ゆきちゃん通信++tomiの日記++

自閉症の娘、由紀子の毎日と
母の生活を綴っています。

ゆきちゃん通信 No9

2001年02月16日 | 新聞 ゆきちゃん通信
これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。

2000年6月5日発行


ゆきちゃん通信No9


今年もキャンプ!楽しかった!!

今年も由紀子の夏休みは
自閉症協会の療育キャンプで始まりました。

2 度目の参加とあって由紀子はとても落ち着いて
すべてのプログラムに参加して、大満足で帰ってきました。

去年は雨の為、ゴール間近であきらめた登山も
今年は最後まで弱音を吐かずに歩き通すことができました。

みんなに誉めてもらった由紀子は得意満面。
「エライ?」と一言!

そして夜に屋外で催されたキャンプの集いに
暗い所が苦手な由紀子が落ち着いて参加して、
みんなと一緒にダンスを踊る事ができたのには
私もびっくりしました。

今年の担当のボランティアさんは「あやの先生」。

のんびり屋の由紀子をよくリードして、
よい思い出をたくさん作ってくださいました。

ありがとうございました。

最後の日にリーダーの先生から
「由紀子ちゃんはがんばりましたね!
去年とはぜんぜん違っていましたよ。
やはり経験が大事という事ですね。」

と、言って頂いた時に
来年も、再来年もきっとまた参加しようと
強く心に決めて帰ってきました



夏の思い出


その1、ねーねーが帰ってきたよ!

大学にいっていた長女が夏休みになって帰って来ました。

5ヶ月ぶりに「ねーねー」の顔を見た由紀子。

最初はやはり緊張した様子でしたが、
布団の中に無理やり入ってきた「ねーねー」に抱きつかれた時、
全身で跳ねて喜びを表していました。

その後、歌をいっしょに歌って、
いっぱい甘えて幸福そうに眠った由紀子です。

再会が苦手な由紀子ですが、
さすが肉親の絆は強かったということなのでしょうか?

1週間ほどで熊本に戻っていった長女に
「いってらっしゃい!」
と元気に言えた由紀子にまた一つ成長を感じました。




その2 1000ピースのパズルに挑戦!

今年の夏休みの宿題は
1000 ピースのジグソーパズルに挑戦しました。





まずは、1 作目を
家族みんなで手伝って作ることにしたのですが、

今まで由紀子にとってパズルは
短時間に一気に仕上げてしまうものでしたから
何日もかかって仕上げることを理解させるのが大変でした。

初日の夜などその日一日かかって作ったものを
「おかたづけ」といって壊してしまいそうになりました。

それでも、慣れてくると
家族の誰よりも早くピースをつなげる事ができるようになり、
1 作目は10 日で出来上がりました。

そして、2 作目は由紀子一人の力でがんばって
1 週間で仕上げました。


作る途中でほとんど完成図を見ないで
ピースをつなげてゆく由紀子の手元を
私達は感心して見るばかりでした。




その3 歯医者さんに行きました。


あまり、自慢にはなりませんが
学校の歯科検診で虫歯が見つかって
初めて医者さんに行きました。

病院のご配慮で由紀子のペースに合わせて
ゆっくりと治療していただき、
進行をとめる薬を塗って無事終りました。

6 月には耳鼻科にも通院できたし、
一つずつ苦手な場所がクリアできて、
よかった!よかった!

「でも、虫歯ができないのが1 番」
これはお父さんの言葉・・・。

はい!よくわかっております。



「うん!」という言葉・・・。

最近「ゆきちゃん、ご飯食べた?」と聞くと
由紀子は「うん!」と答えます。

普通の子どもにとってはなんでもない会話ですが、
由紀子がこの言葉を身につけるのには
本当に長い時間がかかりました。

上の娘たちは言葉を話し出す前に
うなずくという方法で
この「うん!」を身に付けていました。

でも、由紀子は三歳になってもその兆しは見えませんでした。

それが自閉症を疑いだしたきっかけでもありました。

由紀子はこの言葉をビデオの
「トトロ」の中に出てくるメイちゃんという
女の子のセリフから覚えました。

いえ、学習したといっていいかもしれません。

今まで質問には「ご飯食べた!」と言うような
オウム返しに似た返事をしていたのですが、

ビデオの中でメイちゃんが
「うん!」と答えている場面を見ている内に
由紀子の中で何か感情が芽生えたのかもしれません。

最初のうちはメイちゃんの言い方そっくりに
真似をして意味もなく「うん!」「うん!」を
うれしそうに連発していましたが、

時間が経つにつれて、
その言葉は由紀子のものになりました。

いろいろな場面でとても自然に
そして的確に使えるようになっていったのです。

今までも、由紀子はこのような形で
いろいろな言葉や動作を身につけてきました。

全てが学習なのです。

それにしても、
由紀子が「うん!」と答えるたびに
私は笑顔にならずにはいられません。

ずっと、ずっと待っていた言葉だった。

そんな気がします。


=END=
コメント
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