演劇知

劇的考察譚

ザムザ阿佐ヶ谷でMrs. fictionsを見て

2008-05-23 23:52:10 | Weblog
というわけで観てきました『SHE IS BEYOND GOOD AND EVIL』。昨年10月に15分芝居でお世話になり、今年7月に劇団員の夏見さんが客演して下さることになりました、ナイスな劇団です。同年代の方々が集まっているということでなおのこと好感です。


以下感想。内容に絡むものもありますので、明日以降見に行かれる方は要注意です。






テーマは「思い」「祈り」でしょうか。一見すると「恋」のようですが、どちらかというと一方的な側面が見られました。ただ自身の都合のみが「恋」であるなら、テーマは「恋」になりますが。
男性の「恋」、とりわけ学生さんの「恋」は一方的です。ミセスは男性作家の集団ですから、必然このテーマになるのでしょうか。

登場する男子の多くは「恋」をしています。一方登場する女性は「恋」ではなく、自身の存在に悩んだり、そんな人たちを狂言回し的に見つめたり、達観していたりと、この芝居において明らかに男性がまどろむ立場にあります。これも男性作家集団の特徴でしょうか。


そして「恋」が絡んでくれば当然恋の悩みが起こります。相当悩みます。出てくる女性は手ごわい女性なのです。影(とここでは表現)を持っています。「憧れ」を抱かれる女性は悉く相手に悩みを抱かせる、相手の男子は困惑する、そんな性格をしています。そしてそんな性格だからこそ、美しいのです。憧れるのです。不思議です。

届かない、把握出来ない存在に「幻想」を感じるのでしょう。


ある生徒さんとお話をしておりましたところ、「影を持つ女性の方が美しく見える」という意見を述べられておりました。その時は「その美しさは美しさの中の一面だと思うよ。」と答えました。影ばかりでなく、その普通さ普遍性にも美しさは付随します。が、ここで深く考察。許容の範囲を超えない限り、影はとてつもない魅力…底の見えなさであり、「知りたい」と思ってしまう感情を起こさせるものであり、「守ってやらねば」とあくまでも勝手に思ってしまうものであり…のように思えます。許容を超えてしまうと「手に負えない」になってしまうのですが。


年をとるとこういった思考も変わってきます。ただ若いうちは経験値が圧倒的に足りない為、自身に変な自信を持ってしまうのでしょう。何でも出来るみたいな。

そう考えるとこの物語の主人公はどうでしょう。一時間半の芝居の中でひたむきに挑む主人公に少なからず共感であり、懐かしさを感じます。


プロット、演出、キャラクターの意義等を考えるとちょいとひねくれた作品ですが、その実、直球をひたすら浴びせてくる芝居なのでした。

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