自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

ときが止まる

2010年07月16日 | ひとりごと
 ひとりの有為の男性がこの世から旅立ちました。
 Y君は最高学府をそこそこの成績で卒業して一流企業に就職し、周囲から祝福されて結婚やがて2児を設け、だれが見ても幸せな前途有望の青年でした。
 この世の荒波の先端で凛々しく立ち向かう戦士として期待もされていました。
 それが10年たって、ひっそりと実家に現れた時は別人のようにやつれていたのです。

 どこで階段を踏み外したのでしょう
 詳しい事情は知らずただ表面目に見える限りでは、企業の不振、締め付け 家族不和、子供の不登校、夫婦別居、お定まりの離婚話へと進み、
 渾身の努力を振り絞ってみたけれど、もうそれだけでは足りなかったのです。
 極限状態でY君は両親に遺書を残しました。
 先立つもの、残されたもの、すべてが痛ましい。




 「滅亡」 
 滅する。 亡ぶ。 ちょっと大時代めいた言葉が浮かびあがりました。
 あのひとが亡くなった時初めて味わったそれは思いがけぬ鋭い痛みを伴っています。
 口に出してみても何か絵空事なのに、それはとうとう胸いっぱいにひろがって、またもきりきりと心を体を締めあげてきました。
 この世界から実態が消え去るという信じがたいこと。
 分身は消滅してしまったけれど、自分のうつし身と感覚だけは残されている苦しさ。
 流れているときの中に音もなく潜む、無限の悲しみに耐え抜いた人々の強さ。
 言葉にならぬとりとめない想いが頭の中でめまぐるしく駆け回りました。
 ・・・・
 その昔栄枯盛衰を繰り広げた大名、貴族やそこに連なる家臣たち
 一家の興亡をかけて戦国の世を駆け抜けた歴史の中に渦巻く人々の想いは…
 ・・・・
 夫婦別姓とか家系とか、
 普段まるで意識しない問題までおまけがついて勝手に運動会を始めています。

 


 (この涙も大河の一滴)

 刺激を受けて気がついて、同時に止まっていた時間が動き出しました。
 これで平穏に戻れるなら、当分の間は懲りずこのコースを繰り返えしそうな気もします。

 数少ない一族のひとりだったY君を偲んで
 静かに、きょうは何色を使って絵を描こう…?



 

 
 

毒舌

2010年07月04日 | 絵と文
 あの毒と味のある一家言で有名な監督・俳優のタケシさんは、パソコンもメールも大嫌い、ケータイなんて使ったことがないんですって!
 ただし車の中で。 ということはそれ以外の日常にどれくらい利用されているかは分からず、
    (折角の毒舌もワサビが効いてない) 感じでした。(☆∀☆)

 
 ところで先日発売されたiパッド、丸二日前から千人余りの長蛇の列ができたほどの人気も、追いつけ追い越せのつむじ風とともにじきに収まったようです。
 デジタルの「革命」としてセンセーションを巻き起こしたのは、どこかの党が大勝して「平成維新」と大騒ぎされたのに比べれば、結果は形にはっきり表れるし、
    (こちらの方がよほど正確な表現) ではありました。(◎`Д´)
    あ、それは言い過ぎ。Iパッドも平成維新も、もっと長い目で結果をみきわめなくては。 


 携帯電話が普及し始めたころに、グループでスケッチ旅行に行ったことがあります。
 集合の時間が来ても顔を見せないひとりの仲間を呼び出すために声をかけたら、十数人のグループでなんと全員がケータイ不携帯ではありませんか。
 設置されていた電話ボックスがいつの間にか撤去されているのもそのときやっと気付いて、レンタルした小型のバスは、車往き交う国道の大通りを公衆電話探しでしばらくの間漂流を続ける羽目になってしまいました。
 世の中便利なのやら不便なのやら。
 あのときは途方に暮れて、ずいぶんあとになるまで笑う気もおきなかったしょっぱい経験だったはずなのに、それがただくすぐったく懐かしく思い起こされるだけの、この進歩のなさ。
 すべての層へ普及するまではあっという間、でも同じスピードでトシ食っちゃったから、携帯を常時ケータイするトレンドな仲間はあいかわらず皆無なのでした。
    (ほとんどケータイ、じゃなかったテータイ) です。この年代。 (≧ω≦) 
 

 で、iパッドの本物にはまだお目にかかりませんが、テレビで紹介されたのを見る限り、なるほど平成維新よりはるか直接的かつ娯楽的、無数の宝物が飛び出す小さな玉手箱みたいに革命を感じるしろものです。
 だけど反面浪費する時間も膨大になるのでは?引きこもりの若者もいえ熟年だって増えてゆきそう。
 在宅オタクの私が口にするのはおかしいけど、愛する子や孫たちのためにです。
 いかなる文明の利器といえども、使いこなす自信と場を知らなくてはただの四角い箱。若しかしたらパンドラの箱?
 頭の回転は素早くて手先も器用に動く子どもたち、めまぐるしいスピード時代に果てしなく未来は開けているが、
    (良識だけが追いつかない×)  ∑( ̄皿 ̄);


 世間から取り残される心配より、今しばらくこのままで平穏無事に暮らせるなら。  革命なんてどこの国の話だろ? 
 と、平和ボケにあらぬこの救いがたい年代は瑣末な点で意見が一致します。
 いつだってこうなんだから!と、肩をすくめるマイファミリーの姿が目に見えますが、
 まぁ限度さえ越えなきゃね・・・どれほど便利な世の中に変わったか、くらいは理解できてますから。 


 ここらあたりで妥協した方がよさそうです
 悪口がばれないうちに!
    (毒舌する脳は活性化する) (●^曲^●)