My ordinary days

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ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

平谷美樹「エリ・エリ」

2009-09-19 19:51:23 | 読書
タイトルを見て、
「かわいい女の子の呼び名?それとも、あの”詩篇”のエリエリ?」

作者の方も知らず、手にとって見たら第1回小松左京賞受賞作品とある(今年度で廃止)。
というと、ジャンルはSFあたりか?

・・・と予備知識なにもないままに読んでみました。

今から50年ほど先の未来。宗教が淘汰され、人々は非論理的な超越者=神そして信仰を捨て、代わりに論理的に理解できる超越者を地球外に探し、救いを求めているという世界。
惑星開発委員は宇宙の知的生命体探索のための『ホメロス計画』を遂行、その最中、サジタリウスACBと名づけられた未知の飛来物を発見し、地球外の知的生命体の存在を確認をする。
一方、神の不在を疑う神父榊は教皇の命を受け、宇宙に神の御印を捜し神の存在を証明しようとする旅にでるが、テロに巻き込まれ肉体の死を迎えてしまう。
ホメロス計画の研究者クレメンタインは、神父の脳をセンサーとして探査船ホメロスⅠに組み込み神を探させようとするが・・・。

本筋とは別立てで、イエス様とユダのお話が挿入されています。
ユダは師イエスから選ばれ師を裏切る行動をおこす。それは預言が成就され神の教えを世界に広めることが目的であった。そしてユダはローマへと宣教にでかける。辛い旅の間、ユダは死の間際の師と同じ問いを発し続ける。
神ははどこにおられるのか。この世がこれほど苦しみに満ちているのになぜ答えていただけないのか。
そしてユダもまた、死の瞬間師イエス同様に叫ぶ。
「エリ、エリ、レマ サバクタニ(神よ神よ なぜ見捨てたもう)」

ちゃんちゃん。(あー上記台詞は確かに新約聖書にあります)
(ただし、その台詞?は旧約聖書から引っ張ってこられたもので、その後にまだまだ続きがあります)

小説の初めの方に宗教学を専攻した臨床心理医がでてきて、
「イエスが2度”エリエリ”と叫んだのは、神はおらず返答がなかったから」というレポートを書いたとおおまじめに話していて、はぁ、そうなんだ?、・・・と。

トチローのアルカディア号とかモノリスとかそんなのを思い出させてくれた作品でした。



全然関係ないけど、私が新約を読んでいたら長女ちゃんがきて
「どこのお話を読んでいるの?」
「今ね、イエス様が磔にされちゃったところ」
「ああ、”エリ、エリ、レマ サバクタニ”ね。」

・・・なんかの呪文のように覚えてるのか?と笑った。でもマルコを読んでいたからちょっと表記が違ったよーん。

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