これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。
2001年3月31日発行
ゆきちゃん通信No12
うっとうしい梅雨!
福江はずっと雨が続いています。
ゆきちゃん通信発行の間隔が少し開きすぎたかな?
と反省している母です。
由紀子は三年生になっても毎日元気です。
私はこの通信をホームページにしたいと
連日ページ作りに励んでいるのですが、
さて公開までこぎつけることができるでしょうか…?
今回の通信ちょっと新鮮味に欠ける話題もありますが、
由紀子の生活をお伝えします。
成長の運動会
五月晴れの中、今年も運動会が行われました。
一番のできは、ダンス。
運動会の練習が始まった頃から
家の鏡の前で怪しげなポーズを繰り返す由紀子に
『それ何?』と問い掛けると
一言『名探偵コナン』
????
その「なぞ」が解けたのは今年のダンスの曲名を聞いたときでした。
アニメ「名探偵コナン」のテーマ曲『謎』。
ナルホド!本当に「なぞ」でしたね。
実はこの二年間、
由紀子はどんなに頼んでも運動会のダンスを
家で見せてくれる事はありませんでした。
私はこの変化が嬉しくて早速レンタルでCDを借りて来て、
再度のお願いです!
するとさっと、ポーズをとって
イントロから最後まで見事に躍てくれました。
むずかしいステップも毎日練習してばっちりです。
自信たっぷりで迎えた運動会の当日。
その出来はもう最高!!
お母さん大拍手!!
そして、今年の運動会の目標は
「徒競走を最後まで一人で走りきる」でした。
昨年は途中で立ち止まってしまい
先生の力を借りてのゴールだったからです。
何とか今年はこの目標をクリアさせてやりたい!
そこで運動会前日、家
族全員で小学校の校庭まで行ってコースを一緒に走る事にしました。
テントが張られ昨日までとムードの違う運動場に戸惑う由紀子は、
落ち着かず不安そうに走りました。
キョロキョロして止まりそうになるのを
“まーまー”に助けられながらやっとゴールです!
自閉症の子どもにとって運動場にテントが立っただけで
そこはもう未知の場所になってしまう事を実感しました。
「もう1 回」・・・お父さんに促されて2 回目にチャレンジ。
明らかに由紀子の顔に余裕が見えました。
(経験が自信になるのです。)
たまたま学校にいらした大好きな校長先生の声援を受けて
由紀子は笑顔でした。
そして運動会の日、
家族や先生方の見守る中を見事に最後まで一人で走りました。
順位?
そんな事どうでもいいんです。
この笑顔を見てください。
新しい環境に弱い由紀子ですが、
準備をしてのぞめばこんなに楽しめるのです。
そしてこの日、
運動会にきてくださったO野先生に会えるという
大きなごほうびをもらった由紀子でした。
私、由紀子のこの笑顔が大好きです。
イメージチェンジ!しました。
ずっとトレードマークだった由紀子の「ちょんまげ」に
とうとうさようならをしました。
きっかけは“ねーねー”からの電話でした。
「もう赤ちゃんじゃないんだから、
いつまでもちょんまげにしていないで、
他の髪型にしたら?!
私が帰ってくるまでにちょんまげ切ってよ!」
う~ん!ちょんまげを切るのか…。こ
のちょんまげはどんな集団の中にいても
一目で由紀子を見つけ出す秘密兵器だったのに…。
でも、日に日に暑くなる中、
汗びっしょりの由紀子を見て
「髪が短かったら楽だろうなぁ」
いろいろ悩んだ挙句に切るならばっさりと…。
いかがでしょうか?
今までとは違うスポーティな由紀子にイメージチェンジです。
快適パソコン生活
最近、由紀子が急にパソコンに興味津々です!
初めこそ恐る恐る触っていた由紀子ですが、
いまでは慣れた手つきでマウスをカチカチ!
いろんなフォルダーを開けては興味のある画像などを見て、
時には印刷まで…。
唖然!
