の拡充の必要性もあると思いますし。

 

徳田 実際、米軍基地では比較的抑え込みに成功しているんです。

 散発的には出ていますけれども。

 散発的に出る理由は、米兵がフェンスの外に出た時に感染する、米国本国から入ってくる米兵が感染していて持ち込む、こういったパターンがありえます。

 しかし米軍基地全体としては比較的抑え込んでいる。

 

 米軍基地では1週間に1パーセントのサーベイランス検査をしているんです。

 これをモニタリング検査ということで置き換えて考えてみます。

 沖縄県民140万人、その中で離島もありますし、都市部から離れていてそれほどリスクの高くない地域もあるのでそういったところを除いて、100万人くらいがリスクがあると考えますと、1パーセントならば1万人です。

 1万人を1週間で検査する。

 1週間と言っても土日は休みにするとしたら、月曜から金曜までの5日間で1万人、つまり1日2000人の検査をしてほしいんです。

 モニタリング検査として。

 だけど、最近得た情報では、1日5、6人しかこのモニタリング検査をしていない。

 桁がまだ足りない。

 1日2000人、1週間で1万人を検査してほしい。

 

 そこで、先ほどアーサーさんがおっしゃったように、ある程度感染率が高いところがわかったら、そこを一斉検査する。

 というふうに、プロアクティブ、攻めの検査をする。

 そういうことをやっていかないと、今、変異株に置き換わりつつあるわけですから、これからどんどん感染が拡大する可能性がある。

 危機管理としてはできるだけのことをやる。

 政府の専門家会議も、「もう打つ手がない」と、第三波の後半のフェーズの時に言われて、打つ手がないから緊急事態宣言を解除すると言われたんですけれど、出口戦略がないまま解除したから、結局すぐに第四波に襲われたわけです。

 それで、関西がたいへんな事になり、関東もそうなるだろうと、4月半ばの今、そう予測されます。

 

 危機管理として対応するためには、検査の拡充も、ほんとうに書いてある通りに実施してほしい。

 そして数値目標をきちんと書いてほしいですね。

 米軍がやっていることを参考にするといいです。

 1週間に1パーセント、モニタリング検査をする。

 そして病院は1週間に10%の人にやっている。

 これにならって、病院も高齢者施設も定期的な検査をする。

 そこでクラスターが起こってしまうと死者が出てしまいますから。

 重症者がでると重症者用病床が一気に埋まる。

 クラスターが起こった時、一気に病院の病床ひっ迫が起きる。

 爆発的に。

 それを避けてほしいと思いますね。

 

 

 

 沖縄は今、梅雨時期。気温、湿度が高い状態で百人超え。このままではこの冬が心配です。

 

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