57歳から始めるレンタルカートの世界

唄う物書きアマミヤユキト57歳で人生初のレンタルカートデビュー。

2021 全日本カート選手権 西地域第2戦 FS-125 決勝

2021年04月30日 | 2021年レース

さて、4月18日、神戸スポーツサーキットで行われた、カートの全日本選手権、レポートの最後は『FS-125』クラスです。
僕が応援しているのは、ゼッケン5番、チーム『ONE POINT』からエントリーの、安藤哉翔(かなと)くん、16歳です。数年前まで、お父さんと二人三脚で、レンタルカートのスプリントや、耐久レースに出場していました。

写真は、2018年9月のレンタルカートレースでのワンショット。(写真右がお父さんです)

なんと、お父さん、スプリントレースの、フレッシュマンクラスで、ポールポジションからスタートしています。
親も子も、手軽に乗って、楽しめる、というのが、レンタルカートのいいところですね。とにかく敷居が低いんです。
『乗りたい、乗ってみたい!』という気持ちさえあれば、誰でもチャレンジできる。参加できる。
モータースポーツを思う存分楽しめる環境が、こんなにも身近にあったんだ!!と気付かされるのです。
レンタルカートは、モータースポーツ入門の、ある種の理想形ではないか、と僕は思います。
さて、安藤さん親子。
息子のかなとくんは、楽しむ、だけでは終わりませんでした。
カートの高みを目指そうと、『レーシングカート』にステップアップします。

(写真は2020年8月に撮影)
もともとレンタルカートレースでは、かなとくん、大人たちの中に混じって、表彰台の常連組。際立った速さがありました。
しかし、レンタルカート出身者が、
『全日本カート選手権』という大舞台で、果たして通用するのか?
という問いかけに、かなと君は結果で答えています。

2020年のFS-125クラス、全国からの参加40台中、年間ポイントランキング、全国 5位という好成績。
そんな彼に、忙しいレース当日、少しだけお話を聞くことができました。

(写真左がお父さん、レインウェアを着た、かなと君を見守ります)
『FS-125って、どう? だいぶ慣れた?』
『うん、2年やってるんで、横 Gはだいぶ慣れました。』
これ、説明が必要でしょうね。
ジュニアの選手や、FP-3部門の選手は、
『YAMAHA KT100』(空冷2ストローク単気筒100cc)のエンジンを使います。その出力はさすが2ストで、小排気量ながら、12馬力以上出るそうです。
では、かなと君が乗っている、一つ上のクラス
『FS-125』は、というと、エンジンは
水冷(ラジエーターがあるのですよ!)2ストローク単気筒125ccの『IAME Parilla X30』というエンジンを使います。その出力、なんと30馬力!!
KT100のほぼ倍以上のパワーがあるのです。この強力なエンジンと、競技用ハイグリップタイヤの組み合わせは、当然、コーナリング時に、異次元の『横G』が発生します。
僕はかなと君に聞きました。
『強烈な横Gに耐えるには、何か特別な体力トレーニングとか、してるの?』
すると、
『特別のトレーニング、とかはないけど……。ただ、X30に乗り続けて、それで体を作ってゆく感じです。ほんと、乗り続けないと、体が出来上がらない』
ふむ、なるほど。
さて、かなと君、この日のレースはタイムトライアル2位、予選ヒート2位でピットに帰ってきました。

午後からは、本日最後のプログラム。
『FS-125クラス』決勝レースを迎えます。
その模様は、動画でどうぞ。
2021 全日本カート選手権 西地域第2戦 FS-125 決勝

***
僕はピット屋上の観覧席から見ていたのですが、トップになった、かなと君がスローダウンした瞬間、
『ああぁぁ〜っっ❗️❗️😵😵』
と頭を抱え込んでしまいました。
いち観客にしか過ぎないぼくが、こんなにショックを受ける。
当の本人、かなと君の失望と、絶望と、悔しさと、悲しさと、その他モロモロの、まぜこぜになった感情は、どんな言葉を持ってしても僕には表現できません。

僕はレース後、安藤さんパパに聞きました。
『チェーンですか?』
『うん、切れた……ね。』
そうですか……。と僕は力なく言ってピットを離れました。
トップ独走体制に入り
『これはいけるぞぉぉ〜』とワクワクしたのも束の間。
まさに天国から地獄へ突き落とされた感じです。
しかし、それでも、
これがレースなんですね。
目の前で起こっている現実を受け止めること。
それがモータースポーツ.の厳しさ。だからこそのやりがい。
うそ、偽りのない、目の前で、いま起こったこと。
誰もが目撃者、証言者となり得ること。
その結果を大人の思惑や、権力や、ましてやお金では絶対変えられない。
その、冷酷なほどの客観性が保証されている。
だからこそ、僕たちは、モータースポーツに夢中になるのです。
決勝リザルトはこちら。

優勝 酒井選手、2位 山口選手、3位 加藤選手、おめでとうございました。

****** 本文、写真、動画の著作権は天見谷行人に帰属します©️Yukito amamiya 2021

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