全て家族がやっているのを傍でじっと見て覚えるようです。
もちろんメールにも興味を持ちました。
そこで、O野先生にお願いしてメル友になっていただき
ローマ字入力の大特訓です。
さすがにこれは無理かもしれないと思ったのですが、
メールの内容をローマ字に直してやると、
一文ずつ丁寧にキーボードを押していきます。
まだひらがなだけですが、立派なメールです。
最後に書く「ゆきこ」はもうローマ字で覚えました。
メル友も増えましたが、
集中力と時間がいるのでゆっくりした週末だけのメールになります。
最近は返事が来るのを楽しみにしている由紀子です。
相手をしてくださる皆様に心から感謝しています。
『 ありがとう ゆきこ 』
編集後記
由紀子が大人になった時のことを考えて、
今やるべき事はなに?
いつもその事を意識して由紀子との生活をしてきました。
でも、私は今まで成人した自閉症の方に
会った事がありませんでした。
だから、いつも漠然としていて、
理想論ばかりになっていた気がします。
でも、先日深見さんといわれる
大分在住の自閉症の方とお母さんにお会いする機会がありました。
息子の博さんは三四歳。
とても素敵な青年です。
現在は自らが店主となってケーキ屋さんを営業されています。
お母さんはそんな博さんを愛情一杯に、
工夫とありとあらゆる知恵を使って育てられました。
そのお話を伺いながら自分の努力不足を感じ、
今までの育て方を違う角度から見るチャンスを頂きました。
そして、
「由紀子も博さんのような大人になったらいい
なぁと思います。」
と言った私に博さんが
「僕はがまんする事と、変更する事、
あいさつすることをがんばりました。
由紀子ちゃんも・…」
と話して下さったのです。
一瞬ドキッとしました。
そして、心の奥から感激が沸きあがってきました。
由紀子もがんばればこんな素敵な大人になれるという
実感が沸いてきたのです。
深見さんに教えていただいたことは、
今やるべき事は私が押し付けるのではなく
由紀子が発信している心の信号を見落とさない事、
そして、瞳を輝やかす興味ある事柄をキャッチする事。
そして、その事をどうやって生活訓練に結び付けていくのか、
それは私の知恵と工夫にかかっているという事でした。
博さんに教えていただいた
由紀子の人生にとって大切な三か条も、
由紀子の中にしっかり植え付けていきたいと思っています。
とてもよい出会いに恵まれた事を心から感謝しています。
=END=
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。
2001年3月31日発行
ゆきちゃん通信No12
うっとうしい梅雨!
福江はずっと雨が続いています。
ゆきちゃん通信発行の間隔が少し開きすぎたかな?
と反省している母です。
由紀子は三年生になっても毎日元気です。
私はこの通信をホームページにしたいと
連日ページ作りに励んでいるのですが、
さて公開までこぎつけることができるでしょうか…?
今回の通信ちょっと新鮮味に欠ける話題もありますが、
由紀子の生活をお伝えします。
成長の運動会
五月晴れの中、今年も運動会が行われました。
一番のできは、ダンス。
運動会の練習が始まった頃から
家の鏡の前で怪しげなポーズを繰り返す由紀子に
『それ何?』と問い掛けると
一言『名探偵コナン』
????
その「なぞ」が解けたのは今年のダンスの曲名を聞いたときでした。
アニメ「名探偵コナン」のテーマ曲『謎』。
ナルホド!本当に「なぞ」でしたね。
実はこの二年間、
由紀子はどんなに頼んでも運動会のダンスを
家で見せてくれる事はありませんでした。
私はこの変化が嬉しくて早速レンタルでCDを借りて来て、
再度のお願いです!
するとさっと、ポーズをとって
イントロから最後まで見事に躍てくれました。
むずかしいステップも毎日練習してばっちりです。
自信たっぷりで迎えた運動会の当日。
その出来はもう最高!!
お母さん大拍手!!
そして、今年の運動会の目標は
「徒競走を最後まで一人で走りきる」でした。
昨年は途中で立ち止まってしまい
先生の力を借りてのゴールだったからです。
何とか今年はこの目標をクリアさせてやりたい!
そこで運動会前日、家
族全員で小学校の校庭まで行ってコースを一緒に走る事にしました。
テントが張られ昨日までとムードの違う運動場に戸惑う由紀子は、
落ち着かず不安そうに走りました。
キョロキョロして止まりそうになるのを
“まーまー”に助けられながらやっとゴールです!
自閉症の子どもにとって運動場にテントが立っただけで
そこはもう未知の場所になってしまう事を実感しました。
「もう1 回」・・・お父さんに促されて2 回目にチャレンジ。
明らかに由紀子の顔に余裕が見えました。
(経験が自信になるのです。)
たまたま学校にいらした大好きな校長先生の声援を受けて
由紀子は笑顔でした。
そして運動会の日、
家族や先生方の見守る中を見事に最後まで一人で走りました。
順位?
そんな事どうでもいいんです。
この笑顔を見てください。
新しい環境に弱い由紀子ですが、
準備をしてのぞめばこんなに楽しめるのです。
そしてこの日、
運動会にきてくださったO野先生に会えるという
大きなごほうびをもらった由紀子でした。
私、由紀子のこの笑顔が大好きです。
イメージチェンジ!しました。
ずっとトレードマークだった由紀子の「ちょんまげ」に
とうとうさようならをしました。
きっかけは“ねーねー”からの電話でした。
「もう赤ちゃんじゃないんだから、
いつまでもちょんまげにしていないで、
他の髪型にしたら?!
私が帰ってくるまでにちょんまげ切ってよ!」
う~ん!ちょんまげを切るのか…。こ
のちょんまげはどんな集団の中にいても
一目で由紀子を見つけ出す秘密兵器だったのに…。
でも、日に日に暑くなる中、
汗びっしょりの由紀子を見て
「髪が短かったら楽だろうなぁ」
いろいろ悩んだ挙句に切るならばっさりと…。
いかがでしょうか?
今までとは違うスポーティな由紀子にイメージチェンジです。
快適パソコン生活
最近、由紀子が急にパソコンに興味津々です!
初めこそ恐る恐る触っていた由紀子ですが、
いまでは慣れた手つきでマウスをカチカチ!
いろんなフォルダーを開けては興味のある画像などを見て、
時には印刷まで…。
唖然!
全て家族がやっているのを傍でじっと見て覚えるようです。
もちろんメールにも興味を持ちました。
そこで、O野先生にお願いしてメル友になっていただき
ローマ字入力の大特訓です。
さすがにこれは無理かもしれないと思ったのですが、
メールの内容をローマ字に直してやると、
一文ずつ丁寧にキーボードを押していきます。
まだひらがなだけですが、立派なメールです。
最後に書く「ゆきこ」はもうローマ字で覚えました。
メル友も増えましたが、
集中力と時間がいるのでゆっくりした週末だけのメールになります。
最近は返事が来るのを楽しみにしている由紀子です。
相手をしてくださる皆様に心から感謝しています。
『 ありがとう ゆきこ 』
編集後記
由紀子が大人になった時のことを考えて、
今やるべき事はなに?
いつもその事を意識して由紀子との生活をしてきました。
でも、私は今まで成人した自閉症の方に
会った事がありませんでした。
だから、いつも漠然としていて、
理想論ばかりになっていた気がします。
でも、先日深見さんといわれる
大分在住の自閉症の方とお母さんにお会いする機会がありました。
息子の博さんは三四歳。
とても素敵な青年です。
現在は自らが店主となってケーキ屋さんを営業されています。
お母さんはそんな博さんを愛情一杯に、
工夫とありとあらゆる知恵を使って育てられました。
そのお話を伺いながら自分の努力不足を感じ、
今までの育て方を違う角度から見るチャンスを頂きました。
そして、
「由紀子も博さんのような大人になったらいい
なぁと思います。」
と言った私に博さんが
「僕はがまんする事と、変更する事、
あいさつすることをがんばりました。
由紀子ちゃんも・…」
と話して下さったのです。
一瞬ドキッとしました。
そして、心の奥から感激が沸きあがってきました。
由紀子もがんばればこんな素敵な大人になれるという
実感が沸いてきたのです。
深見さんに教えていただいたことは、
今やるべき事は私が押し付けるのではなく
由紀子が発信している心の信号を見落とさない事、
そして、瞳を輝やかす興味ある事柄をキャッチする事。
そして、その事をどうやって生活訓練に結び付けていくのか、
それは私の知恵と工夫にかかっているという事でした。
博さんに教えていただいた
由紀子の人生にとって大切な三か条も、
由紀子の中にしっかり植え付けていきたいと思っています。
とてもよい出会いに恵まれた事を心から感謝しています。
=END=